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書類作成に必要なことは?【医師事務作業補助者の書類作成代行業務】

こんにちは
前回は医師事務作業補助者はどんな書類を作成代行するのか記載しましたが、今回は、書類作成を行うにあたって必要なことをまとめます。

書類や診断書の様式により、【入院通院期間等の日付などを埋めるだけ】のものもあれば、【経過を文章でまとめて記載するもの】もあります。
書類を作成していく上で、私が必要だと思うことは・・・

①ある程度の医療の知識
②文章を作る能力
③チェックを怠らない、いいかげんでないこと

です。理由は以下にまとめます。

①ある程度の医療の知識


これは、仕事をする上で当たり前なのですが、まず知識がないと医師が記載したカルテが読めません。
私が働いていたひとつの病院では、「略語はやめましょう。誰もがわかるカルテを記載しましょう」という方針だったので、わかりやすいカルテを書く医師も多かったけれど、それでも略語を多用する医師もいました。
ほとんどの病院で、カルテは略語を多用しているのではないでしょうか。

医療用語には、病名、手術、検査のほとんどに略語があり、ある程度は覚える必要があります。
中にはわかりづらいもの、同じ意味でも人によって呼び方が違うものもあります。
例えば、病名:大動脈解離にひとつにしても
略語はAAD(A)、AAD(B)、DAA(A)、DAA(B)、AAD(DebakeyⅠ)、AAD(DebakeyⅡ)などなど。カッコの中は分類を表しているのですが、同じ大動脈解離でも、カルテの中にこんなに略語が混在していたら混乱しますよね。
他にも、手術:大腸ポリープ切除 略語:ポリペク、EMRなど
検査:気管支鏡検査 略語:ブロンコ、BFSなど
検査:超音波検査 略語:エコー、USなど
血液疾患の診断基準:寛解 略語:CR
パーキンソン病の重症度分類:H-Y
やけどの重症度分類:熱傷Ⅰ度(EB~SDB)、Ⅱ度(SDB~DDB)、Ⅲ度(DDB~DB)
カルテ用語:問題なし 略語:n.p. no problem)
などなど、たくさん。
これがカルテを書く人(多数の医師、看護師、理学療法士、栄養士、医師事務作業補助者など院内のほぼすべての職員)によって違うとなると、いちいち調べるのは時間がかかってしまうので、ある程度は理解しないと書類作成には苦労するかと思います。

また、疾患ごとの診断方法や治療も理解する必要があります。
例えば、がんの治療に関して、「手術」や「放射線治療」「化学療法」「緩和」などあります。まずがんの治療はこのような治療があるとわかっていないといけません。
でも、治療方針に関しては、主治医が必ずカルテに記載するので、その患者さんはどんな治療をするのかわかります。
がんの診断方法に関しては細胞診・組織診の病理、超音波、CT、PET、MRI、血液検査(腫瘍マーカー)などで診断します。
例えば肺がんであれば、CTで異常が見つかれば、PETを行い、気管支鏡ファイバースコピーで細胞診を行い確定診断に至るという流れが多いと思います。がんの多くは病理が出るので、病理結果に沿って書類作成を行えばいいのですが、肝がんなど、病理で診断しないものもあります。
理解していないとがんなのに一生懸命病理結果を探しても見つからない・・・と、時間を無駄にすることになってしまいます。

また、体の部位に関しても。
かかと:踵部(しょうぶ)
ほっぺた:頬部(きょうぶ)
おしり:臀部(でんぶ)
膝のうら:膝窩部(しつかぶ)
くるぶし:外果部(がいかぶ)
耳たぶ:耳垂(耳垂)
人差し指:示指(じし)、第2指
医療関係者ではなく、普通に生活していたらまず使わない言葉ですよね。
医療文書を書くのに、
「右ひざの裏がかゆくて赤くなってしまった。」
とは書けません。
「右膝窩部に掻痒、発赤を伴う丘疹が散在。」
などと書かなければいけません。


②文章を作る能力


これは、得意不得意あると思います。私もどちらかというと苦手です。
例えばがん治療歴5年の患者さんの治療経過を文章にまとめるとして、その5年間の中に12回の入院、2回の手術、度重なる検査、3回薬剤変更した化学療法歴があるとしても、それを全部記載したら、もう診断書には書ききれません。
どこが要点で、どこを記載すべき内容か見極めて、その5年を例えば5行程度にまとめるとしたら。必要な情報は入っているのか。
また、おかしな日本語は使っていないか。文章構成はおかしくないか。
状況を知らない他人が読んでも理解できる内容か。
これができるといいですね。
ちなみに、また後に記載しようと思いますが、私は所見例文などをまとめておいて、例文の使いまわしをしています。


③チェックを怠らない、いいかげんでないこと


私たち医師事務作業補助者が作成した書類は、最終的に医師がチェックし発行します。この書類は医師の責任となります。
だから私たちは責任がないから適当に埋めればいいや
というのは間違い。
医師は忙しくて、書類にかける時間も取れないことも多いです。
病名や重要な点はチェックしていたり、文章がおかしかったり抜けがあったら訂正追記をしていることはあるけれど、細かい入院日や通院日を一日づつレセプトを開いてチェックしている人は少ないし、したとしても抜けていることもあります。
生命保険の診断書なんかは、枠が細かいし記載することも多いので、見落としてしまったり、抜けてしまうことも、私は今でもたまにあります。
医師にまわす前に、すでに完璧!と思ってもらえるように、作成しなければなりません。

以上のように、正しい知識を持って、正しい情報を書類に記載しないといけません。患者さんにとっては認定等級やお金にかかわる大切なものです。
最初はわからなくて当然で、たくさんの経験と、自分で勉強することが大事かなと思います。

長い文章を読んでいただきありがとうございました。
次回も読んでください!

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