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2022年11月の記事一覧

最近読んだ本の話 vol.83

 「最近読んだ本の話」の第83弾です。朝晩冷え込む日が増えてきました。冬が近づいてきたなあ。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、小砂川 チト『家庭用安心坑夫』  主人公の小波が日本橋三越の大理石の柱に、自分の実家にある洋服ダンスに貼った覚えのあるケロケロケロッピのシールを見つけるところから物語は始まります。描写力が新人とは思えません。小波の日常が綴られていると思ったら、「ツトム」という人物が突如あらわれて、小波が幼い頃母親から教えられた父親だというのですが、坑夫の

最近読んだ本の話 vol.82

 「最近読んだ本の話」の第82弾です。だんだん秋が深まって冬に近づいてきました。紅葉が綺麗です。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、大島 真寿美『たとえば、葡萄』  最近移住する人の話をよく読んでいる気がします。読むとわくわくしてきて、私もどこかに移住しようか、なんて夢が膨らみますが、この小説の主人公の美月は移住しようなんて最初は思ってなかったんです。仕事を辞めて実家には帰りたくなくて、母の友人宅へ転がり込みます。個性の強い母の友人たちが次々に登場して、あれよあれ

最近読んだ本の話 vol.81

 「最近読んだ本の話」の第81弾です。だいぶ気温も下がって紅葉が綺麗になってきました。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、西尾 維新『怪盗フラヌールの巡回』 亡き父親の正体は大怪盗だった――!? 長男の「ぼく」は、傷ついた弟妹と愛する乳母のため二代目怪盗フラヌールを襲名。持ち主にお宝を戻す“返却活動”を開始する。次なる標的は、天才研究者が集う海底大学。忍びこめたかと思いきや、初代怪盗フラヌールを唯一捕らえたベテラン刑事と、新世代の名(ウルトラ)探偵が立ちはだかり、