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2022年4月の記事一覧

最近読んだ本の話 vol.62

 「最近読んだ本の話」の第62弾です。薔薇がとうとう咲き始めて、パンジーやマーガレットも満開で綺麗です。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、中山 七里『おわかれはモーツァルト』 2016年11月。盲目ながら2010年のショパンコンクールで2位を受賞したピアニスト・榊場隆平はクラシック界の話題を独占し人気を集めていた。しかし、「榊場の盲目は、自身の付加価値を上げるための芝居ではないか」と絡んでいたフリーライターが銃殺され、榊場が犯人として疑われてしまう。事件は深夜、

最近読んだ本の話 vol.61

 「最近読んだ本の話」の第61弾です。八重桜が満開になって、ツツジも満開に近づいています。そろそろバラが咲き始めるかもしれません。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、乗代 雄介『掠れうる星たちの実験』 サリンジャーの戦争体験と柳田國男の恋。終生秘められた「実験」の記憶から、文学への態度において不思議なほどに似通う二人が追い求めた〈生きた「もの」〉を透視する驚異の批評。 第162回芥川賞候補作『最高の任務』に続く〝阿佐美家サーガ〟の特異点「フィリフヨンカのべっぴんさ

最近読んだ本の話 vol.60

 「最近読んだ本の話」の第60弾です。満開だった桜が散り始めましたが、八重桜が咲き始めてまた楽しみです🌸今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、米澤 穂信『本と鍵の季節』 堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、そ

最近読んだ本の話 vol.59

 「最近読んだ本の話」の第59弾です。桜が満開になりました。毎日見るのが楽しみです。今週は、最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、J・M・クッツェー『モラルの話』 欲望すること。歳をとること。人間であること。 円熟期にある作家が、今どうしても伝えたいこと。 「人間のモラル」の底を描く、余韻に富んだ最新作。                        -Amazonより引用-  テンポが良くて読みやすいですが、重要なことが書かれています。余韻が強く残るというか、しばらく