24歳で八百屋を起業したぼく。28歳での現在地とこれから vol 1

書き出しに悩み、気付けば既に2時間が経過。

曇天で陽の光は淡く仄暗いのですが、換気のために開いた窓から冬風が音を立てずに鋭く吹いて。
寒さで少し体を硬らせながらこの文字達を並べています。


自己紹介


私は現在、『農家さんと食べ手の距離を、もっと近くに。』という思いのもとでmochiという団体を立ちあげ、
代表として3年間神戸でお野菜宅配事業をしてきました。そして、今後、より加速度的に事業を進めていく中で、その時のありのままの悩み、辛さ、楽しさ、幸せを残しておくためにこのnoteを立ち上げてます。


八百屋とコロナ


コロナという何某が現れて世の中が大きくうねり。
4月以降、mocchiとしての発信は全くしてきませんでした。

「最近、mocchiどうよ!」
「何か次を考えてるんやろ?」

と気にかけて下さる諸先輩方やお客様。
おひさしぶりにお会いして交わすその言葉たちの温かさにこの一年、本当に何度も助けられました。
(まずはこの場を借りまして、ありがとうございますと言わせてください。)

発信してこなかったこと。
ここに意図があったかといえば、それは『後付けとしての意図』でありまして。

正直なところは、『発信することも含めて、情報に触れることから距離を置きたい』と思っていたからでありました。

人の機微に触れる八百屋という仕事柄か、もしくは先天的なぼくの性格なのか、言葉一つ、表情一つが心に与える影響が良くも悪くも大きすぎまして。

・その人が発した言葉や文字
・その人の表情や行動音、速度感

から

「あ、この人、このやりとり気に入らなかったんだ・・」

とか

「多分、ぼくのこと良くは思っていないかもしくは無関心だから、ぼくが使える時間は数秒だな」

なんていう心情の予測が留まることなく、溢れてきちゃうんです。
もう、湧き水のようで、どこからそんな出てくる?と思っちゃうほど。


コロナを受けて暗いトーンの言葉たちが溢れていく中で
負に揺さぶられすぎず、とにかく今を目一杯生きて、正しくmocchiと佐々木純の現在地を頭に入れておきたい・・・!
そう明確に思ったかは定かではないんですが、そんな気持ちの中で発信を殆どストップさせていました。


そして、今になりまして、これまで粛々と準備してきたことや考えてきたことが己の中で“ストっ”とはまってきまして。
かなりの文量になってしまうので、何回かに分けて文字に残していきます。

(直近の新しいチャレンジはこちらにまとめております↓)

【ご報告/シェアして頂けると本当に嬉しいです】 【会社設立とmocchi新サービス先行イベント参加者募集】     2021年明けましておめでとうございます!     農家さんとお野菜に関わり始めて、今年で6年目、mocchiとしては4年目...

Posted by 佐々木 純 on Saturday, January 2, 2021


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<これからのnote>
第1回:コロナが現れてからのmocchi ←いまここです
(第2回:27歳の今、水のように生きる)
(第3回:愛する人とのこれから)
(第4回:mocchiが新しく始めること)
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コロナが現れてからのmocchi


「一人の力たるや、何たる微力か」

というのが正直なところです。

詳しくはまた改めて文字にしようと思うのですが、直接的か間接的か、濃くも薄くもコロナの影響はmocchiの事業に現れました。

経済全体という広い視点で見れば、夏物商戦が不振に陥ったり、旅行を控える動きも強まったりとぼくなんかよりも多大に影響が出ている産業はたくさんあります。


ですが、何年にも渡り色んな方々のご協力もあって続けてきた事業をクローズさせたり、畑や街中で実施しようと企てていた企画をあえなく潰すことになったり、個人的に楽しみにしていた色んな出店イベントが全てなくなってしまったりと、一個人のぼくにとっては響く事象が立て続けに起こりました。


売り上げ半分に。

その結果、ある月、売り上げが前年比で半分を余裕で切ってしまう事態に・・・。
一度どん底は味わっているので、メンタル的には元気でしたが、

「何を打ち手として打っていこうか、さて・・」

と冷たい空気の中で、ふっとコーヒーを飲んで深い吐息を漏らしたい、そんな気分な毎日でした。


そんな中でも、毎週欠かさずやってきたお野菜宅配だけは粛々と行っていて。
もうぼくの中では息を吸うくらいな習慣になっていたし、待っていてくださるお客様や温かく迎えてくださる農家さんがいらっしゃったので、
『とにかく。会える瞬間に、どう感情が明るくなる時間をお互いに過ごせるか』
だけを考えて動いていました。
(この時ばかりは特に“自分の心の安定のため”にお野菜の語り部宅配をしていたと思います笑)


持ち直せたのはお客様のお心配り


それが功を奏したかどうか(というよりも、その時に色んなお声がけをしてくださった方々や尽力してくださった方々のおかげ100%なのですが)、お野菜宅配でのお客様の人数や注文量は徐々に増えていきました。
新たに保育園さんのお取引が始まったり、大学の時の友人が会社の中でお野菜部を立ち上げてくれて社員さんがランチの時間に10人以上毎週お買い求めくださったり。

また、今までずっとご注文をくださっていたレストランさんや一般のお客様も変わらずにお野菜をご注文くださり・・。

そして、何より天候が大きく変動する中でもお野菜を育ててくださる農家さんのありがたさたるや・・。

何度思い返しても感謝の思いで皆様に頭が下がります・・・。


そして、皆様のおかげでお野菜販売事業としては何とか前年比の約1.65倍ほどの売り上げにて安定するようになりました。
mocchiとしては複数同時進行で事業を進めているのですが、お野菜販売事業だけでもちゃんと食べていける形になり、心の安定とともに、改めて関わってくださった皆様に感謝の念が湧き上がっています。
改めまして本当にありがとうございます。

改めて思う”農家さんのことがぼくは好き”


と、ここまで近況報告としてつらつらと書かせてもらいましたが、
「mocchi、元気です!」
ということが伝えたかったのではなく・・。


一番伝えたかったのは、

『やっぱり、神戸の農家さんってすごい』

ということです。


mocchiは農家さんと食べ手の間の存在。
その間の存在しか出来ないことは間違いなくあり、そこにまっすぐ向き合ってきました。

どんな間の存在よりも、感性を尖らせて農家さんの畑やそこに流れる空気、野菜たちの表情を毎週見ているし、農家さんとのお話の中で露わになってくる農家さん自身の最近の心情やご苦労にも敏感でいようとアンテナばっちばちに張って、それを伝える言葉にも精神をすり減らしてこだわってきた。


そこは胸を張って言えます。
過去に叱ってくださった方や失望させてしまった方、期待をかけてくださった方の顔が記憶の中枢、ど真ん中にいつでも在って、強く意識してきたから。


でも、価値の源泉であるお野菜をmocchiは作っていない。
そこに無意識になってはいけない、そう強く思います。


コロナ社会での新しいチャレンジ


ちゃぶ台をぐりんとひっくり返すが如く、世の中が大きく乱された社会。
その混乱の中にあっても


『人間みな腹は減るし、社会の胃袋の総量は変わらない』
『どんな食べ物で、どのように胃を満たすかで幸福量は変化していく』

ということが露見したと、お野菜販売を通じて感じました。


人の移動、モノの移動が制限されている、さあ一体何でお腹を満たすのか?

そう問われたコロナ社会。
(制限が人間の創造性を掻き立て、大事なことに立ち返らすとは真理だと思います)

「〇〇さんのなす、めちゃくちゃ鮮度が良くて、味も濃かったよ」
「この前買った〜〜さんの空芯菜、柔らかくてびっくりしたよ」

そんなお声が湧き上がるからこそ、
換言すれば『多大な環境変動の中にあっても、農家さんの美味しいお野菜がそこにあるから』こそ


「あれっ、私たちの近くにこんな美味しさがあるやん!

と、自然と目線は自分の生活圏内に向けられて、こんな気づきを得た方々が沢山いらっしゃったんだと思います。

そして、この流れは“美味しい”という実利を踏まえながら、“応援/声援/愛着”という人間の強く作用する行動動機をも含めた動きであるため、ここからしばらくは続いていく流れだとも思っています。


この流れの前提には農家さんのお野菜の美味しさが本物であったことが言うまでもない事実でありまして。そんな背景があったからこそmocchiは先のような状態になれました。

もちろん、農家さんはとても尊いお仕事であり、食べ手の存在、ぼくのような間の存在もすべてがいて初めて皆が幸せになれるという意味では、そこに優劣はないと思います。

生きることの緩やかさと険しさ、厳しさ、そこから感じられる幸福を教えてくれた農家さんはぼくにとっては、すごく個人的な意味で特別な存在でして。
だからぼくは事業の形態がどう変わっても、農家さん起点で物事を考え始めていきたい。
そんな風に思うのです。


mocchiの、変わらず据えるべき『帰ってくる場所』を再確認している、そんな今日この頃です。

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