【まとめ】#5-3 リスクコントロール AI技術が拡げる3番目の軸
信用スコアがビジネスにもたらす可能性
今回のハイパー起業ラジオは「信用スコア編」第3回。ビジネスにおいて、信用スコアは売上や利益を安定的に得るために欠かせないものだと説明しています。
冒頭、尾原さんがけんすうさんに質問します。
デフォルトとは、約束された支払いが履行されないリスクのこと。
信用リスクのコントロール
まず、信用スコアは、顧客や取引先の「信用力」を可視化してくれるという側面があります。尾原さんは、本屋で万引きが起きた場合の損失を例に、信用スコアが重要であることを説明しています。
一見すると、1冊分の損失は微々たるもののように思えるかもしれません。しかし実際には、本屋を運営するためには、人件費や不動産の賃料もかかってきます。それを考えると本屋の利益率は非常に低く、1冊の万引きが大きなダメージを与える可能性があります。
リアルビジネスにおけるデフォルト
この「デフォルト」は、リアルビジネスにおいて様々な形で発生します。例えば、消費者金融やクレジットカードの分割払いの金利が高いのは、返済されないリスクを織り込んでいるからです。
つまり、一部の「返済されない」という例外的な事象が、ビジネス全体に大きな影響を与えてしまう可能性があるのです。
ITによるデフォルトのコントロール
こうした「デフォルト」のリスクをコントロールする上で、ITは非常に有効な手段となります。
けんすうさんの言葉の前者をfraud detectといいます。
つまり、一部の例外を仕組みを使って防ぐことを指します。
近年注目を集めている「信用スコア」も、ITを活用したリスク管理の一例と言えるでしょう。
信用スコアは、個人の信用度を数値化したもので、金融機関などがお金を貸す際の判断材料として利用されます。
近年では、AIを活用して個人の行動履歴などを分析し、より精度の高い信用スコアを算出するサービスも登場しています。
多様性と信用スコア
信用スコアは、特に多様性が高い社会において重要性を増します。
アメリカは
・移民がすごく多い国
・新しいチャレンジをする人の方が多い国
のため肩書だけで判断できないことが多いわけです。
従来の社会では、個人の信用度は肩書きや資産などによって判断されることが多かったため、移民や起業家など、従来の枠組みに当てはまらない人々は、十分な信用を得ることが難しい状況でした。しかし、信用スコアは過去の行動履歴に基づいて信用度を評価するため、より公平な評価が可能になります。
行動データに基づく信用評価
信用スコアの本質は、「行動データ」に基づいて信用を評価することです。
従来は、個人の属性情報(勤務先、学歴など)に基づいて信用を評価せざるを得ませんでしたが、IT技術の発展により、個人の行動履歴を詳細に記録・分析することが可能になりました。
例えば、ブログ記事をコンスタントに執筆し、一定の収入を得ているライターの場合、その行動履歴をデータとして分析することで、返済能力を客観的に評価することができます。
行動データに基づくリスク管理
行動データは、信用スコアの算出だけでなく、様々なリスク管理にも活用できます。例えば、ライドシェアサービスのウーバーでは、ドライバーの運転状況をGPSや加速度センサーなどで記録し、安全運転を促す仕組みを導入しています。
また、フィリピンでは、自動車ローンの審査に、飲酒運転や車両盗難を防ぐための装置の導入状況を考慮する事例もあります。
これらの例からもわかるように、行動データを活用することで、従来は防ぐことが難しかったリスクを抑制し、より安全で信頼性の高いサービスを提供することが可能になるのです。
「借金」から「投資」へ
従来の金融は、「お金を貸す」という行為が中心でした。しかし、行動データに基づく信用評価が可能になったことで、金融は「投資」という側面を強めています。
例えば、ウーバーのドライバーが、より稼げる大型車に乗り換えるためのローンを組む場合、そのドライバーの過去の運転履歴や収入状況などを分析することで、返済リスクを低減し、より低い金利で融資することが可能になります。
また、バングラデシュのグラミン銀行のように、貧困層に対して少額の融資を行い、起業を支援するマイクロファイナンスも、行動データに基づく信用評価によって、より効果的に展開できる可能性があります。
テクノロジーと社会の進化
IT技術の進歩は、単に金融サービスを便利にするだけでなく、社会全体の進化にも貢献しています。行動データを活用した信用評価システムは、従来の枠組みにとらわれず、より多くの人々にチャンスを提供する可能性を秘めているのです。
次回予告
次回は、信用スコアと並んで重要な要素である「保険」について、詳しく解説していきます。
公式プレイリスト
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