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私の本棚

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読書記録。伊坂幸太郎が好き。
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#推薦図書

「ツバキ文具店」を読めば、きっと何かを綴りたくなる

私が文具を文章で紹介するなかで、憧れている小説がある。小川糸さん著書の『ツバキ文具店』だ。 主人公の鳩子は、鎌倉の小さな文具店を開きながら代筆屋を営んでいる。鳩子の周りをとりまく優しい人々と、おだやかに流れていく日常。代筆屋として依頼者の人生の岐路に伴走し、時に悩みながら成長していくのだ。 ※この感想文は物語の本文を一部引用しています。物語の結末につながる直接的なネタバレはありませんが、まっさらな気持ちで『ツバキ文具店』を読んでみたい方は、ブラウザバックしてください。

「こども文房具2022」は、子どもと、かつて子どもだった文具好きの大人に読んで欲しい

2022年4月28日に発売された、文房具屋さん大賞PRESENTS『こども文房具2022』(以下「こども文房具2022」)を読んだ。 大人向けの文具や手帳本は数あれど、子ども向けはめずらしい。未就学児から小学校高学年向けの内容になっている。勉強に使える文具が充実しているので、小学生とその親御さんが一番役に立つと思う。 うちには、年少になる子どもがいるが、子どもと一緒に楽しめる文具や、子育てに役立つ文具も載っているので参考になる。 …と、いうのは口実だ。かつてはペンケース

「書く習慣」を読んだら、楽しいインターネットを思い出した

ありとあらゆる角度で『書くこと』のハードルを下げて、『書くこと』を好きになって欲しい! 私が、いしかわゆき(ゆぴ)さんの書籍『書く習慣』に受けた印象だ。そして、この本は私が大好きだった2000年代のインターネットを思い出させた。 noteやTwitterって、なんか有益なことを書かなくちゃいけないんでしょ?2010〜2020年代のインターネットビジネス界隈では、『有益な情報』がトレンドの一つであるように感じる。 「芸能人でもないのに、今日のランチについて書いても読まれま

クジラアタマの王様と2020年

「クジラアタマの王様」は2019年に出版したので、新型コロナウイルスとはまったく関係ない。 2020年に入るまでは実験的な表現方法を用いた、伊坂幸太郎著作のエンタメ小説だった。 主人公たちの夢の世界と現実世界がリンクする中で、 双方の世界で大きな問題に対峙する。胸糞の悪さを爽快な快進撃で回収する物語だ。 著者の鋭い洞察力と表現力で、大衆の恐怖が正義に、そして知らないうちに悪意にスライドされる有様をかなりリアルに描かれている。 それがこのご時世にとてもリンクしているよう