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月曜モカ子の私的モチーフvol.196「記 of 2018」(アーカイヴ)

手帳にいろんなことを、ほぼすべて官能的直感的記述的に記しているから、手帳をみればいろんなことがわかるのだけど、いつも面白いなぁと思うのは、年始に立てた目標に関して、その年が終わる頃には「こんなくだらないことが、ほんの12か月ほど前まで、わたしにはしごく大事だったんだなぁ」と、ある種の郷愁&感慨とともに思うこと。
                          
わたしはよく目標を立てるタイプだしそれを記すタイプだから、昔も部屋に目標を貼っていて、それは3年計画だったのだけども総じて「出版」とそれによる「成功」と、直木または芥川に向かっての「受賞」に向かうものであって(芥川賞と直木賞って全然違うものなのにもはやどっちでもいいのかというくらい 笑)それらはなんだか、おばあちゃんが死んで、おじいちゃんが死んでアラビヤに行ってシャルジャの天文学の部屋で叡智の雷に打たれてからは、心の底からどうでもいいものになってしまって、抜け殻だけが部屋に貼ってあるのも情けなく、しかしこういう心の推移に気づくのは面白いことと、とりあえず「うん」と思って、それから剥がしてしまった。
                          
それから恥ずかしい目標(目標自体が恥ずかしいのではなく回顧した時、深夜に書いたラブレター的な恥ずかしさがあるやつ)は書かないでおこうと思ったのだが、それでもやっぱり、回顧してみるともう、その頃ではないわたしになっていて、その目標が噛み合わない。今年の手帳は冒頭に強い決意として「芸術で富を成し、**と婚姻」と書いている。「富」としているのは成功を欲しているのではなくあまりに小説、仕事の小説を書かなすぎてお金がなくなりすぎたからそれではいかんと言う意味であるし、婚姻に至っては別にそんな話があるわけでも付き合っている相手がいるわけでもなくって、しかも別に結婚願望がわたしにあるのではなく、ただわたしの置かれているここ数年の状況としてもうそれしか解決策はないでしょうというようなプランX的な、笑、突拍子も無い角度のところからきていたのだが、
しかしまたこの年末には、この宣言は二つとも目標としてはどうでもよくなってしまっていた。今回は恥ずかしい目標と言うよりは、それらはもう、わざわざ書き記さずとも傍にあるものであって、生涯寄り添っていくものであって、その決意が丹田にあれば形など必要ないという結論に至ったからである。形が必要ないのであるから、そない頑張って手帳の冒頭に刻む必要もない。

今年の春先からちょっとタイプの違うブログを始めて月の満ち欠けや夏至冬至のことなど綴っているので、月の暦に敏感になった。先日23日の満月で感じたこと。それは何かが「環」になりつつある感覚。
日々神社に参っていれば、願い事もなくなり、挨拶と感謝だけが残るのと同じように、新月満月と繰り返してきたわたしの昨日はとても穏やかで、これを除去したいと思うような心の澱も、これを絶対離したくないみたいな切実な願いも、何もなかった。2018年の5月15日の新月から決意を持って始めたこと、始まったことが、返し縫いのように、少しづつは下がったりしながらも、しかし実になり始めている気がする。
                          
特に、出会ったすべてのモノや人を、じぶんから手放す決断はずっと出来ないでいたわたしが、自ら決断し幾つかのものーー中には長く携わってきた仕事などを含めーー手離す決断をし実行に起こしたというのは一つの革命ではなかったかと思う。
                         
「ねえ、この音楽はさ、わたしが生んでいるものなの、それともこれが生んでいるものなの?」
手回しオルゴールを奏でながらベスフレがわたしに尋ねた。「両方じゃないかな」わたしは答えた。

楽器だけでも、あなただけもこの音楽は生まれない、
まるで、あなたのようだね、パパとママがいて初めて存在する、あなたは音楽みたいなものだねぇ。
言ってみて、あまりにその通りでハッとする。
                          
そうだ命はまるで音楽のようなものなのだと。
誰かと誰かが関わり、愛が発生して音楽が生まれる。
でも2018年にわたしが学んだことは、けれども音楽は生まれる前からそこに在るのだということ。わたしたちは、誰か、がいなくとも、
生まれながらにして音楽であり、美しい惑星なの。

(イラスト=Mihokingo)

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今年も月モカをご愛読くださいましたみなさま、ありがとうございました!今年はようやく「短く」することに成功した月モカです。笑。大晦日に月曜が当たりましたので、振り返る感じの回をやってみました。いつもいいね!くださるみなさま、いいね!してないけど読んでるよって方、支えられて間も無く200回を迎えます、ありがとう。
                          
寒い日が続いていますがどうぞお体ご自愛ください、それでは、良いお年を!


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