なにも感じない
20歳頃。車を買ってからというもの、毎日のように夜な夜なジュリアナトキオー!!wを爆音で聴きながら友達とドライブした。
「今度はどこに行く?」
「私、婆さんの家さがしたいんよね。」
名前を聞いたばかり。
車で30分ほどの所に、名前すら知らなかったあの人の家はあった。
そんなに探さなくても、どの家かはすぐに分かった。聞いていた通りの大きくて立派なお屋敷。綺麗に手入れされた日本庭園のような広いお庭。
母屋の隣には昔ながらの倉まである。築100年の家にはとても見えない。たくさんのお金をかけて保っているのが分かる。
祖母はわがままなお嬢さまだったらしい。
0歳の私の母を置いて、祖父の元を去った人。
私が生まれた時、両親は私を連れて祖母に会いにお屋敷を訪ねた。
あの人はすでに新しい家庭を築いていて、母の事はなかったことにされていた。
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