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hydrangeaの季節

電車のなかでは、きみの幸せを願う言葉ばかり思い浮かんだ
笑って送り出すつもりだったんだ
18時42分着の阪急電車
珍しく駅前で待っててくれたね
貸したばかりの小説と一緒に

はじめて話をしたとき きみは「僕には嘘はつけないな」と笑いながらいった
普段嘘をついていきているの?
喉元まで出かけた言葉を慌てて飲み込んだ

会ってしまったらうまくいえなかった
こんなに文句ばっかり言うつもりもなかった
きみはうつむいたまま…申し訳ないと繰り返す
申し訳ないの理由教えてくれないの?

あんなにすきっていってくれてたのに
きみはぼくのこと おすすめの小説教えてくれたり
好きなアニメが一緒だったりこんなに感性が合う人いないといった
そんなこと聞いてない
ただ一言だけが欲しかったよ

きみと会う日はいつも雨

最後に目を合わせた時 一瞬瞳がふるえたね
いつもすぐ逸らすくせに 今日はちゃんとみてくれる
もうきみのこころの中に ぼくはいないんだね

嘘はつかない代わりに 何も言わなくなった
黙ることできみはきみを守ってる
本当のことを言ってくれたとしても すべてを受け止める覚悟あったんただよ?

もう振り返らない
珍しく見送ってくれてるの 背中越しにわかる
5月の夕暮れは爽やかさと温かみがあって少し背中を押してくれた
お互いあとは1歩踏み出すだけ

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