見出し画像

ざっくり…「5分でわかる「どうなる?生物多様性」放送内容概要

日本を始め世界の200近い国が加盟している生物多様性条約という条約のCOP15という会議が10/11中国で開幕した。


現在世界で100万種もの動植物が絶滅の危機にあると言われている。COP15ではこうした生き物や生息環境の保全など自然保護について10年毎に決めている目標として、これから2030年までの国際目標を決めていこうとしている。


目標はテーマがいくつかあり森林保護や水産資源管理など21のテーマに分けてそれぞれ目標案が議論されている。

大きなキーワードは「nature positive(生物多様性を回復方向へ)」というもの。

今の自然は絶滅危惧種の増加など生物多様性が減っていっている状況にある、これを2030年までに反転させて回復方向、ポジティブにしていこうという意味。


これまでは2010年に名古屋で開かれた会議で決められた愛知目標というものがあった。森林減少の速度半減や外来種対策等20の目標が掲げられていたのだが、世界全体で達成されたものはひとつもなかった。
例えば森林の保護についてであれば地域によってはこの10年で森林破壊が加速してしまった地域もある。海の環境であれば近年海洋プラスチック汚染や地球温暖化の影響等もあり、むしろ悪化しているともいわれている。


そもそも20目標のなかには具体性に欠けるスローガン的な目標もあった。

しかし森や海の生物多様性が損なわれると、今後温暖化の更なる加速や世界の食糧不足、野生動物由来感染症のリスクも増える等ということも懸念されている。

そこでこれまでと違って実効性の高い目標を掲げる方向へ変化している。

21テーマで上がっているものとしては、「2030年までに世界の陸と海を30%を保護区に指定して各国で守っていく」等といった案があげられてる。


目標を掲げる上での課題は…生物多様性を守る事が大事だという事に各国異論はないが、具体化していく上ではお金の問題も絡んでくる。特に今問題になっているのは「生物から得られる遺伝情報を元にした利益の配分をどうするか」という課題がある。

これまで自然が豊かな途上国で得られる植物や微生物等を元にして、先進国で薬の開発が行われ巨額の富を生む、ということが多く行われてきた。この利益のうちの一部を途上国にも還元することによって、自然保護の費用が捻出できたりまた、自然を守ることが利益を生むということで大切にしていこうという意識の向上にも繋がる面があり、元々この条約の中ではこの利益の配分ということが規定のなかにもあった。


ただ、近年技術の進歩によって実際に途上国から動植物を持ち出さなくてもデジタル配列情報、すなわち遺伝子データがあれば薬の開発等ができるようになったとも言われている。

デジタル配列情報から得られる利益というのはどうやって分配するのか、といった事が大きな課題になっている。


今回は新型コロナの影響でかなり変則的な会議となる。今週5日間オンライン中心にした会合で議論を深めた上で、続きは来年4月中国で対面開催し、そこで目標を決定するということになった。まだまだ議論紆余曲折がありそうである。


こうした多様な生物というのは薬だけにとどまらず、人類全体の財産といえるので次世代に受け継いでいけるような公平なルール作りが求められる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?