遅筆改善 『とある機械は、子どもが欲しい』

 どうにかして、自分の遅筆を改善したいと考えた結果生まれた産物です。大体、4時間位で書きました。
 一応、”ナースロボ_タイプt”の二次創作モドキとなっています。

 023はロボットである。”ナースロボ タイプT型”の23番目。0と1の脳内配列と外部からの刺激をひたすらにサンプルとして変換し続ける自己成長型AIが彼女を彼女たらしめていた。

 同型機と共に、定められた業務を繰り返し繰り返し実行するだけの日々。    

 患者[19809]の食事の手伝い、患者[24779]への鎮痛剤投与、患者[17777]の話し相手。
 患者[19809]の食事の手伝い、患者[24779]への鎮痛剤投与、患者[17777]の話し相手。
 患者[19809]の食事の手伝い、患者[24779]への鎮痛剤投与、患者[17777]の心拍数異常あり。
 患者[19809]の食事の手伝い、患者[24779]への鎮痛剤投与、患者[17777]のベッドの片付け。
 患者[19809]の食事の手伝い、患者[24779]の容態変化。患者[19809]の食事の手伝い、患者[24779]が元気な赤ん坊を出産、患者[24779]に祝福のメッセージ、、、。

 突如、023の人工知能は小さなエラーをはじき出した。「私も子どもが欲しい」。未知の感情の発露に、023は酷く困惑した。023は、「博士」に自身のエラーを報告する事にした。この病院に勤める「博士」は酷く、変わり者だった。

「ヤアヤアヤア!君から私を訪ねてくるなんて珍しいじゃないか。023、何かあったのかい?」

「はい。博士、私の人工知能は故障しているようなのです。私の中に、こんな感情が生まれるなんて、異常です」

「ふむ…。で、その感情というのは、どんなものなのかな?」

「『子供が欲しい』。そう思ってしまったのです」

「それは結構なことだ。君にはこれをあげよう」

 博士は、023にアルミ缶サイズの、ガラス容器を手渡した。

「…修理して下さるのではないのですか?」

「赤ん坊が欲しいんだろう?なら、私はその願いを叶えてやるだけさ」

 023は、ガラス管の中を覗き込んだ。よく見ると、そこには胎児のようなものが浮かんでいる。

「そいつは正真正銘、生物に分類されるモノだが、少々特別でね。そいつには食べ物も、空気も必要ない。君が愛情を注ぎ続けさえすれば、彼は君のそばで、いつまでも寄り添ってくれるハズさ」

 023は、ガラス管を大切そうに抱え、博士の研究室を出た。入口には、024がいた。

「あら、このガラス管はなぁに?」

「これは、私の子供です。博士から貰いました」

 023が答えると、024はにっこりとほほ笑んだ。

「良かったじゃない」

 それから、023はガラス管の中の胎児に愛情を注ぎ続けた。博士が寿命で死んでも、病院が無くなって、同型機たちと離れ離れになっても。抱き上げ、話しかけ、絵本を読んで、歌を聞かせた。

 ガラスの中の胎児は、朽ちることもなければ、成長することもなく、ずっとそのままの姿で、彼女と共にあり続けた。

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