2023/11/13

 一時期、CDを買うことに自分なりの価値を見出していたことがある。今も好きなアーティストのCDはちゃんと買うようにしてはいるし、サブスクにはない音楽を買ったり、即売会の同人音楽を買ったりするのだけれど、そういうのとは少し違う価値を見出していた。
 僕の乗っている車のカーオーディオは少し古くて、Bluetoothはついておらず、CDを読み込んで録音して保存できる代物だ。車を手に入れた時、家にあったCDを漁り、読み込ませ、聴いていた。小学生の頃、子守唄代わりに聴いていたUVERworldのCDとか、Vロック系とか。おかげで、週末はBOOKOFFで中古CDを漁る日々が続いた。もちろん、最新のCDも。
 そして、知り合いのバンドが作ったアルバムも、貰った帰りの車で聴けて良かった。CDを聴けるまでのプロセスに障害がないから、というのが良い。逆に、僕のバンドで作ったCDも、山梨で車を持っている人は聴いてくれて、感想もくれた。
 けれど、CDを入れて読み込ませることができない車を持っている人は本当にCDに興味がなく、具体的に言えば母親なのだけれど、CD頑張って作ったんだ、と渡そうとしたら「聴ける環境がないから要らない」と言われ、音楽にも子供の前途にも興味がないなんて……と絶望したことがある。子供の頑張りを見たいとか思わんのかね。冷たい家族だ……普通に泣きそうになったよ僕。
 お金の問題になってきてしまうので厳しい部分があるが、僕はまだCDを買って音楽を聴くことの方が特別感があって好きだ。サブスク、あまりにも色んな曲が聴けるから、一個一個の音楽への愛が薄れている感覚がある。YouTubeに上げたMVとかもそう。音楽を気軽に聴けるのはとても便利で助かっているけれど、音楽への楽しみが一個減っているなと思っている。DiscordのテキストチャンネルにMVとかサブスクのリンクを貼って「これおすすめだよ」って言われるより、CDを貸してくれた時の方が楽しい。楽しかった。ラルクやJanneのCDを貸し借りしたあの頃の感覚が、カーオーディオでよみがえり、今に繋がっている。音楽を買う、製品としてその手からその手へ、こういうのがまたいいんですよ。

牛丼を食べたいです。