みんもどき

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どんでん返し小説『阿呆な兄弟』

俺の兄ちゃんはな、マジすげぇんだぜ。ほんと、天才。やべぇくらいに半端ない。 俺の兄ちゃんはな、アボガドじゃなくてアボカド、が正しい言い方だって知ってるし、「最初はグー、っていう時にパーだせば必ず勝てるんじゃね?」っていうじゃんけんの必勝法を編み出したしたんだ。すげーだろ? この前、俺は地元の仲間の亜美と雄也と利根川に釣りに行ったんだ。でも、マグロが釣れなかった。それを兄ちゃんに伝えたら 「マグロは川にいないんだぞ」って教えてくれた。 やべぇよな、やっぱり兄ちゃんは天才だよな

    • 二人称小説「3つのかき氷」

      8月の下旬。あなたは地元の神社の夏祭りへとやって来ていた。 甘い香りや油染みた匂いが屋台の方から湿った風と共にあなたの鼻腔をくすぐる。楽しげな喧騒や打ち上げ花火は、あなたが今一人でいるという事実を忘れさせてくれる音。   喉が渇く。体が火照っている。 かき氷が食べたい。 あなたはそう思った。焼きそば、りんご飴、じゃがバターと並ぶ屋台の先にかき氷屋を売っている屋台があった。 「いらっしゃい」と屋台のおばちゃんが笑顔であなたを迎えた。 「かき氷を一つ」とあなたが注文すると、 「

      • かき氷③

        (この小説は、『3つのかき氷』の続編です。『3つのかき氷』をお読みになってからの方がお楽しみいただけます。) あなたは③のカードを手に取った。 「少し寂しい気持ちになるかき氷を選んだわけだね。 今作るからちょっと待っておくれ」 おばちゃんはかき氷マシンのスイッチを押した。かき氷マシンはドリルさながらの音を立てながら皿へと氷の粒を落としていく。 白く透明な氷の山ができると、おばちゃんはそこへ橙色のシロップをかけた。 「はい、できあがり。さぁ、お食べ」 あなたはかき

        • かき氷②

          (この小説は、『3つのかき氷』の続編です。『3つのかき氷』をお読みになってからの方がお楽しみいただけます。) あなたは『かき氷②』のカードを手に取った。 「ほうほう、ちょっとした知識が得られる②を選んだわけだね」 屋台のおばちゃんはかき氷機のボタンを押した。かき氷機はドリルさながらの音をたてながら皿へと氷の粒を落とし込んでいく。 白く透明な氷の山ができると、おばちゃんはそこへ橙色の液体をかけた。 「さぁ、お食べ」 あなたはかき氷を受け取ると、匂いをかいだ。新鮮

        どんでん返し小説『阿呆な兄弟』

          「かき氷①」

          (この小説は、『3つのかき氷』の続編です。『3つのかき氷』をお読みになってからの方がお楽しみいただけます。) あなたは、『かき氷①』のカードを手に取った。 「刺激的な体験ができるかき氷を選んだわけね」 屋台のおばちゃんはにやにやしながら、かき氷機のスイッチを押した。ドリルさながらの音を立てながら白い氷が皿へと積もっていく。 氷の山ができると、おばちゃんはそこへ黒い色の液体をたっぷりとかけた。 「できあがりさ。さぁ、お食べ」 黒い液体がかかったかき氷。あなたはそれを

          「かき氷①」

          どんでん返し小説『海賊じゃんけん』

          南の海を航海し続けるジョンソン海賊団。夏の満月の夜、船は港町に停泊していた。  船長をはじめ、多くのクルーは町へと繰り出した。酒を飲み、肉を喰らい、歌い、踊る。中には強奪や殺人などの悪事をするクルーも。  船の見張りは2人のみ。ジョンソン海賊団唯一の女であるキャノリーと副船長のゾムだ。  キャノリーは望遠鏡で町を見ていた。船長もクルーも宴や悪事で忙しく、戻ってきそうにない。  甲板にいるゾムは鉄砲を抱えながら居眠りをしている。 ゾムは賭け事やゲームが好きな男だ。トラン

          どんでん返し小説『海賊じゃんけん』

          どんでん返し『火のないところに煙は立たぬ(後編)』

          (作者より。この小説は『火のないところに煙は立たぬ』の後編です。前編を読んでから再度こちらへアクセスいただきますと、最大限に楽しめます。) 「いい加減にしてください」 ある日、野田先輩は声高々に言った。野田先輩の睨みを含ませた視線は老紳士へと向けられている。 私のバイト先に毎日来る老紳士。老紳士はいつも私の彼氏である野田先輩のレジへとやって来る。そして、こう言う。 「177番ください」 うちのコンビニのタバコは1番から143番までしかない。177番なんていうタバコは存在し

          どんでん返し『火のないところに煙は立たぬ(後編)』

          どんでん返し『火のないところに煙は立たぬ(前編)』

          私の勤めるコンビニのレジ後ろの棚には、多くのコンビニがそうであるように、ずらりとタバコが並び、番号が振ってある。1番から始まり、143番で終わっている。つまり、143種類のタバコがあるってこと。 去年の夏、私は"タバコ"じゃなくて、"タバコの注文"によって残酷に巻き込まれた。私の悲劇を聞いてください。 「アメスピのターコイズで」 私の目の前の親父が不躾に言った。 「かしこまりました」と私は言い、レジの後ろの棚の方を向く。 左上にはメヴィウスが並んでいることはわかる。けど、

          どんでん返し『火のないところに煙は立たぬ(前編)』

          どんでん返し小説「税金マニア」

          あるところに、沢田英二と川中春香という2人のカップルがいた。2人は都内の喫茶店へとやって来ていた。 「私とあなたがこうしてデートをするのは久しぶりね。そういえば、岐阜に行ってきたんでしょう?温泉はどうだった?」 「一ヶ月前の話だけどな、いい湯だったぜ」 「お友達と行ったのよね。あなたのお友達の・・・・名前は何だったけ?」 「高城圭佑。俺らは大学時代からの仲」 「あ、そうそう。高城君」 「明日な、高城の親戚の家に行くんだ」 「親戚の人とも繋がりがあるくらい仲良しなのね。

          どんでん返し小説「税金マニア」

          どんでん返し小説「いずれ選挙に行こう」

          5時間目のチャイムが鳴った。 ぼくの気分は最悪だった。外遊びの時間に、クラスメイトの賢治と喧嘩をしたからだ。 5時間目は6年1組の学級委員長を決める『学活』の時間。本当は5時間目は『社会』なんだけど、急に担任のミチコ先生が「隣のクラスをならって、1組も学級委員長を決めようと思います」なんて言い始めた。今までぼくらのクラスには学級委員長なんていなかったのに。 まぁ、そういうわけで、今日の5時間目は『社会』じゃなくて『学活』。 ぼくは耳クソをほじりながら、指の先にこびりつい

          どんでん返し小説「いずれ選挙に行こう」

          どんでん返し小説『村一番の美女の肝試し』

           城下町から街道を抜け、橋を渡った。月が川に映えている。舞鶴は夜空を見上げた。 「星が綺麗だわ」  月は川に映れど、星は映らぬ。星は空でしか見られない。舞鶴は星が好きだ。  星に恍惚していると、ふと風が吹いた。冷える。着物の袖の中へ手を引っ込ませ、舞鶴は村へと戻った。  舞鶴は村一番の美女だ。村に住む侍も百姓も漁師も、舞鶴に夢中だ。男たちは彼女へ求愛してやまなかった。  けれども、舞鶴は嫁いでいない。どの男と結ばれようかと悩み、未だに決めずにいるのだ。  舞鶴にとって、村

          どんでん返し小説『村一番の美女の肝試し』

          どんでん返し短編小説『君子がいるね』

          江戸川区に現れた悪魔を退治し、病院へと寄った後、浜崎唯は自宅へと戻った。 「遅いよ。今日は浜崎さんが夕食当番の日なんだからね」 同居人の金沢舞が口を尖らせた。 「ごめん、今作るから」 浜崎はトンガリ帽子を脱ぎ、台所へと立った。アボカドとツナを使ったパスタをさっさと作り、金沢に差し出す。 「いただきます」 嬉しそうに金沢はパスタを頬張った。魔女の仕事で疲れている浜崎は食欲がわかず、結局フォークを握ることすらしなかった。 「食べないの?栄養摂らないと、魔力がわかないよ」 「そう

          どんでん返し短編小説『君子がいるね』