好きな人

好きな人がいるっていいなぁ。

そうやって思えるようになったのも今の恋人が初めてだった。


高校生の時の恋愛なんて周りに負けないようにっていう謎のプライド的なもので彼氏を作っていたし、専門学生時代なんて恋人というよりいわゆるセックスフレンドとかいうやつに近かった。

高校生のときは好きになってもらうことがゴールだった。
だから、いいなと思った人に頑張ってアピールをして、両思いになった瞬間に冷めていた。
大して可愛くもない私のことを好いてくれてる人がいたのに本当に生意気だった。

専門学生のときは付き合うとかめんどくさい、だるい、無理の三拍子が揃っていたのでライブハウスで仲良くなった人とそういう関係になってみたり、ネットで知り合った人とデートだけしてみたり、既婚者とそういう関係だけを続けたり、バンドマンを好きになったこともあった。虚しさマックスの毎日には具現化された愛というやつがほしくて毎日死にたかったりもした。

具現化された愛なんてもんはセックスフレンドから貰えるわけもないし、貰えるもんといえば「今日の夜暇?」なんていうお誘いのラインくらいだった。

そんなときに出会ったのが今の恋人で、
当初はお互いに恋はめんどくさいし、付き合っても会うのは月に一回とかでいいよねって話をしていた。

それなのに何故か毎週会ってご飯へいってお泊まりもした。

付き合う前にそういうこともしなかった。

好かれたくて必死だった。

今思えば初恋ってやつだ。

そんな恋人が浮気をしていた。一度きりだったけど。
許せない事実、許したくない現実、見たくない顔。

それから私は携帯も見た。
裏切られている事実を探した。
いや、本当は裏切られてないという確証を得たかっただけだった。

携帯を見たのは私が悪いし、
見ていいことがないなんてバンドマンのときでもう分かりきっていた。
それでも確証が欲しかった。

だって大切な人だから。

でももうやめた。
探したって仕方ない、見つけても不安になるだけだし。

でも次、もしまた浮気をしたら怒りもしないし泣きもしない。すんなりと家を出ていく。

しないことを信じていたい、
していないことを信じていたい、
していいことと悪いこと、分別ある大人であることを信じていたい。

裏切られるのはもうこりごりなの。


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