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少年の死 おわり

大学3年の8月27日、初めての殺人から7年。
二度あることは三度ある。
僕の殺人記録はもうすぐ7人目。 

スマホ歩きの大学生、交通事故。
ごみ分別しないフリーター、火事。
立入禁止路地にたまる高校生、落下物事故。
ポイ捨て登山おじさん、遭難事故。
いじめッ子中学生、転落事故。
信号無視自転車、交通事故。 

意図的に作り出した偶然の重なりで、あっさりと消えていく命。癖になる興奮
もし、何かひとつかけ違えていたら死ぬことはなかったかもしれない。 

亡くなった人に恨みはない。
きっと死ぬ瞬間その人もあ、やべ。くらいの不注意で命を落とす。
制裁だとか正義とか信念のようなものは何もない。 

いつもと同じ今日がいつもと同じ昨日になって、いつもと変わらない明日がいつの間にか今日になる。
代わり映えしない毎日の中で、しびれるような刺激。 

7件目はどうしようか、少し手を加えたい気持ちもある。いくつか考えてる方法もある。 

集中を遮るように、小学生が言い争いしながら、僕の隣をすり抜ける。
そういえば、小学生はまだないな。
2、3歩踏み出して顔をあげる




     あ、



赤い信号。一瞬それが何を示すのかわからない。
耳をつんざくブレーキ音 

ゆっくりとスローモーションになりながら、廻る視界 

鈍い衝撃音、遠くの方で叫ぶ声
ゴムが焼ける匂い 

忘れられない始まりの夏、壊れた大学生の姿が浮かぶ
自分が見てるのか、自分を見てるのか 

信号は守れよ、小学生

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