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西田の論壇:iモード公式サイト終了で考える「iモードの本質」

知財、IT産業、ネット、放送にまつわる問題や社会現象を分析、考察していきます。


11月30日、iモードの公式サイトがサービスを終了した。ある意味で日本の2000年代を支えた存在の終了であり、一つの時代の終わり、とも言える。

一方で、「iモードとはどういう意味を持った存在であるか」は、少々誤解も多いように思う。iモードのすべてが日本独自で悪いものではなかったし、現在の目で見て無価値なものではない。

iモードがなぜ盛り上がり、そしてスマホの勃興とともに消えていったのかは、業界構造を含めた理解が必要になる。

そしてそのことは「ガラケー」と呼ばれるフィーチャー・フォンが、本当はどういうものだったのかを考え直すきっかけともなる。

今回は改めて、「iモードとはなんだったのか」を考えてみたい。

■「時間課金」からネットを解き放つ

iモードは1999年1月にサービスを開始した、NTTドコモの携帯電話向けネットサービスだ。実際には複数のサービスの集合体であり、総称が「iモード」である。

iモードには「携帯電話を使ったネット接続サービス」としての顔と、その上で動くメールサービスである「iモードメール」、接続サービスであるiモードの網内でコンテンツと課金システムを提供する「iモード公式サイト」、そして、それらが使える「iモード対応携帯電話」というレイヤーに分割できる。さらに、iモード網から専用のゲートウエイを通り、インターネット上に作られた「iモード対応コンテンツ」に接続することもできた。これは当時「勝手サイト」などと呼ばれた。

11月30日にサービスを終了するのはあくまで「iモード公式サイト」。端末の販売はすでに終了しているが、利用中のiモード対応携帯電話を使うための接続サービス自体は2026年3月31日まで続く。

あらためて説明されると複雑で面倒な印象を受けるかもしれない。

だが、iモードがスタート時にどういう存在であったかを理解するのは、この複雑性を頭に入れておく必要がある。

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