湿度って結構適当

冬場の乾燥時期には加湿器を炊いて、梅雨の時期には除湿器やエアコンで湿度を調整いたしますが、湿度50%ってどういう状態でしょうか。

湿度は湿り気を表す数値ですが、気象の分野以外でも使われ、それぞれ表現方法が違います。
大きく分けると絶対湿度と相対湿度があります。

絶対湿度
絶対湿度は単位当たりの水蒸気量、例えば体積当たりの水蒸気の質量で表されます。単位は[g/m^3]のようになります。

相対湿度
相対湿度は飽和水蒸気量に対して現在の水蒸気量を百分率で表したものになります。
ですから(絶対湿度)÷(飽和水蒸気量)×100となり、単位は%で示されます。
普段天気予報などで使われる湿度は相対湿度になります。
ですから湿度50%というのは、その気温での飽和水蒸気量の半分の水分が含まれるという意味です。そんな風に言われてもよく分かりませんね。

気象学の中では空間に対して水蒸気分圧または質量で記述されることが多く、工学的には乾燥空気の重さに対して水蒸気質量または分圧で記述されることが多い気がします。

飽和湿度のデータは探すといろんな単位で出てきます。気をつけてご使用ください。

飽和湿度は温度が高くなれば指数関数的に大きくなります。例えば
温度(℃)  飽和水蒸気密度(g/m^3)
  50                  82.1
  40                  51.2
  30                  30.4
  20                  17.31
  10                    9.41
   0                     4.85

この関係を見てもわかるように温度が下がると飽和水蒸気密度が急激に低下します。寒い季節に乾燥しやすいのはそもそも空気中に含まれる水分量が少ないため、失いやすいことが原因です。湿っぽさを

もう一つ、気をつけないといけないのは冷えた空気を温めても乾燥は改善しないという点です。冷えた部屋を電気ストーブや、ハロゲンヒーターみたいなもので温めても空気中に水分が供給されないためひどく乾燥します。言ってみれば砂漠のような感じです。すべての砂漠がそうではないのですが、砂漠は一般的に放射冷却が多いので夜間の気温が低下します。昼間は太陽の輻射熱で気温が上がり、気温が高く乾燥した気候が生まれます。
部屋の中で砂漠化を防ぐために加湿器を炊くわけです。石油ファンヒーターや、ガスファンヒーターのように石化資源を燃やすと熱と一緒に水分も放出されるのでその分乾燥し難くなります。

夏場にクーラーをつけると室外機から水が排出されることがあります。日本の夏の気候は太平洋側から流れ込む暖かく湿った空気によって形成されます。この空気を冷やし部屋の温度を快適にするのですが、空気の温度を下げることで水分量が飽和水蒸気量を超えてしまいます。すると水分が凝縮(結露)し室外機の外に流れ出るわけです。
サウナではどの程度の水分が含まれているか調べてみると面白いかもしれません。

1日の間で温度の上下があるとき、温度上昇し始めは空気中の水分量は変わりにくいので絶対湿度に変化は出にくいですが、飽和水蒸気量は増えるので相対湿度は下がります。
気温が上がり十分な時間がたつと、揮発する水分量が増えるのである程度絶対湿度が上昇し相対湿度があがります。
太陽が沈み気温が下がり始めると、水蒸気量はすぐに変化しませんから、絶対湿度はあまり変化しませんが、飽和水蒸気量は減るので、相対湿度があがります。
太陽が昇り始めるころ、最も寒い時間では飽和水蒸気量が最小になります。結露が発生するような条件の場合、絶対湿度は最小、相対湿度は100%になります。

適当に湿度について書きましたが、普段天気予報等で耳にする湿度〇%というのは、湿っぽさを表す指標としては結構気を付けなければならない数値だなあと

参考文献
1) 改定新版化学工学通論Ⅰ 疋田晴夫著 朝倉書店
2) 一般気象学第2版補訂版 小倉義光 東京大学出版会

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