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特撮喜劇 大木勇造 人生最大の決戦〜コロナ禍とはなんだったのか

くだらねえと苦笑しながら観ていたのだが、コロナ禍の最中に苦心惨憺、七顛八倒撮影され、ウイルスという怪獣との戦いに勝利した社会派作品と言えなくもないし、数年間にわたる我が闘争をイヤでも振り返らざるを得なくなった

さりとて、喉元過ぎればなんとやらで、時系列に沿って正確に思い出すことができない

思うところあり、すでに毎日ひたすら歩き続けていて、人との接触を避けるため、極力電車には乗らず、日日是修行と思い定め、とにかく遮二無二歩いた

一日平均10キロ、最大25キロ、このまま歩くことを暮らしにしよう、火野正平の自転車より歩こう、世界中の道を歩こう、よそんちの庭だろうが畔だろうがことごとく歩こうと歩いた

文明の病ともいえる疫病と向き合い、内なる文明をいったんリセットしてみようと思ったのだが、その間、会社員生活三十数年目にして初めて異動を命ぜられ、父の介護補助のために長期帰省し、姉一家がコロナで全滅、彼女たちの生活のヘルプをすることになったり、この高度文明下、歩くだけでは、歩いていては日々が立ちゆかぬ、歩くことはむしろ贅沢と痛感される

具体的には家族七人分の食料やら日用品の買い出しに行く、大黒様のように大きな袋を肩にかけ、スーパーから戻る、その間、クルマはたくさん走っているが人影はおよそない、こと地方において、荷物を背負って歩く人はきわめてマレビトということだ

やがて父親が逝き、生地である隣町の役所へ戸籍謄本を取りに行く途中、父世代の老人が運転する車に当て逃げされたこともあった、その時も延々と歩いていた

古い友だちがいきなりいなくなり、ゆくえをくらますとか杳として知れないという語感を初めて体感した

コロナとともに消えた彼はいまだ戻ってこない、思い出さない日のほうがはるかに多い、でも生きてるんなら帰ってこいやという話だ






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