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大谷翔平選手が高校生時代に書いた81マスの秘密

大谷翔平選手は、野球だけでなく彼の人間性にも注目されています。メディアが大谷選手のことを調べ、そこで出てくる一つに、高校生時代に書いた「目標達成シート」です。大谷選手が高校1年生の冬に書いた目標達成シートをどうやって完成させたのかを、想像してみます。

81マスの目標達成シートは仏教のマンダラをベースに作られています。マンダラは仏教の最新バージョン、といっても1200年前の話です、密教の難しい教えを図解でわかりやすく教えるために作られた仏教道具です。目標達成シートのヒントになったマンダラは、マンダラの中でも金剛界マンダラです。金剛界マンダラを見るとマンダラのデザインが3×3の9マスの構造になっています。そして、その中のマスにまた3×3の9マスがあるのがわかります。目標達成シートの構造と同じです。

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マンダラは1200年前に空海さんが唐(今の中国)から日本に持ってきた仏教道具です。そのマンダラが現在のわたしたちの生活の役に立つのではないだろうかと思った方が、わたしの知る限り3人います。一人は営業マンだった松村寧雄(やすお)氏、1979年、「仏教ー宗教=システム」だということに気づき、仏教道具のマンダラ構造で問題解決する「マンダラチャート」や「マンダラ手帳」を考案し経営コンサルタントをはじめました。二人目はグラフィックデザイナーだった今泉浩晃氏、1987年「マンダラート」のネーミングで手帳やノートを、今はスマートフォンで使えるアプリを提供しています。三人目は、体育の先生だった原田隆史氏、2003年、原田氏が考案した教育法「原田メソッド」で最初に使うツールに目標達成ツールの「オープンウィンドウ64」があります。大谷選手が書いた目標達成シートは、この「オープンウィンドウ64」といわれています。

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大谷翔平選手は今、27歳です。3つ上の高校の先輩に菊池雄星選手(30歳)がいます。二人は高校で一緒に野球をすることがありませんでした。その二人が今、アメリカのメジャーリーグに所属し、なんと二人ともオールスターゲームに出場するという夢のようなことが現実に起こっています。その二人の共通点は、同じ高校の野球部だったということです。高校時代の二人を指導したのは、花巻東高校野球部監督の佐々木洋先生(45歳)です。

大谷選手は地元出身の菊池選手に憧れていました。大谷選手は中学3年生のとき、菊池選手が甲子園で活躍する姿を見ていたに違いありません。大谷選手には身近に目標とする人がいました。菊池選手が目標達成シートの真ん中のマスに書いた目標は「高卒でドジャース入団」でした。当時はその目標は達成できず、日本のプロ野球、西武ライオンズに入団しました。今、メジャーで活躍する菊池選手を見れば、あのとき目標を諦めないで努力を続けていたことがわかります。

(わたしの想像です)

菊池選手が西武ライオンズに入団すると同時に、大谷選手が花巻東高校野球部に入ります。そして、高校1年の冬に、佐々木先生の指導のもと、目標達成シートを書くわけです。佐々木先生は、野球部の部員に「夢は夢のままで終わってしまうのではなく、夢を確かな目標にすることで、そこに辿り着くイメージはハッキリと浮かび上がり、決して消えることのない目標に向かって人は突き動くことができる」と指導されています。そして、「目標を達成するためには『書くこと』は欠かせない手順」として目標達成シートを使って、選手たちの夢を確かな見える目標にしています。

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目標達成シートの書き方

目標達成シートのマンダラは、真ん中に3×3の9マス、その周りに3×3の9マスが8ケあります。3×3のマスが全部で9ケあります。よって全部で81ケのマスあります。

まず、真ん中の9マスを書きます。真ん中の9マスの真ん中のマスに自分が達成した目標を書きます。大谷選手は「ドラ1・8球団」と書いています。

次に、周りのマスを埋めていきます。書く順番に決まりはありません。マスに書くときのコツがあります。「1つのマスに1つのフレーズ」で書きます。もう一つ、この81マスは、自分の頭の中にある夢をより具体的に確かなものにするためのものなので、目標を達成するための項目には、より具体的な数字の目標があるといいでしょう。

81マス全体をジーッと眺めます。真ん中に書いた目標、その目標を達成するには何が必要だろうか。自分は次どうすれば目標を達成することができるだろうか。そう思いながら81マス全体をジーッと眺めます。すると、頭の中に、ヒラメキ、気づき、アイデアが浮かんできます。そのヒラメキ、気づき、アイデアを1つのマスに1つのフレーズで、言葉を文字にして書いていきます。

大谷選手はどこのマスから書いたのかわかりませんが、わたしの予想で左上のマスから「体づくり」と書きます。そしてまた全体を眺めます。頭に浮かんだことを周りのマスに書きます。

大谷に選手は真ん中のマスの周りのマスに「コントロール」「キレ」「メンタル」「スピード160km/h」「人間性」「運」「変化球」と書きました。急いで書く必要はありません。頭に浮かんできたことを書きます。81マスのマンダラの真ん中の9マスが埋まりました。「スピード160km/h」のように数字の目標も入っています。

さらに深く考えます

次です。周りに書いた8マスをさらに深く考えます。周りのマスに書き出されたフレーズを、さらに周りにある9マスの真ん中のマスにコピーします。「体づくり」「コントロール」「キレ」「メンタル」「スピード160km/h」「人間性」「運」「変化球」を周りの9マスの真ん中のマスにコピーします。

81マスにここまで書けましたら、一度、全体を眺めます。書き方は今までと同じです。全体をジーッと眺めて、頭の中に浮かんできたヒラメキ、気づき、アイデアを1つのマスに1つのフレーズで、言葉を文字にして、空いているマスに書いていきます。文章のように書かなくてよろしいです。フレーズだけでかまいません。

それでは、「体づくり」のマスから書いていきます。書いては眺め、書いては眺めを繰り返します。「コントロール」「キレ」「メンタル」「スピード160km/h」「人間性」「運」「変化球」の9マスも同じように書いていきます。

マスを埋める順番は関係ありません。自由に、思いついたところから書きます。同じフレーズのマスがあってよろしいです。同じフレーズということは、共通しる項目ということです。

例えば、真ん中に「体づくり」がある9マスを見てみると「可動域」のマスがあります。真ん中に「キレ」の9マスの中にも「可動域」のマスがあります。スピード160km/hの9マスの中にも「可動域」のマスがあります。全体を見て、マス同士の関係性やつながりに気づきます。「可動域」をよくする実践すれば、「体づくり」「キレ」「スピード160km/h」の3つの目標に同時に近づくことができます。他にも「下股の強化」の項目も「コントロール」と「スピード160km/h」の9マスの中にあります。「体重増加」という項目は「体づくり」の9マスの中の「食事・夜7杯朝3杯」で達成できそうです。真ん中が「人間性」と「運」の9マスは、人間性を向上すれば運も上がる、運を上げるようにするには人間性を向上させるというような関係性も発見できます。

余談ですが、メジャーのシーンでも大谷選手が四球で一塁に行く途中で立ち止まってゴミを拾い、それをポケットに入れる姿が話題になり注目されました。日本人が見ても不思議な光景です。大谷選手はこの目標達成シートの「運」の項目に「ゴミを拾う」と書いたことからは、それを実践しているのかもしないのです。大谷選手が拾うゴミは、大谷選手にとってはゴミではなく、それは運なのです。

時間をかけて書いてOKです。自分のペースで書きます。全部のマスが一度に、一気に埋まらなくてもよろしいです。ヒラメキ、気づき、アイデアはいつ自分の頭に降りてくるのがわかりません。キャッチしたときに書けばよろしいです。

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81マスの目標達成シートが完成しました

書き方のコツは
・どのマスから書きてもOK
・1つのマスに1つのフレーズを書く
・空白のマスがあってもOK
・自分のペースで書いてOK

それでは81マスには何が書き出されたのでしょうか。それは、真ん中のマスに書いた目標、「その目標を達成するには、自分は次に何をすればいいのか」です。目標に辿り着くイメージを明確に見えるようにしました。

目標達成するための項目が81マスの中に72ケ書き出されました。ここで考えてみてください。もし、81マスのマスがある紙でなく、白紙の紙だったら、果たして72項目も書き出すことが出来たでしょうか。

ならば、どうして72項目も書き出すことが出来たのでしょうか。それはマスがあるからです。マスがあるから書き出すことができました。マスがあるから、マスを埋めたくなるのです。これは、大谷選手が特別に出来たことではなく、わたしたちでもできます。人間の脳には、空いているところ見ると、そこを埋めたくなる機能があります。「空白の原則」といいます。空いているマスがあるから埋めたくなることを利用して、目標を達成するための項目を頭から引き出しています。3×3のマンダラ構造は、脳の「空白の原則」を利用しています。

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81マス全体は、自分が目標を達成するために考えていることです。これが頭の中にあるのと、このような書き出して見えるようになっているとでは、まったく違います。頭に中にあることは見えません。「見えないことは妄想だ」とよく言われました。頭の中にあることを言葉にして文字にして書き出したことは、目標達成に近づいたといえます。

大谷選手の目標達成シートの上にも日付が書かれています。この目標達成シートをいつ書いたのかも重要だと思います。目標達成シートは、現時点での自分が考えていること、自分に必要なもの、自分のことを知ることができます。自分のことは意外に自分でわからないものです。でもこのように81マスのマンダラに書いてみると、今の自分がわかります。

今の自分がわかれば、次に何をやればいいのかが明確になります。夢があり、目標を達成するために何かをはじめるときに、やみくもにやらないことが重要だと思います。手当たり次第はじめるより、今の自分を知ってはじめる方が目標に早く近づけるでしょう。81マスのマンダラで全体が一目でわかります。中には同じ項目のマスもいくつかあります。そして、マス同士の関係性とつながりも見えてきます。もし、この項目がリスト形式で書き出されていたら、関係性はわかりづらかったかもしれません。書き出された項目のマンダラで見ると新しい気づきがたくさんあるでしょう。

今の自分がわかれば、自分に自信がもてるようになるでしょう。そして、謙虚な人になるでしょう。周りの人に感謝の気持ちがうまれます。自分を支えてくれる人たちをリスペクトできるようになるでしょう。大谷選手の人間性や振る舞いが注目されるのは、その方法はわかりませんが、今の自分を知る術を手に入れているからではないかと思います。

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81マスのマンダラの目標達成シートを完成させたからといって、目標が達成できるとは限りません。マンダラを書いても上手くいかないことの方が多いでしょう。

大谷選手と菊池選手のこの事例は、成功した事例です。成功事例を真似しても成功しない人の方が多いと思います。目標達成シートを書いても目標達成出来ない人、思い通りに行かない人の方が多くいると思います。目標に挑戦して結果は出なかったかもしれないけれど、目標に向かってやり遂げたことで、人間のステージは上がっています。だからまた、そのような人は新しい自分のマンダラを書いて、再挑戦することができると思います。

大谷翔平選手と菊池雄星選手が書いたマンダラを見比べてみます。

大谷選手のマンダラのには、菊池選手のマンダラと同じような項目があります。あくまでわたしの想像ですが、これは、同じクラブで同じ先生の指導のもとに書いたからでしょう。大谷選手が目標達成シートを書いたとき、菊池選手の成功事例を見て、参考していたと思います。これでよろしいと思います。上手くいっている人のマネしてOKです。

みなさん、大谷選手のマンダラをマネして書いてみるのも、自分の夢に近づく第一歩だと思います。81マスの中には目標を達成するための行動が書いてあります。それは、全て前向きな言葉です。言葉というのは言霊と言われるようにパワーを放っています。

さあ、目標達成シートに目標に近づくための行動が書き込まれました。言い換えると、81ケの自分との約束です。今から、この自分との約束を実践していきます。その実践のやり方にも、マンダラにはコツがあります。

(文責:中島正雄)

次回は「目標に近づくための行動を右脳思考で実践する」です。

参考:佐々木亨(著)『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』(扶桑社)

YouTubeで説明しました。こちらもご覧ください。


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