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第2回「大谷翔平選手の憧れ、菊池雄星選手が高2冬に書いたマンダラ「目標達成シート」

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岩手県の花巻東高校野球部の出身の大谷翔平選手と菊池雄星選手のお二人が、今、アメリカの野球・メジャーリーグで活躍中です。その様子が毎日ニュースになっています。大谷選手においては、野球の話題の他に仕草や振る舞い、人間性も注目されています。二人の共通点は、高校時代に目標達成シートを書いて、目標を明確にして野球に取り組んでいたことです。

目標達成シートは3×3の9マスの構造です。その9マスがさらに3×3あり、全部で81マスからなっています。この81ケのマスの真ん中のマスに目標を書いて、周りのマス1つ1つに、目標を達成するためにはどうすればいいいのかを書きます。目標に向かう前に、目標達成することを明確にして、日々実践し目標に近づいていくためのシートです。いわば、自分との81ケの約束です。

大谷選手と菊池選手は、今、高校時代に目標達成シートに書いた目標を達成していると、わたしたちが見て思います。お二人を見ていると、野球の他にもその人間性もアメリカでは注目を集めています。どうすれば大谷選手のような選手が育ったのか、それは高校時代に書いた目標達成シートにもその秘密があるのではないかと思います。

ここから先は、わたしの勝手な考察です。

二人の共通点は、同じ高校の野球部出身ということです。大谷選手は中学3年生のとき、甲子園で活躍する菊池選手のプレイを見て、菊池選手に憧れて花巻東高校に入ったと思います。大谷選手の憧れは菊池選手でした。大谷選手と菊池選手は3学年離れているので、大谷選手が高校に入ったときは、菊池選手は卒業して西武ライオンズに入団していました。

岩手県の花巻という土地柄は、冬は雪が降り、外で野球をやるのはとてもいい環境とはいえないところです。その学校が、甲子園、全国大会で勝ち上がるというのは、いったいどういう練習をしているのだろうと、その指導方法、そして何より指導者は誰なのかと調べてみたくなります。お二人を指導したのは、花巻東高校野球部・監督の佐々木洋先生(45歳)です。

佐々木先生の指導のもと、目標達成シートの記入は、二人とも冬に行なわれていました。外で思うように練習できない時期に、メンタルの土台をしっかり築こうと取り組んだのかもしれません。また、限られた場所、限られた時間の中、智恵を絞り工夫をして甲子園を目指していたのでしょう。

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目標達成シートは3×3の9マスの構造です。その元となっているのマンダラです。ここでは大雑把な説明になりますが、マンダラは、仏教の最新(最終)バージョンといっても1200年前のことです、密教を教えるための道具の一つです。マンダラは遣唐使で今の中国に行った空海さん、後の弘法大師が日本に持ち帰ったものです。仏教の最新バージョンの密教の教えは文字、つまりお経はとても難しいモノでした。そこで、文字を絵にして仏像とそのレイアウトを用いて図解で分かりやすくしたのもがマンダラです。マンダラのデザインには、難しいコトを分かりやすくする秘密があります。

そのマンダラをわたしたちの生活に活かせるのではないかと気づいた人が何人かいます。その中の3人の方を紹介します。

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一人目は、松村寧雄(やすお)氏です。松村氏は生きていれば現在82歳です。大学卒業後、当時は最先端企業だったタイプライターメーカーに就職し、バリバリの営業マンでした。それが40歳のとき、急に会社を辞め、ボーッとしているならウチのお寺の掃除に来いという一言で、お寺に通うようになります。そこで、松村氏は仏教を学びます。すると松村氏は「仏教ー宗教=システム」だということに気づきます。そして、仏教の智恵を経営に活かせるのではないかと、経営コンサルタントになりました。そこで考えらたのがマンダラを使った問題解決方法です。松村氏は、このメソッドはMY法と名付けました。さらに、マンダラチャート、マンダラ手帳を開発しました。1979年のことでした。今でも息子さんがクローバ経営研究所を引き継いで活動しています。

二人目は、今泉浩晃氏です。今泉氏はグラフィックデザイナー出身の方です。今泉氏も1200年前に考えられたマンダラが、今のわたちの生活の役に立つと分かった一人です。今泉氏のマンダラメソッドは『マンダラート』といいます。自分の“もやもや”とした考えを言葉に置き換え、マンダラに配置することによって、発想がどんどん生み出されていくことに気づいた方です。はじめから81マスのシートを用意するのではなく、次々と新しい9マスを使うと、発想に大きな効果があったり、意識が切り替わるとそれが刺激となり、新たな考えが浮かび上がることを教えています。グラフィックデザイナー出身なのでしょうか、今泉氏が提供するマンダラのフォーマットは美しいです。マンダラートがこの世に出たのは1987年のことです。マンダラートは、スマートフォンのアプリでも提供されています。

三人目は、原田隆史氏です。現在は61歳、原田メソッドの開発者です。原田メソッドは、体育の先生だった原田氏が考案した教育法です。原田メソッドで最初に使うツールが目標達成ツールの「オープンウィンドウ64」です。このツールは、松村氏の「マンダラチャート」をヒントに作られています。81マスの真ん中のマスに目標を、周りの8ケのマスに目標を達成するための計画を書きます。その8ケの計画をさらに周りの8ケの9マスの真ん中のマスにコピーして目標達成するために自分は何をすればいいのかを考えます。わたしの想像ですが、81マスー9マスー8マス=64マスが空いているので「オープンウィンドウ64」とネーミングされたのだと思います。2003年ごろのことです。

この三人の他にも、マンダラがわたしたちの生活の役に立つのではないかと提唱している方がいるかもしれません。いずれにしても、マンダラは1200年前に空海さんが中国から日本に持ってきた仏教道具です。

菊池雄星選手や大谷翔平選手が花巻東高校時代に書いた「目標達成シート」は、原田メソッドの「オープンウィンドウ64」です。

それでは、菊池雄星選手の目標達成シートを見て見ましょう。

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まず、真ん中のマスに目標を書きます。「高卒でドジャース入団」です。

真ん中に目標を書いたら、一度このシート全体、81マスをジーッと見ます。真ん中のマスの周りを取り囲む8ケのマスの1つのマスに1つずつ、「自分はどうすれば目標を達成できるか」を考え、頭に浮かんだことを言葉にして、文字にして書き込みます。書く順番は自由です。各場所に自由です。決まりはありません。コツとして、マスが小さいので短いフレーズで書くのがいいでしょう。字もきたなくていいのです。自分がわかればいいのです。この二人も、まさか自分が書いた目標達成シートが10年後、ネットやメディアに掲載され話題になるとは当時は思っていなかったでしょう。

一度に全部のマスに書けなくてもいいのです。1つのマスに書いたら81マス全体を眺めます。アイデアや気づき、発見が頭に降りてくるのを待ちます。

真ん中のマスと周りの8マス、つまり真ん中の9マスに目標が書き込めたら一段落です。

今度は、周りに書いた8ケのマスを、さらにまわりの9マスの真ん中のマスにコピーして書きます。そして、目標達成するために自分は何をすればいいのかを、さらに深く考えます。自分のことを自分で考えます。

こんなにたくさんのマスを埋めるのは大変だと思っている方、どうか安心してください。マスに書いては全体を眺めるを繰り返し、繰り返し行います。方法はただそれだけです。81マス全体をジーッと眺めていると、自分はどうすればいいのかが頭の中に浮かびます。不思議です。

一度に全部のマスを埋める必要はありません。時間制限もありません。書く順番もありません。頭に思い浮かんだところから書き込みます。自分のことを考えます。

81マスの書き方のコツ

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81マス埋まった目標達成シートを見てみます。これは全部、真ん中の自分の目標を達成するために、自分が考えて書き出した項目です。もし、マスのない白い紙だったら、81マス、目標を達成するための64ケの項目を書きだすことができたでしょうか。これには、3×3のマトリックスからなるマンダラ構造に秘密があります。

マスが64ケあるから64項目書き出すことができました。マスだから、マスを埋めたくなるのです。これは、菊池選手が特別に出来たことではなく、わたしたちでも同じです。人間の脳には、空いているところ見ると、そこを埋めたくなる機能があります。「空白の原則」といいます。空いているマスがあるから埋めたくなることを活用し、目標を達成するための項目を引き出しています。

マンダラ構造のシートには、もっと素晴らしいっことがあります。目標とか夢は持っていても書き出していない人の方が多いかもしれません。どんなに熱い思いも頭の中にあるうちは妄想なのです。頭の中にあることは自分にも他人にも誰にも見えません。自分の頭の中にあることを言葉にして、さらに文字にして書き出すと、自分にも他人にも見えるようになります。マンダラ構造の目標達成シートで、見えないことを見えるようにしたことで、目標に少し近づきます。

81マス埋まった目標達成シートを見てみると、真ん中に書いた目標をどうやって達成すればいいのか、自分が考えていること全体が一目で見ることができます。そして、項目同士の関係性、つながりも見えて来ます。この次は、この項目を実践して行くのですが、目標の全体と実践項目の関係性とつながりがわかっていると、やみくもに取り組まなくてよくなります。意味のない苦しい、自分を痛めつけるような練習をしなくなります。目標まで遠回りしないで、早く目標に近づくことができます。

スポーツに限らず、目標を明確にして、目標達成に向かって行こうと思っている人、ぜひ、大谷選手、菊池選手の成功事例をマネしてはじめてみてはいかがでしょうか。意外と簡単です。

9マスのシートは白紙の紙に線を引くだけで作れるので、手軽にはじめることができます。マネからはじめてOKです。ぜひお試しください。

1.どこのマスから書いてもOK
2.空いているマスがあってもOK
3.同じフレーズがあってのOK
4.先輩のマネをしてOK

(文責:中島正雄)


次回は大谷翔平選手の81マスを研究します。

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