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スケジューリングは自分と向き合う最高の時間

人生を豊にする手帳の場合土台にあるのは「日本人の智恵」です。その中の一つが仏教の智恵です。異色の師と経営者に慕われた無能唱元さんは、著書『得する人』の中で「仏教とは、自分に目覚めること」と書かれています。欧米では今の自分に気づくことを「マインドフルネス」といって瞑想に注目しています。今も昔も、人は今の自分に気づくことは難しいことのようです。方法は違いますが、手帳に向かって自分の理想の未来をスケジューリングすることも、今の自分を知る方法といえないでしょうか。人生を豊にする手帳の思想には、仏教の人生を豊かに生きる智恵が土台にあります。ですので手帳の中のデザインは、仏教の最新バージョン「密教」のマンダラをヒントに作りました。

NHKのテレビ番組・心の時代『マンダラと生きる』を観たときのことです。宗教学者の正木晃先生は、空海は密教にマンダラが欠かせない理由を以下のように説明しています。
『請来目録(しようらいもくろく)』で次のように語っています。
『密蔵(みつぞう)は深玄(しんげん)にして翰墨(かんぼく)に載せ難し。更に図画(とが)を仮(か)りて悟らざるに開示す』
今の言葉に訳すと次のようになります。
『密教の教えは、深く神秘的なために文字では伝え難い。そこで絵を用いて理解できない人の眼を開くというのです』


私の解釈で説明すると、仏教は2400年前、インドでお釈迦さまが説いた教え「生きることは苦しいこと」からはじまりました。その教えは苦行の体験で伝えられたといいます。インドでは、悟りを得るには出家して苦行をしなければなりませんでした。こうして仏教は、500年かかって中国に伝わりました。中国では、仏教の苦行は文字で、漢字のお経で説かれるようになます。出家しなくても悟りを得ることができるようになると、仏教は中国でも広まり、大乗仏教と呼ばれます。日本に仏教が伝えられたのは、そこからさらに500年かかりました。当時、後に弘法大師とよばれる空海さんは、奈良に来ていた中国の留学僧から、唐(今の中国)に最新の仏教があるとう情報を得ていました。その情報を知り居ても立ってもいられない空海さんは、遣唐使に潜り込み唐に行きます。そして、最新の仏教である「密教」を密教で一番位の高い阿闍梨から引き継いで、日本に持って来ました。その阿闍梨は、空海さんに密教の教えを伝授して間もなく亡くなってしまったので、最新の仏教は日本にあります。そもそも難解な仏教の教えをお経の文字で説明して、理解するには多くの時間が必要でした。そこで、図像であれば、一瞬でこと足りると考えられた仏教の修行をする道具が「マンダラ」です。空海さんが持ち帰ったマンダラの大きさは、縦が1.8メートルで、横が1.6メートルと大きいものです。分かりやすく言うと、畳二畳ちょっと欠けるかなというぐらいの大きさです。そこに、仏像の絵が規則正しく配置され書かれています。修行者は悟りを開くためにマンダラを使って瞑想します。

正木先生の解説では、正方形のマンダラを見たとき「対称性が強い」と言います。上下左右どこから見ても対称のシンプルでデザインは、パッと見て美しく見え、その図形に引き込まれていくような気持ちになるのだと言われました。そして、初めは何だかんだ考えるんですけど、眺めているうちに、その人が今まで気付かなかった才能とか、能力とか、意欲に気付くかもしれないと言われました。

私の勝手な解釈ですが、左右対象のシンプルで綺麗な正方形デザインのマンダラを眺めていると、自分の脳が動き出し、脳が瞑想している状態になるのではないでしょうか。

マインドフルネスが注目されているように、今の自分を知ることの最善の方法は瞑想です。自分の理想の未来を考えるスケジューリングは、今の自分を知ることから始まりまる、自分と向き合う最高の時間です。

ならば、マンダラを眺めると瞑想したときと同じ脳の状態になるこの智恵を、自分の理想の未来を考えるスケジューリングに使うことができたら、人生はもっと豊かになると思いました。

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