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あの時アメリカで見つけた理想の手帳がどうしても手に入らない

【高畑】なるほど、夢はスターバックスですか。それが2019年ですよね。そこからこの手帳(「M365」)の開発がスタートしたんですか?

【中島】
このノートの話をしているときに、秦さんが「なんであなたは手帳は作らないの?」と。秦さんは音楽家で、いろんな活動をされているんですけど、“超右脳人間”で発想がすごいんですよ。

【秦】
私はスケジュール帳難民だったんです。12月に1月始まりの手帳を買い、2月に4月始まりを買い、7月に9月始まりを買い……だけどどれも嫌なんです。

【高畑】手帳ですか。そこまで探しても理想の手帳が見つからなかったと?

【秦】
一番好きだったのはアメリカで学校の先生用に出していた、スケッチブックみたいなコイル製本の、画用紙をまとめたみたいな感じのものです。何が好きだったのかというと、ガパッと開けると上側のページにはマス目のカレンダーのようなものがあって、下側のページにはそのマス目には書ききれない1日1日のことを書けるものがついてたんです。だから、1回ぱっと開けるだけで全ての予定がわかったので。

それがいいと思ったんだけど二度とお目にかかれなくて…。いろんな店にも行ったし、通販も見たし、アメリカに行ったときにも探したんですけど見つからない。仕方がないからデスク用のカレンダータイプを使ってたんですよ。

【高畑】それではやはりだめですか、

【秦】
これだと全部マス目に書き込むので、マスの中に書きすぎてどんどん汚くなっちゃうんですね。それで、とうとう自分で画用紙を買ってマスを引いてそのアメリカの手帳にそっくりな物を作り出したんです。そしたらこれがめんどくさくって。それに手書きだから線がゆがんだりするし。これはダメだって思っていたところに、中島さんが「M9notes」を作ったから、「これ、スケジュール帳作れない?」って言うだけ言ったんです。


【秦】そしたら、次に会ったときに中島さんが既存の手帳にいろいろ貼り付けて試作品を作ってきてくれたんです。そのときに初めて私が欲しいというものを具現化してくれたんです。

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最初はページが全部同じ大きさだったんですけど、私は「このページが端までないのが欲しい」って言ったんです。どこをめくったらいいかわかんなくなっちゃうから、間にあるページを中途半端な大きさにしたい。これだとめくる時になんていうか、嫌な感じがしないというか、一体化してる感じがするんです。

ほかにもいろんなアイデアがどんどんどんどん湧いてきて、それでもう止まらなくなり「こんな形で、作ってください!」ってなったわけです。

【中島】
秦さんに言われたのもあるんですけど、私はやはり正方形にこだわっていて、正方形が右脳を動かすという思いがあるもんですから、月間表示を正方形にしたかったんですよ。

でも普通のB5サイズの見開きに正方形を入れると、余白が大きくなってしまって、しまらないですよね。これは美しくないですよね。美しくないと右脳が反応しないと考えているので、「これをどうにか美しくできないか」と思っていたんです。そしたら、「だったら切ればいいんじゃない?」って秦さんが言うから、「そっか、切れば良いのか!」って。

で、試作品を持って、「M9notes」を作ってくれたナカバヤシの出雲工場に行って、この形の手帳が作れるのかと相談したのが2019年の10月です。「まずは技術的に作れるのか?」ということを聞いてみたんです。

【高畑】うーん、これ、どうやって作ってるんだろう。相当難しいように思いますけど。

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