六つ目編み鍋敷き
私が竹細工を始めたのは2019年の12月。
この鍋敷きを初めて作ったのは、2020年の11月。
始めた頃、工房の作品を色々見て、あれもコレも作りたいなぁ、と思ったものの中にこの鍋敷きもあった。
使うひごも6本しかないし、六つ目ひとつ編むだけ。
一見初心者向きかと思いきや、よく見るとひごの厚さを3or4枚に剥がなくてはならない。
まだムリ!と、なかなか手が出せずにいたが、ちょうどひごを2枚に剥いで編むざるを作った後だったので、チャレンジ時だ!と思ったのである。
厚みのあるひごを数枚に剥いで編みやすくしながら、重なってることで同時にしっかり感も確保できる。
ひごの全部を剥がなくても、柔らかく編みたいところを部分的に剥いで、例えばカゴの縦のひごの最後だけを剥いで縁を編んだりもする。
剥ぐ技術があると、作品の自由度も増すのだ。
鍋敷き用の竹ひごの剥ぎ方
鍋敷きの編みに使うのは、節ありの長さ80センチくらいのひご。
幅5ミリ、厚さ1.2ミリくらいとしてみた。
ひごの両側から3枚に剥いできて、節の部分は剥がずにそのまま残す。仕上がりまでバラすことなく編みあげる。
編み方を参考にしたYoutube動画の方は、厚さ何ミリかは不明なれど、ひご全体を節の部分も含めて4枚に剥いであった。
そして端っこ3センチくらいは剥がずにくっつけた状態にしてあった。
そのまま編んでいって、ひごがばらける心配がなくなるとそのくっついていた端っこは剥ぎ切ってしまうというやり方だったのだ。
硬い節の部分を3枚や4枚に剥ぐ、というのがもう初心者の私には無理と判断した。
一本80センチを一気に最後まで剥ぎ続けるのもハードルが高く、両側から40センチずつならまだ成功率が高いと踏んだのだ。
3枚剥ぎ?4枚剥ぎ?
見本の鍋敷きは4枚剥ぎだった。
剥ぐ回数が多い方が、これまた剥ぎのハードルが多くなる。
3枚に剥ぐのと4枚に剥ぐのとでの仕上がりの違いはあるのか?と作り比べてみることにした。
4枚のほうが一枚一枚が薄いので柔軟に曲げられる分、落ち着いた少々おとなしめな印象に。
3枚の方は一枚一枚が若干厚くなる分、仕上がりは少々力強さがあるような感じがした。
幸い私はこちらの方が好みで、剥ぐ回数を増やさなくていいとわかってホッとした。
3枚に剥ぐと言うと、友人は「奇数に剥ぐのは難しくない?」と言った。
竹ひごを割ったり剥いだりするときには、大体厚みの半分、半分と割ったり剥いだりを繰り返して希望の厚さにしていく。6:4くらいで剥いだりすることもあるが大抵は半分半分と繰り返すのがセオリー。
4枚に剥ぐときは、厚みを半分にし、さらにそれぞれを半分、という順番で剥ぐ。
私の場合節の両側から剥ぐから、剥ぐ回数は1本につき6回。
3枚に剥ぐときは、自分より遠い側の3分の1を、皮目ギリギリで剥ぎ、残った方を半分に剥ぐ。
節の両側を剥ぐから、剥ぐ回数は1本につき4回。
今の自分の技量でできるだけ歩留まりが良くなるやり方を模索していくと、私には一番優しい方法を選択したつもりでも、他人には難しい、めんどくさい、となることはまあそりゃあるよね。
たまにそういう意見を参考に見直してみると、技術も上がっていて、あれ?もっと楽にできたーなんてこともあるかもしれない。
1.2ミリの厚さの竹ひごを3枚に剥ぐ
この3枚剥ぎ、竹割ナタを最後まで使って剥いでいく方法では、時間はかかるし、最後まで剥ぎきれずに失敗することも多かった。
苦戦をする私に先生が言った。
「口剥ぎでやるといいよ」
ナタで3センチほど剥いだら、片方を口に加えて剥いでいく、という方法。
確かに全部竹割ナタでやるよりは、スムーズにできる部分が出てきて、慣れれば良いのか?と思ったのだが、なぜ口?ヨダレも垂れるしw
で、採用したのが手はぎというか、抱きはぎ。
ナタで3センチほど剥ぐのは同じ。そのあとはひごの皮目を身体側にして脇の下に挟み、ひごの厚みを目で確認しながら両手で均等に剥いでいく。
これを習得してからは、98%くらいのひご作りを抱きはぎで作るようになった。断然早い!成功率も高い!しかもヨダレを垂らさずに済む!
私が抱き剥ぎを身につけられたのは、この鍋敷きのおかげなのだ。ありがたや〜。
輪っかを何で作るか?
この鍋敷きは、6本の竹ひごで六つ目を編み、それに輪っかをはめて芯として絡めるように編んでいく。
その、輪っかをどう作るか?がまた悩ましく。
始めたての頃は、何がなんでも全部竹で、あるいは自然素材で作りたい!と思っていたから、輪っかも竹で作ることにした。
見つけたのは、たが編みで作る輪っか。
一本で作ることも二本で作ることもできる。が、直径約18センチの輪っかを作るとなると、一本ではえらく長いひごが必要になってしまうので、二本のタガ編みで作ることにした。
それでも、必要なひごの長さは円周の3回し分くらいは必要となる。すると、18×3.14×3の、169センチのひごが二本必要ということになる。
真竹の節間が大体40センチだから、節間4つのながさ。
節を超えてひごを作る、というのはこれまたちょっとコツが必要なところだった。
さらに竹林整備から持ち帰ることのできる竹のサイズとしても、この頃は節間4つがせいぜいだったので、その時作れるマックスのひごの長さは160センチだった。
いろいろな制約や技量が、作品作りを左右していく。
たがあみで作った輪っかはしっかりしていていいのだが、もっと楽できないかな〜とその後、家に余っていた丸籐を捻って輪っかにしたものを使ってみた。
たが編みした竹と比べると少々柔い、しかし編み上がってしまえばその柔さも気にならない。
しかし、これの問題点は素材の値段の高さにあった。
籐は輸入品。
最近は本当に手に入りづらいし値段も上がった。これはちょっともったいなさすぎる。
たが編みも編んで行くと終盤でひごが折れたりして失敗することが多く、結局は長い竹のひごをねじるだけで円を作る方法に落ち着いた。
でも色々と苦労したおかげで、プレゼント用にたくさん作ったりすることもできるようになった♪やれやれ。
キレイに編むコツ
最初は、真ん中の六芒星をキレイに、と思って作っていたが、出来上がりのバランスが思ったほどキレイにいかず、なんでだろうと思っていた。
ある時ふと、作り方の動画を見ていて、六芒星の尖った先と、輪っかの交差でできる三角部分が、自分のものよりも小さいことに気がついた。
この方が編みやすいだろうと、今まではわざと大きく設定していたところだった。
この6か所の三角形を極力小さくした上で六芒星を整えてみたところ、なあんと、ひごで構成されたいろんな図形がしっかりと出るようになった。
目立って見える図形を一生懸命揃えようとするよりも、そこ以外の要素を揃えることで目が整いやすい、うまくいく、というのはなんだか面白い。
でも意外とそういうものだよね、とも思ったりする。
キッチンにいくつあってもいい!竹の鍋敷き
この鍋敷き、使うと便利で、ウチのキッチンでは鍋一つにこの鍋敷きを一つあてがってあるほどに活用している。
何せ自作だから、これにも敷きたいと思ったら作ればいい♪
ル・クルーゼとか、ストウブとかの重たい鋳物の鍋。土鍋、ホーローのやかん。
そういうものをしっかりと支えてくれるし、軽いし、ちょいとフックにかけておけるし。
ワークショップで作った方やプレゼントした方で、ドライフラワーなどを飾って壁掛けにしている、という方も多い。
星型だから、和風すぎない感じが良いのかもしれない。
そしてなんと言っても、コーヒー用のお湯を沸かしたポットをちょいと置いたり、ご飯を炊いたストウブを火からおろす時にも、「この鍋に似合うなぁ」なんて思いながら、なんともその度にうれしいのよね!
こうやって好きなだけ使えて、作れるようになってホントによかった!と思うのだった。
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