業界情報 金融 3.10.19〜

業界情報 金融 3.10.19〜

⚫️2021.10.25日本経済新聞🗞

【サマリー】
中小資金繰り悪化
東京商工リサーチによると年末年明けが山
収益力改善がカギ

【思ったこと】
収益改善は必須
事業転換も含めて
資産売却、理念以外の経営基盤の再構築
苦しいけどやるしかない

【記事全文】
中小・零細企業の資金繰りが悪化している。借入金を本業の利益で割った返済負担は2021年3月末に08年のリーマン危機後の水準まで悪化した。政府の新型コロナウイルス対策が下支えし、企業倒産は半世紀ぶりの少なさにとどまる。だが零細企業の負債は50兆円を超え、無利子・無担保の制度融資は過半が22年末までに返済が始まる。収益力が戻らなければ倒産が増加に転じかねず、コロナ収束に向け時間との戦いが
「再び感染が拡大して営業自粛となれば、冬は越せそうにない」。東京都のJR神田駅近くに焼鳥店を構える経営者は警戒感をにじませる。
約20席の小さな店舗だが、仕入れ代金や賃料、人件費は多い月で300万円にのぼる。毎月数十万円の赤字が続き、手元資金はほぼ底をついた。緊急事態宣言が解除された10月以降は客足も戻りつつあるが、「廃業は今も選択肢の一つ」と打ち明ける。
企業の借り入れが膨らむ一方、返済原資となる収益の改善は遅れている。借入金から手元の現金を引いた実質有利子負債をEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)で割った返済負担を調べると、21年3月末に4.9倍だった。リーマン直後の09年3月末の5.2倍に近づいた。



この倍率は、毎年の利益を借金返済のみに充てた場合に完済まで必要な年数を示す。特に中小・零細企業の返済余力の悪化が目立つ。資本金が1億円を上回る大企業は4.7倍にとどまる一方、1000万円未満は14倍近い。中小・零細の比率が高い飲食サービスなどの赤字が響いた。
一方で倒産は抑え込まれている。東京商工リサーチによると、21年度上半期の企業倒産は2937件と1年前から24%減り、57年ぶりの少なさだった。企業倒産が1万5000件を超え、失業問題に発展した09年と対照的だ。
倒産減少は危機先送りの色彩が濃い。政府や金融機関が資金繰りを支えているためだ。利息の支払いを免除したり、焦げ付いた場合の補償を国が担ったりする「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」は政府系金融機関、民間の合計で40兆円を超える。
だがゼロゼロ融資は過半の企業で22年中に元金返済の猶予期間を終える。コロナ再燃で企業活動が停滞すれば、重荷に耐えきれない企業が続発しかねない。東京商工リサーチの坂田芳博氏は「年末、年明け以降が山場」とみる。



予兆はある。8月末、東京都内の包装資材メーカーが破産した。大手メーカーから生産を請け負うほどの技術力を持ち、借り入れをテコに積極的な設備投資を続けていた。コロナ禍で売り上げ回復のメドが立たない中、ゼロゼロのような低負担の融資ですら支え切れなくなった。
ゼロゼロ融資の返済が滞れば負担は国民に回る。各自治体の信用保証協会が弁済するが、大半を日本政策金融公庫が提供する保険がカバーするためだ。日本公庫が20年度に引き受けた保険は33兆円を上回る。将来の保険金支払いに備える準備金を費用計上したため、21年3月期の最終損失は1兆372億円に上った。
コロナ禍で倒産が想定以上に増えれば、日本公庫の赤字は拡大する。日本公庫には政府が100%出資しており、破綻は起こりえない。だがコロナ禍で投入された約1兆5千億円の財源は税金だ。コロナ収束はさらなる負担を避ける前提条件となる。
「本源的な収益力の改善が不可欠」――。政府が6月に閣議決定した成長戦略実行計画にはこんな文言が躍る。中小企業を支えるには事業再生支援を通じた収益改善が欠かせない。融資拡大で問題を先送りし続ければ危機の芽は膨らんでいく。

⚫️2021.10.22日本経済新聞🗞

金融庁は毎年、事務年度金融行政方針をまとめている。2021年度は新型コロナウイルス感染拡大が地域経済に与える影響に関して、「地域に根差した金融機関が中心となり、地域・業種の特性も勘案し、経営改善・事業再生・事業転換支援等の取り組みを進めていくことが必要だ」と強調。「地域経済を支える『要』となる存在」である地方銀行など地域金融機関への期待を表明している。
さらに、「地域金融機関を取り巻く経営環境は、低金利環境の継続や人口減少・高齢化の進展、さらにはコロナの影響により厳しさを増している」との認識のもと、経営基盤の強化に向けた各種の環境整備、業務範囲規制・出資規制の抜本的な見直しを行ったと述べている。
こうした認識は至極当然のことだが、多くの地域金融機関ではその認識に沿った取り組みが進んでいない。理由として、「地域に根差す」という意味をキチンと理解していないことが考えられる。
金融機関側は自らの営業エリアを「排他的専管地域」ととらえ、全国に展開する銀行や近隣県所在の銀行が足を踏み入れることを忌避してきた感が強い。貸し付け対象先に地元企業が多いという「地方色」はあっても、他機関との差を明確にして、融資の内容や形態、条件を地域の状況に即したものにしただろうか。むしろ、「標準形」ともいうべき全ての金融機関が採用する一般条項の適用にとどまっていたような気がする。
融資以外でも、少なくとも「トライ」してみる意義のある分野はいくつかある。
筆者は相当前から高齢化社会の急速な到来を念頭に、判断能力が低下する高齢者の財産管理、ひいては遺産管理に地域金融機関が取り組むべきであると訴えてきた。しかし、こうした分野に積極的に取り組む機関は稀(まれ)で、取り組む機関も無償のサービス分野としてしか扱ってこなかった。ようやく信託免許を取得して、本格的に業務に取り込もうという機関も出てきたが、遅きに失している。
密着度、信頼性、採用等を通じた人的ネットワークという、他機関では得にくい特性を有効に用いずに来た結果、相続後の資金は相続人世代が多く居住する都市部の金融機関に流れてしまった。こうした状況に不満を漏らす者もいるが、ある程度は自らの業務意欲で抑制できただろう。
手数料の大幅な引き下げ、国債金利の「ゼロ化」という状況下で、バッファーとして確保すべき収入源の先行きは狭まっている。メガバンクや外銀が組成する発展途上国向けローンに少数参加したり、組成されたローンに基づく債券化商品を取得したりすることは、為替のヘッジ代金や保証料の支払いを勘案しても、国内での利ざやを上回る収入をもたらすことは自明だ。
だが、機関の役職員や地方公共団体、議会も「そんな外国に資金を流さず地元に回すべし」と言う。地元に旺盛な借り入れ需要のある時には、その意識、注文にも一定の妥当性があるだろう。しかし現状においては、単に地域金融機関の収入確保に向けた手足を縛るだけになっている。

⚫️2021.10.21日本経済新聞📰

【サマリー】
太陽光発電事業者
粉飾くりかえし融資搾取

【思ったこと】
こーゆーことすると、
まっとうにやってる企業も銀行から色々疑いの目で見られる
憤りしか感じられない

【記事全文】

再生可能エネルギーの発電事業などを巡る融資金詐取事件で、詐欺罪に問われた太陽光発電事業のテクノシステム(横浜市)の元専務執行役員、近藤克朋被告(54)の初公判が20日、東京地裁(向井香津子裁判長)であった。罪状認否で近藤被告は起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で、同社について「2018年11月期には債務超過に陥っていたが、粉飾決算を繰り返していた。遅くとも20年以降は太陽光発電設備の具体的な計画もなかった」と指摘。近藤被告は同社社長、生田尚之被告(47)=詐欺罪などで起訴=の指示で、銀行融資を受ける際に提出する虚偽の書類を社員らに作らせていたと主張した。
起訴状によると、近藤被告は20年5~7月ごろ、生田被告らと共謀し、太陽光発電設備の開発を装った書類を阿波銀行に提出、約7億5千万円の融資を詐取したとされる。

⚫️2021.10.19日本経済新聞📰

【サマリー】
協会付き融資 東京 83%減
コロナ禍当初に多額の融資があったためその反動

【思ったこと】
当然こうなる
なって正解
調達した余剰は、大事に使って欲しい投資とかに回さないで

【記事全文】

東京信用保証協会のまとめによると、東京都や都内自治体を通じた4~9月の事業者への融資額は7749億円だった。新型コロナウイルス感染拡大直後で資金需要が大幅に高まった2020年同期より83%減った。20年度に多くの事業者が当面の運転資金を確保した反動が出た。



信用保証協会は自治体と連携して事業者向け融資をし、融資額に相当する「保証承諾額」の実績を集計している。20年より大幅に減った一方、19年同期比では45%増だった。コロナ流行による都の営業制限要請などが続く中、資金需要は高い水準が続いている。
4~9月の保証承諾件数は4万8224件で20年同期比で76%減、19年同期比で24%増だった。

⚫️2021.10.18NewsPicks

金融庁は今秋からメガバンクなど大企業で働く管理職や専門人材を地方の中小企業に紹介する事業を本格的に始める。転職や出向の希望者を専用システムに登録してもらい、地方企業へのマッチングを担う地域金融機関が検索できる体制を整えた。豊富な経験を持ち、社長の右腕になる人材を中小企業に紹介し、事業改革を後押しする。
金融庁は6月にシステムを完成させた。官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)が管理し、10月に人材紹介業を担う地域銀行と信用金庫、提携人材紹介会社に無料開放した。リストには現時点で、大手行の行員ら数百人が転職や出向の希望者として登録している。大手メーカーや商社など80社ほどに協力を呼びかけ、徐々に登録数は増えている。
新型コロナウイルス禍の長期化で、地方の中小企業は大きな影響を受けている。東京商工リサーチによると、2020年に全国で休廃業・解散した企業は19年比15%増の4万9698件、00年の調査開始以降の最多を更新した。



政府や金融機関による資金繰り支援で倒産件数は抑えられているが、コロナ禍の収束後に売り上げが回復する見通しが立たない中小企業も多い。このため追加の借り入れをためらい、先行きへの不安から休廃業に踏み切るケースも増えている。
金融庁が中小企業を対象に21年に実施したアンケートでは、「経営人材が不足している」との回答が66.6%にのぼった。経営人材が必要になった場合、誰に紹介してもらいたいか尋ねると、3分の1が「メインバンクやそのグループ会社」と回答した。地方の中小企業は金融機関に経営人材を紹介してもらいたいとのニーズは高い。



金融庁は大企業人材の紹介を通じ、中小の事業転換・事業拡大を後押しする。今回の事業では、地域金融機関が企業側が求める経験や能力を具体的に聞き取った上で紹介し、企業が採用すれば国から補助金が入る。
能力の高い人材をより円滑に、低コストで採用できることが利点だ。金融庁は18年に監督指針を改正して人材紹介業を金融機関の付随業務として認めており、取り組みを加速させる狙いもある。
大企業にとっても社員のセカンドキャリアの確保は重要な課題のひとつだ。メガバンクの場合、役員にならなければ52歳前後でグループや取引先企業に転じるのが通例だが、「取引先への出向・転職の枠は徐々に細ってきている」(メガバンク幹部)という。これまでの経験を地方の中小企業で生かせれば、それぞれにメリットが期待できる。
もっとも、大手企業の転職候補者は東京に集中しており、地方企業への関心が高いとはいえないのが現状だ。金融庁は転職候補者を対象に、8月から中小の経営実態や地域の実情などを事前に理解してもらう研修も始めた。大企業への働きかけを強め、最終的に1万人規模の登録者をめざす。

⚫️2021.10.18日本経済新聞📰

ブロックチェーン(分散型台帳、総合・経済面きょうのことば)技術を使って、金融機関などを仲介しない金融サービスが急拡大し始めた。DeFi(分散型金融)と呼ぶ仕組みで、暗号資産(仮想通貨)売買や融資など市場規模は約1000億ドル(約11兆円)と1年で約5倍に急増した。資金洗浄の温床になりかねないと当局は警戒を強める。半面で、DeFiの膨張は中央集権型でコストのかかる既存の金融秩序に変革を迫るものともなる。

DeFiの柱は銀行を介さない融資だ。インターネット上の取引の場では仮想通貨チェーンリンクを年利0.1%で借りられる。日本の住宅ローンの変動金利(0.4%程度)よりも低い。DeFiは無人の取引システムに個人が仮想通貨を預けて、これを借り手が受け取る。
信用力のある金融機関が安全な取引を仲介する従来の金融は利用者が手数料を支払う。DeFiは低コストで利用者同士を直接つなぐ仕組みだ。
仮想通貨の上昇を見込んだ投機的な貸し借りが多い。将来的には相対取引で借り手が事業資金や住宅購入に充てることも想定される。DeFiの資産総額は980億ドルを超える。日米欧の預金取扱金融機関の現預金額(6800兆円弱)の0.1%程度だが、成長スピードは速い。
モノやサービスが行き来するデジタル時代に取り残されてきたのが、国家が権力を独占する通貨だ。20カ国・地域(G20)平均の送金コストは約10%。海外送金には数日かかることもある。DeFiは365日24時間即時に取引が成立する。
2008年に通貨システムへの挑戦として仮想通貨ビットコインが登場したが、各国で登録業者での取引が義務付けられるようになった。DeFiは規制の網から逃れ、あらゆる仮想通貨を使って保険や融資などを手がけられる。米決済大手スクエアのドーシー最高経営責任者(CEO)は「グローバル通貨があればすべての人にサービスを提供できる」と語る。7月にはDeFiの新部門の設立を決めた。
理想と現実の差は大きい。DeFiでは不正取引が横行する。21年8月には取引の場を提供するポリ・ネットワークで700億円弱の仮想通貨が流出した。本人確認がずさんで、麻薬カルテルなど資金洗浄の温床になっている。
国際組織FATF(金融活動作業部会)などは監視強化に動くものの、管理主体があいまいで規制の網がかけられない。DeFi開発の非営利財団「メイカーダオ」は7月に創業者が解散を発表した。開発主体はいないのにプロジェクトは作動し続ける。
問題も多い半面、DeFiの台頭は既存の金融秩序に変革を迫ることにもなる。米フェイスブックが19年に提唱したデジタル通貨「リブラ(現ディエム)」は、主要国の反対で計画の修正を迫られた。一方で、あわてた各国中銀がデジタル化にカジを切る契機になった。
国際決済銀行(BIS)は主要7中銀とともに相互に接続可能な中央銀行デジタル通貨(CBDC)のあり方を検討する。中国やタイなど新興国同士をつなぐ決済網の実験も始まった。CBDCが実用化すれば、低コスト・短時間での送金ができる。
金融システムの脆弱性を高める無秩序なDeFiの膨張は、コストの高い中央集権型の金融からの脱却の呼び水となる可能性がある。

⚫️2021.10.14日本経済新聞🗞


ゆうちょ銀行は来年1月から手数料を改定する
「よく踏み込んだな」――。銀行関係者が驚くのはゆうちょ銀行が打ち出した手数料の改定方針だ。同行は2022年1月17日から、ATMで硬貨を入金する際に手数料をとる。硬貨1~25枚の入金から110円がかかる。手数料以下の入金はできないため、最低でも111円、500円硬貨なら1枚から手数料がかかる。ATMでこうした手数料を導入するのは大手行で初めて。
ゆうちょ銀は理由を「当行を取り巻く経営環境が厳しくなっており、一定の負担をお願いせざるをえない」と説明する。ゆうちょ銀はほかにも、これまで無料だった窓口での硬貨入金にも手数料をかける。「長期安定的なサービス提供と金融サービスネットワークの維持に適切な料金体系を検討した」(ゆうちょ銀)
「誰もゆうちょを笑えない」というのが銀行業界の受け止めだ。メガバンクでは19年12月に三井住友銀行が、20年4月に三菱UFJ銀行とみずほ銀行が、窓口での大量の硬貨入金に対して手数料を新設した。10月にはりそな銀行が硬貨による入金手数料を引き上げた。
硬貨の入金や両替は飲食店や小売店など中小事業者がお釣りの用意などで頻繁に利用するサービスだ。事業者に日常的な負担増を求めることになるが、現金を取り扱う銀行側の負担はどうなっているのか。
銀行支店ではまず、ATMや窓口で預かった硬貨を専用の機械で50枚ずつビニールでまとめる。その後、ドンゴロス(麻袋)と呼ばれる頑丈な袋に詰め、現金輸送車の回収に合わせて支店の外に運ぶ。成人男性でも1つ運ぶのに大変な重さだという。支店運営で手間とコストがかかる代表的な業務の一つだ。
現金の取り扱いに手数料をかける背景には厳しい収益環境がある。全国銀行協会によると、メガバンクなど大手5行の国内での20年度の資金利益は約1兆8000億円と、5年前(2兆4000億円)から2割強減った。超低金利環境が長引いているためだ。融資に回す預金を集める拠点としての店舗の重要性は下がり、「付帯サービス」として無料で提供してきた両替や入金などの業務ごとにコストに見合った対価を求めざるを得なくなっている。
ATMも例外ではない。現金輸送は高度なセキュリティーを求められるため、2人以上で担うほか、警備会社に委託するケースもある。三菱UFJ銀と三井住友銀はATMの管理・保守を協調領域と位置づけ、運営コスト抑制にむけて共同運営に乗り出した。
先進国ではATM数は減少傾向にある。国際通貨基金(IMF)によると成人10万人あたりのATM数はオランダでは36台と10年前(58台)から約4割減った。スペインやデンマークでも3割減少している一方、日本は122台と7%減にとどまっている。
英調査会社ウィー・アー・ソーシャルの調査によるとネット銀行など金融アプリの利用率は世界全体が35%なのに対して日本は21%で根強い現金主義を物語る。相次いで導入される手数料は、利用者が現金を使うコストを実感するきっかけになる。

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