業界情報 海運

業界情報 海運

⚫️2021.10.26日本経済新聞🗞

【サマリー】
コンテナ輸送業況堅調
巣ごもり需要による家具家電の輸送等の増加背景
特にアジア→北欧

【思ったこと】
苦しい業界が多い中で
いい業界もある
海運業界さんは、時流に乗っていい時に自己資本暑くしたり投資して経営基盤の強化をしてほしい

【記事全文】

川崎汽船の2021年4~9月期連結経常利益は前年同期比23倍の2300億円程度になったことがわかった。従来予想を300億円上回り半期ベースで過去最高益だった。コンテナ船市況が一段高だ。新型コロナウイルス禍からの正常化に向けた経済活動が活発になっており、世界的な物流の逼迫状況が海運企業の業績に顕著に反映されている。
新型コロナウイルス禍の巣ごもり消費を発端として、家具や家電などを運ぶコンテナ船の輸送量が急増している。アジアから北米向けの輸送需要が高水準だ。北米では港湾輸送の目詰まりに伴い需要に対して供給が追いついておらず、コンテナ市況が高止まりする要因になっている。
業績をけん引するのがコンテナ船を手掛ける日本郵船、商船三井との共同出資会社だ。川崎汽船の出資比率は31%。同事業からの持ち分法投資損益は営業外で計上するため、経常利益が大幅に伸びた。

海運」
2018.8.30
船舶燃料にかかる規制が2020燃料1月から始まる。
燃料に含まれる硫黄分の上限が引き下げられる。今の重油はそのままは使えない。
石油会社で、低硫黄の石油を精製する設備投資を要すると考えられ、コストアップが懸念される。

181128
丸たつ、外国人労働者は?

181218日経わ
アジアから米国へ貨物を運ぶコえンテナ船のスポット(随時契約)運賃が下落した。2019年1月の米国による対中関税の税率引き上げを想定した米国の輸入業者による在庫積み増しが一服したもよう。引き上げは延期されたが、前倒し発注のペースが緩やかになった。米国の年末商戦向け輸送も終わり、貨物スペース不足が解消した。

指標となる中国発米国西海岸向けは40フィートコンテナ1個当たり1935ドル程度。6年ぶりの高値をつけていた11月上旬と比べて26%下がった。
9月以降、貿易戦争の激化を警戒していた小売業者などによる駆け込み輸入が落ち着いてきた。「船のスペースは今も満杯に近いが、荷物の積み残しは解消された」(アジアの海運大手)という。
米調査機関デカルト・データマインによると、11月の中国発米国向け海上コンテナ輸送量は前年同月比で4%増えた。12月に入っても米国の好調な個人消費に支えられ、家具などを中心に荷動きは依然として底堅い。
運賃も前年同期と比べると8割高い。「2月の春節(旧正月)休暇の前には再び駆け込み出荷も発生する見込み。1月までは貨物量も運賃も高水準で推移しそうだ」(外資系海運)との見方が多い。

190301日経
主に鉄鉱石を運ぶ大型ばら積み船の用船料(船のチャーター料)が2年ぶりの安値をつけた。鉄鉱石の主な輸出国のブラジルが雨期に入る季節要因に加え、1月下旬に同国で発生した鉱山事故で荷動きが細っている。中国の景気減速で鋼材需要が冷え込めば、安値圏での推移が続きそうだ。

1~3月はばら積み船の不需要期にもあたる
指標となるケープサイズ(載荷重量約18万トン)の用船料は主要航路平均で1日当たり5600ドル前後と、2月上旬に比べ3割安い。年初からの下げ幅は6割に達し、2017年2月以来の安値水準だ。

ブラジルで1月25日、資源大手ヴァーレの鉱山ダムが決壊する事故が起きた。事故を受けて一部鉱山ダムは閉鎖や操業停止の措置がとられ、鉄鉱石の供給が減るとの見方が多い。減産規模は7千万トンとも伝えられ、ある海運ブローカーは「ブラジル発の鉄鉱石の荷動きが鈍っている」と話す。
例年1~3月はばら積み船の不需要期にあたる。ブラジルが雨期にあたり、港の定期検査もあって鉱山からの出荷が減るためだ。「毎年この時期には下がる傾向にあるが、今年は特に急激に下げた」(トランプデータサービス=東京・千代田)
先週には中国が東北部にある5つの港でオーストラリア産石炭の輸入を禁止したとロイター通信が報じた。豪州発中国向けの石炭は大型船で輸送することも多く、用船料交渉で心理的な下押し要因になっているようだ。
1月の鉱山事故を受けた供給減観測は鉄鉱石価格を押し上げた。日本郵船の中村利バルク・エネルギー輸送統轄グループ長は「調達コストの上昇は中国の購買意欲を減退させる。長期的な影響を懸念している」と指摘する。
今後も当面は安値が続きそうだ。中村グループ長は「中国の景気刺激策の効果を待つしかない」と話す。国内海運大手は1月末の決算会見で19年1~3月期の用船料を1日当たり1万3000~1万5000ドルと見通していた。

190418日経
数十年で最大の変革です。環境規制によるコストアップを受け入れてください」。シンガポールで荷主と向かい合ったコンテナ船大手エムエスシージャパン(東京・港)最高執行責任者(COO)の嵩原伊都子(41)は訴えた。荷主の大手メーカー担当者は事態の大きさに驚き「上と話す」と応じた。話を切り出したのは昨年夏。日本から欧米に貨物を運ぶコンテナ船は、荷主と海運会社との輸送量や運賃の更改交渉が毎年春にピークを迎える。それより半年以上も早い交渉入りだった。

燃料費の別建て制度への理解を求めた(日本船主協会の武藤会長)
海運業界に迫る変革とは、2020年1月の船舶燃料の規制強化だ。国際海事機関(IMO)が全ての船舶を対象に、燃料に含む硫黄分の上限を現状の7分の1に下げる。重油より割高な軽油と重油の混合油を使うなどの対応が必要。燃料費は1トンあたり100ドル単位で上昇するとみられ、海運全体で年間3兆円超のコスト増ともいわれる。
「環境を守るコストは一産業だけでなく、地球市民全体で負担していただきたい」。運賃交渉終盤の3月、燃料規制に関するセミナーで日本船主協会会長の武藤光一(65、商船三井会長)は訴えた。海運は日本の貿易量の99%以上を担う物流の大動脈。影響はあらゆる業界に広がる。従来、運賃は固定価格での契約が多かった。今回コンテナ船各社は燃料費の変動に応じて実費を運賃と別建てで徴収する仕組みの導入を荷主に求めた。嵩原は「交渉は簡単ではなかったが、燃料費の別建て制度は認めてもらえた」と安堵する。
ある荷主企業は「『環境』を理由に世界中で値上げを求められたのは初めて」と打ち明けるが、ほとんどの荷主が値上げ自体は受け入れたもよう。大手電機メーカーの交渉担当者は「環境を守るためのコスト負担はやむを得ない」と理解する。海運大手は「早くから話を重ねてきてよかった」と振り返る。
経済界では「ESG投資」なども広がり、企業の環境保全への賛同は自然な流れになってきた。問題は実際どれだけコストが増えるかだ。燃料油の切り替えは今秋に集中する見通し。需給バランスが崩れ、従来の燃料油との値差が想定以上に広がる可能性もある。「便乗値上げはやめてくれ」。大手電機メーカーの交渉担当者は海運会社に念押しする。大手電子機器メーカーは海運会社の燃料費の算出方法について「我々に開示されない情報が含まれている」と不信感を抱く。環境のためでも負担は最小限に抑えたいとの企業の思いが透けている。

190513日経
船の燃料の環境規制が国際海事機関(IMO)によって2020年に強まることを受け、海運各社が規制に対応した重油の確保に奔走している。こうした状況を受け、出光興産とコスモエネルギーホールディングス(HD)はそれぞれ100億円超を投じ、規制に適合した重油の生産体制を整える。海運各社は燃料のコスト増を基本的に荷主に転嫁する方向だが、投資負担などで経営環境が悪化し、競争が激しさを増す可能性もある。

「規制の適用が始まる20年1月時点で全体の需要の6割程度しか供給されなさそうだ」。世界最大の燃料供給港であるシンガポール港を巡り、海運業界ではこんな見方が出始めている。規制開始が近づいて燃料価格が高騰する懸念があるとみて、先行して調達しようという動きが出ている。

大型船からLNGを燃料として供給する(C)Fluxys
船舶燃料は重油が使われてきたが、燃やす際に出る硫黄酸化物(SOx)が酸性雨などの原因となり、大気や海に悪影響を及ぼすとされる。IMOは全ての船舶を対象に、燃料で使われることが多いC重油に含まれる硫黄分の上限を20年から7分の1に引き下げる。
規制に対応した重油や、硫黄分が含まれない液化天然ガス(LNG)に燃料を切り替えるなど、対応策は複数ある。追加コスト増を最も抑えられる適合油での対応が中心になりそうだ。日本郵船は2月から同社の運航船約700隻を対象に、適合油に切り替える計画作りを進めている。
こうした動きに応じ、出光は20年1月から適合油の供給を始める。総額で約120億円を投じ、北海道と千葉県にある製油所の設備を改修して供給体制を整える。重油より割高な軽油成分を混合し、規制の基準内の重油を生産する。コスモHDも約150億円をかけて堺市の製油所で適合油の生産体制を整備する。
両社は一連の投資により、重油を作るための原油の精製過程で得られるガソリンなどの関連製品の生産能力も高める。海運各社にとっては国内で適合油が安定供給されるという点で明るい材料だ。世界の大手も規制対応に動き出している。米エクソンモービルはシンガポールの港などで20年までに適合油を供給できる体制を整える計画だ。
当面は基準を満たす重油で規制に対応する海運会社が多くなりそうだが、中長期的には燃料をLNGにする船が増えるとみられている。二酸化炭素(CO2)の排出量も抑えられるためだ。LNGを海上で船から船へと供給する「LNGバンカリング」と呼ばれる事業も広がり始めている。
三菱商事は日本郵船や仏エネルギー大手のエンジーと合弁会社を立ち上げ、17年にベルギーで世界で初めてLNG供給事業を始めた。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルも既に事業を始めた。国際石油開発帝石は20年に同事業を始める計画。アブダビ国営石油会社(ADNOC)と年内に折半出資の合弁会社を設立する。
ただ、硫黄分の少ない重油への切り替えでコストが膨らむ以上に、LNGが燃料の船舶の導入費用は大きい。英調査会社のウッドマッケンジーによると今回の規制で、世界の年間の船舶燃料コストは20年に1300億ドル(約14兆3000億円)以上になるという。19年比で300億ドル(約3兆3000億円)上昇するとの試算だ。
国内海運大手でも、日本郵船や商船三井は1000億円規模のコスト増を見込む。企業努力での吸収は難しく、基本的に荷主に負担を求める方針だ。川崎汽船は「おおむね荷主の理解を得られている」としている。環境への取り組みを重視する「ESG投資」などが広がるなか、環境目的の値上げには応じる企業が多いもようだが、便乗値上げを懸念する声もある。
海運は日本の貿易量の99%以上を担い国内経済でも日々の生活を支えている。規制への対応が円滑に進まず混乱が生じれば、投資余力の小さい中小の海運各社の経営が厳しくなったり、物流費や商品価格に大きく跳ね返ったりする懸念もある。

190621日経
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は購読者向けの新しいニューズレター「モラル・マネー」を発行した。米国版エディター・アット・ラージのジリアン・テットが毎週、環境保全や社会貢献に関わる新たな投資トレンドを紹介する。18日号では「ポセイドン理念」を取り上げた。主な内容は以下の通り。
18日、ニューヨークで世界の大手銀10行以上が集まり、海運業者に対する融資基準に環境対策を加える「ポセイドン理念」を採択した。ポセイドン理念は国際海事機関(IMO)が掲げる「2050年までに08年比で温暖化ガスの排出量を半減する」という基準に従っていない業者に対する融資を事実上禁止する。
米シティグループ、仏ソシエテ・ジェネラル、デンマークのダンスケ銀行などが旗振り役を果たした。IMOが温暖化ガス半減の目標を掲げた時、実現不可能と皮肉な見方をする人も多かったが、考え直した方がいい。今回参加した10以上の銀行だけで、銀行による海運業への融資総額4500億ドルの2割を占める。銀行は海運業界に対する融資市場全体の9割を占め、存在感は大きい。
現時点で参加したのは米国と欧州の銀行に限られる。だが、ポセイドン理念の関係者は、中国の銀行の参加に自信を示す。そうなれば、日本や韓国の銀行も続いて参加することになるとみる。
投資家はIMOの取り組みを真剣に受け止めたほうがいい。もし、海運業界がIMOが掲げる「排出ガスの半減」という目標を実現できたら、世界の温暖化ガス排出量に与える影響は計り知れないからだ。

190906日経
国内港を結ぶ「内航船」が人手不足に陥っている。石油製品や鉄鋼といった産業用資材を主に運び、国内貨物輸送の4割を担うが、船員数は20年間で約40%減少した。船員の高齢化も進み、廃業も相次ぐ。一度乗船すると数カ月休みのない勤務形態などから、若者が定着しない事情があるとみられる。専門家は「産業資材の物流が滞れば、消費者にも影響しかねない」と懸念する。
6月下旬、福岡市の博多港に1隻のタンカーが入港した。「連日の航海と荷役で船員の疲労がたまっている。停泊の日程を入れられないか」。男性船長(61)は荷主側と日程の調整を行う海運会社の営業担当者に相談したが、「休ませたいが、交代できる船も船員も足りない」と断られた。
「最近は若者が定着しない。人手不足で休みが取れず、船員が辞めていく悪循環に陥っている」と船長は話す。
旅客や貨物を運ぶ内航船のうち、貨物船はガソリンなどの石油製品のほか、鉄鋼や石灰石といった産業資材を中心に牛乳などの農林水産物など多岐にわたる物を輸送する。
国土交通省によると、内航船の船員数は1995年の約4万8千人から2017年には約2万8千人に減少した。50歳以上が47%を占めており、高齢化が進む。
背景にあるのが内航船の特殊な働き方とされる。船員は連続で2~3カ月間働き、1カ月ほど休むのが一般的だ。船員には労働基準法ではなく船員法が適用され、残業規制を柱とする働き方改革関連法の対象にもならなかった。
同省によると、船員の1カ月の総実労働時間は約240時間に上り、建設業や運輸業を約60時間上回る。内航船員は単純労働者に分類され、外国人労働者の就労が認められていないことも人員確保の壁を高くしている。
「労働環境の改善は課題だが、人件費などコストをかけられない事情もある」と、ある運航会社の男性役員はこぼす。
国交省によると、荷主の多くが大手メーカーである一方、内航船の運航会社の99%は中小企業で、タンカーなどを1隻保有するだけの小規模事業者が大半を占める。男性役員は「荷主に運賃の引き上げを要求したら、別の業者に切り替えられるリスクもある」と語る。
内航船の減少は市民生活にも影響を及ぼしかねない。流通科学大の森隆行教授(海運)は「内航船の物流網が機能不全に陥ると産業資材の輸送が滞り、メーカーの事業に影響が出る。ガソリンなど生活物資の流通の停滞につながる恐れもある」と懸念する。「外国人労働者を雇用できるよう制度を見直すなど早急な対策が必要だ」と指摘する。
国交省は6月、業界団体や経済界、有識者らと労働環境の改善に向けた「内航海運のあり方」に関する協議を開始。スマートフォンアプリを活用した船員の労働実態調査に乗り出した。
国交省海事局は「労働慣行や船内の生活環境の見直し、荷主への追加コストの負担を議論し、20年夏ごろには結論を出したい」としてい

200707日経

鉄鉱石や穀物などを運ぶ外航ばら積み船の市況が活況だ。鉄鉱石を運ぶ大型船の用船料(チャーター料)はこの1カ月で10倍近くに急騰。勢いは中小型にも及び2倍に迫っている。景気対策で粗鋼を積極増産する中国で鉄鉱石の需要が旺盛で、ブラジルの穀物輸出も高水準が続いており、用船料を押し上げている。

旺盛なばら積み需要が中小型にも波及している

主に鉄鉱石を運ぶケープサイズ(載荷重量約18万トン)の1日当たりのスポット(随時契約)用船料は、7月3日時点で3万2000ドル強。3万ドル台に乗るのは2019年9月下旬以来9カ月ぶり。海運市況は上下の変動率が大きいのが特徴とはいえ、6月1日時点の3700ドル弱から1カ月で9倍まで急騰した。
中小型船の用船料も軒並み上昇。穀物や石炭を運ぶ中型のパナマックス(同約8万トン)も1カ月で7000ドル弱から1万1200ドル弱へと約7割上昇。穀物などを運ぶ小型のハンディマックス(同約5万8000トン)も7700ドル程度と1カ月で4割高くなった。
中小型の用船料上昇は「ケープサイズの急騰に引っ張られている面が大きい」(日本郵船の片山純バルク・エネルギー輸送統轄グループ長)とみる関係者が多い。

コロナ禍が欧米より早く一服した中国では4月以降、鉄鉱石需要が急増。ブラジル資源大手ヴァーレの出荷が増えた。「ケープサイズだけでは足りず、パナマックス2隻で鉄鉱石を運ぶケースもある」(別の海運大手)
加えて、春から南米産の穀物の輸出が順調なことも中小型船需要を下支えしている。とりわけ穀物が豊作の状況で、対ドルでのレアル安が続くブラジルの出荷が旺盛だ。
世界最大の大豆輸出国であるブラジルの出荷は例年4~5月をピークに一服するが、今年は6月に入っても衰えていない。1~6月の輸出は過去最高を更新するペースで、特に中国向けの輸出が堅調だ。
中小型船の市況は今後も底堅く推移しそうだ。ブラジルの大豆出荷が一服する代わりに、7~8月にはトウモロコシの出荷がピークを迎える。7月からはロシアやウクライナ産の小麦の出荷も盛り上がる。アフリカからインドまで広がったバッタの食害による食糧不安もあり、穀物の輸送需要が高まる可能性がある。
穀物の主産地であるブラジルやロシアでは新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。ブラジル国内の物流が停滞する懸念があるものの、「現時点で船腹の需給に大きな影響はなさそうだ」(海運大手)という。
一方、ケープサイズは見方が分かれる。「中国の鉄鋼需要は堅調が続く」(海運大手)との見方がある。半面、調査会社トランプデータサービスの海老原良社長は「コロナの感染再拡大や長江流域の洪水、香港国家安全維持法に絡む米中緊張など、中国の鉄鋼需要の先行きには不安材料がある」と指摘する。

200812日経

商船三井は11日、同社が手配した大型貨物船がインド洋の島国モーリシャス沖で座礁し約1000トンの燃料油が流出した問題で、11日までに460トンを回収したと発表した。流出した燃料油はなお海上などに残っており、ボランティアなどによる回収作業が続く。
座礁した「WAKASHIO(わかしお)」には、事故当時約4000トンの燃料油が入っていた。6日(現地時間)、複数あるタンクの内、1180トンの容量のタンクが壊れ、ほとんどが流出した。
船の所有者の長鋪汽船(岡山県笠岡市)やモーリシャス政府は船に残る約2800トンの抜き取りを進めている。11日までに約1000トンを回収したことも明らかにした。

210502日経
環境意識の高まりを受け、物流業界が脱炭素化にかじを切っている。JR貨物は、物流企業がトラック輸送から鉄道へシフトする動きを推進。佐川急便やヤマト運輸は、配送車両の電気自動車(EV)への切り替えを本格化させている。トラック輸送で二酸化炭素(CO2)を「多く排出するイメージがある」(関係者)という業界だけに、環境負荷の低減に積極的に取り組む考えだ。
 国立環境研究所によると、国内のCO2総排出量のうち、貨物輸送は1割弱を占める。新型コロナウイルス流行に伴う巣ごもり需要で、インターネット通販などの取扱量が増加。政府が2050年に温室効果ガス排出量の実質ゼロを掲げる中、輸送する際のCO 2削減が課題となっている。
 JR貨物は、物流企業が中長距離の輸送をトラックから鉄道に切り替える「モーダルシフト」を強化。今春には福山通運と西濃運輸が鉄道コンテナの貸し切り利用の契約を拡大した。
 鉄道輸送で生じるCO2は、トラックの約12分の1。福山通運の場合、今回の契約拡大でCO2排出量を年約1万3000トン削減できる。将来の運転手不足にも対応できるため、「ここにきて機運が非常に高まっている」(JR貨物の真貝康一社長)という。
 佐川急便は19年、JR北海道と連携し、宗谷線で旅客と貨物を混載する事業を始め、トラック輸送を削減。今年3月からは北海道新幹線の客席に道央、道南地区の荷物を積み込み、青森県へ配達する事業も始めた。
 各社はEV化も進めており、佐川は30年度までに軽自動車全7200台を太陽光パネル付きのEVに切り替える計画だ。ヤマト運輸も20年度にEV500台を導入。都市部などでの利用を想定し、三輪電動アシスト自転車を数年内に実用化する方針だ。 【時事通信社】

210511日経

各地でようやくワクチン接種が広がり、長いコロナ禍からの出口が意識されるようになった。世界貿易も急速に回復しつつある。物流を支える海運業からみた景気の先行きリスクは何か。主要国の船主団体などで構成する国際海運会議所(ICS)のガイ・プラッテン事務局長に聞いた。
運賃高止まり
――足元の景況感は。
「在宅勤務の浸透で巣ごもり需要が拡大し、物流が増えた。世界経済が回復するなかで海上輸送はこれからも伸びるだろう。コンテナ輸送の運賃は値上がりし、この状況がまだ続きそうだ。ただクルーズ船は大きな打撃を受けている」
――好調にみえるが先行きリスクは。
「最大の懸念材料は温暖化対策だ。すべての海運会社にとって気候変動が最優先事項となった。我々としては温暖化ガスを排出しない船を2030年代初頭に大量に就航させるというタイムスケジュールが念頭にある。あと10年しかない。大規模な研究開発投資などが必要になる」
――米欧と中国との外交対立が深まっています。
「地政学的な緊張は心配だ。米中対立が激しくなっているのは間違いない。これは貿易量に影響を与える恐れがある。少し規模は小さいが同じことが英国と欧州連合(EU)の関係にもあてはまる。(EUから抜けたことで)英国の輸出は今年に入って落ち込んだ」
「壁を作るのはマイナスでしかない。海運にとってはテロのリスクよりもはるかに打撃が大きい。追加の税関手続きなどが積み重なれば、貿易と成長を妨げてしまう。自由貿易でこそ貧困を減らすことができる」
――スエズ運河で大型コンテナ船が座礁しました。海峡や運河などボトルネックに危うさがあるのでは。
「物流に遅延が生じ、サプライチェーンの脆弱さが浮き彫りになった。すべての取引で(無駄を避けるための)『ジャストインタイム』がふさわしいか議論になるだろう。ただ輸送ルートは大きく変わらないとみている。スエズを通る代わりに時間をかけ、アフリカ大陸を回る航路にシフトしていくとは思わない」
――例えばロシアが売り込む北極海航路は代替ルートになるでしょうか。
「可能性はあるが、まだ先の話だ。寒く、危険で問題が多い。砕氷船などの建造が必要にもなる。議論を見守りたい」
優先接種訴え
――ワクチン接種が各国で始まりました。
「世界で170万人いる船員のうち、半分が途上国出身。ワクチンが回ってくるまで時間がかかる。仮にワクチン証明が義務になれば、船員は国境を越えた移動ができなくなり、海運の大きな妨げとなる。世界保健機関(WHO)などと協力して各国に優先接種を呼びかけている」
――海運には男性社会というイメージがあります。どのように気風を変えていきますか。
「確かに世界の海運会社は男性優位の傾向にある。いま経営陣の女性比率を大幅に引き上げようとしている。そうでないと半分の人材を失ってしまう。数値目標も設けたが、必要なのは規制だけでなく、考え方や文化を変えていくことだ」
210517NewsPicks
横浜港、世界ランキング1位に コンテナ積み降ろし「最も効率的な港」と評価 | 神奈川新聞社

210521日経

横浜税関が20日発表した貿易速報によると、横浜港の2021年4月の輸出額は前年同月比41.9%増の6298億円だった。2カ月連続で増加した。20年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で輸出が落ち込んでいたが、その反動で増加した。19年4月の輸出額は6262億円で、コロナ前とほぼ同じ水準となった。
米国向けの貨物自動車が好調で、自動車の輸出額は前年同月比2.1倍の1136億円だった。 輸入額は同17.2%増の4247億円で、3カ月連続の増加となっ

210603日経

新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、先進国の経済活動が活発になる中、物流の渋滞が深刻化している。米国で製造業が注文したモノの入荷の遅れを示す指標は5月、1970年代以来の高水準を更新した。急激な需要拡大に供給が追いつかない状況が続けば、インフレ圧力を過度に高め、コロナ禍から回復へ向かう世界経済の足かせになる。

世界の主要港である米国のロサンゼルス・ロングビーチ。5月半ば、沖合では港の「渋滞」で入港できずにいる大型コンテナ船など約20隻が待機していた。SMBC日興証券の試算では米西海岸地区の積載コンテナ輸送量は4月、コロナ前の2019年に比べ1.2倍に拡大した。00年以降で最高水準圏が続く。
物流の目詰まりは部品や原材料の供給を遅らせる。1日発表された米サプライマネジメント協会(ISM)の製造業景況指数(総合2面きょうのことば)によると、5月の入荷遅延指数は前月に比べ3.8ポイント高い78.8となり、第1次石油危機があった1974年以降で最高水準を更新した。
物流渋滞は世界に広がる。中国・青島沖で待機するコンテナ船は2019年以降で最多に。海運調査会社シーインテリジェンスによると4月時点で世界の貨物船のうち予定通りに港に到着できたのは約4割で、平均5日超の遅れが起きている。
国際海運運賃の指標とされる上海発・米西岸向けのコンテナ運賃は5月下旬時点で1年前の2倍超に上昇。商船三井の橋本剛社長は「渋滞は改善しつつあるが、世界景気の回復や財政出動で荷動きは増えている。運賃水準の正常化は想定より長引きそうだ」と話す。
製造業の生産にも影を落とす。ホンダは3月22日から4月5日まで米オハイオ州などにある完成車工場の稼働を止めた。半導体不足や寒波による部品供給の滞りなど複合的な要因によるもので、米国の港湾での物流停滞も一因という。 
ワクチン接種が進む米欧では消費者心理が大きく改善し、需要の回復をもたらしている。米国の実質個人消費は3月に前月比4.1%増と大きく伸び、コロナ禍で落ち込む前の前年2月の水準を上回った。4月も0.1%減とほぼ横ばいだ。
英欧の小売りの売上高も3~4月にかけて持ち直しの動きが出ている。景気回復で各国の個人消費が拡大すれば、モノの需給はより引き締まる。
足元の強い需要により、世界的に積み上がっていた在庫は記録的な低水準に転じている。米国の3月の小売業の在庫率は1992年以来で最低になった。夏の休暇シーズンを前にした在庫確保が物流の逼迫に拍車をかける。
在庫減の影響は輸出の影響を強く受ける日本にも及ぶ。鉱工業生産でみた4月の在庫率指数は消費増税前の2019年5月以来の低さになった。
供給を上回って需要が拡大すれば物価上昇の圧力となる。米国の4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比4.2%上昇と2008年9月以来の高い伸びを記録し、インフレ懸念から市場の乱高下につながった。
三菱総合研究所の武田洋子氏は「供給制約やインフレは米国の個人消費拡大を起点とした世界経済の回復シナリオの足かせになりかねない」と語る。

210610日経

――実質ゼロ目標は国内3社で初めて。世界でもコンテナ船最大手のA・P・モラー・マースク(デンマーク)などに次ぐ動きです。
「相当な努力目標であるのは否めないが、旗を立てて今できることを進める。20年代は重油燃料の船舶を順次、液化天然ガス(LNG)船舶に切り替える。これで20~25%削減できる。さらに(運航スピードを落としてCO2排出量を減らす)減速航海や船舶の大型化で30~40%減らせる」
「目標達成のカギは30年代後半から40年代にある。CO2を排出しないアンモニアなどを燃料とする船舶への切り替えだ。5年ぶりにアンモニア輸送への再参入を決めた。アンモニアの供給網がはっきりしてくれば、普及につながる」
――アンモニア燃料の普及は時間がかかります。
「輸送や貯蔵は水素に比べてアンモニアの方が容易だ。液化水素はマイナス260度にする必要があり、液化プラントや運搬船は相当に高額だ。アンモニアの扱いは細心の注意が必要だが、超低温や高圧といった措置は必要としない」
「陸上での代替燃料としての可能性の方が高い。今でも一部の火力発電では脱硝装置として使われ、将来はアンモニア燃料の火力発電を実用化できるとの見方もある。そうなれば、年間数百万トン規模の輸送需要が出てくる。陸上での需要が高まれば、(アンモニア燃料の)船舶(の開発)にもという話につながる」
――脱炭素は海運業にどんな影響を及ぼしますか。
「燃料切り替えはコストがかかるので、世界経済に与えるマイナス影響は出てくる。世界の国内総生産(GDP)伸び率を上回る海上貿易量の増加で海運業は成長してきたが、貿易量を減らすべきだとの議論も出るかもしれない。それを見越して海運業に代わる別の事業を育てる必要がある」
「(洋上風力発電の建設に使われる)『SEP船』を保有・運航する英社に5%出資したが、出資比率を増やすことも検討している。新規の発電所建設が難しいアフリカや東南アジアなどの新興国でビジネスチャンスは大きい。SEP船だけでなく、洋上風力のメンテナンス船なども事業チャンスは大きいと思う」
 はしもと・たけし 1982年京大文卒、大阪商船三井船舶(現商船三井)入社。LNG船部長などを経て19年に代表取締役副社長。21年4月から現職。東京都出身。63歳
50年85%削減も 国の支援不可欠
政府は2050年のカーボンニュートラルへ向け、2兆円のグリーン基金を創設した。アンモニア・水素や洋上風力も対象で、脱炭素に向けた投資が活発化する海運業界には追い風だ。ただ、米バイデン政権は4年間で2兆ドル(約200兆円)、欧州連合(EU)は10年間で官民合計で1兆ユーロ(約133兆円)の目標を掲げ、大きく見劣りする。
国際エネルギー機関(IEA)は公表した世界の実質ゼロに向けた工程表で、海運業界の温暖化ガス排出量は50年までに20年比で85%削減可能との見方を示した。海運業界では実質排出ゼロへの道のりは遠い。脱炭素で先行するには、官民一体となった取り組みが欠かせない。
210610NewsPicks
【1分まとめ】海運3社の好調決算から読む「世界経済」の今後

210622日経
商船三井回復
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73111200R20C21A6DTA000
210712NewsPicks
海運・造船にやっときた順風 でも、手放しでは喜べず…:朝日新聞デジタル
210809NewsPicks
船の“脱炭素”へ実験 航行中に二酸化炭素を回収 | NHKニュース

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