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台湾の半導体は今どうなっている

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日本、台湾、米国企業の半導体会社で15年仕事をしていました。 今注目の半導体業界に興味がある人、文系だけど働いてみたい人、などに向けて、元ファウンドリー出身者の視点で語ります。
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2023年3月の記事一覧

TSMC創業者が警告する、半導体サプライチェーンの危機とアメリカの戦略〜中国の脅威と世界的な競争激化の中、台湾のTSMCが果たす役割とは? (再掲)

2023年3月16日、台北で行われた天下雑誌主催の講演会で、「The Chip War」の著者ChrisMiller氏とTSMC創業者のモリス・チャン氏による対談が行われた。 次期台湾総裁候補者の一人、民進党の賴清德氏やTSMCの現CEO C C.Wei氏も会場に足を運ぶ。たった一冊のアメリカの研究書物がここまで注目されるその理由は何だろうか。 そこには今後の半導体業界の情勢を占うヒントが盛り込まれている。 アメリカとその他の国の半導体サプライチェーンが二極化する可能性

ラピダスよ、夢を語れ─2ナノ量産は遠くとも、未来に力を与える

ファウンドリ・ラピダスの発表 ラピダスは今年3月1日、北海道千歳市に工場建設を進めることを発表した。 同社は昨年11月の設立に際し、2027年に2ナノのロジック量産開始を目指すことを発表している。 この発表当時、多くの専門家やエンジニアたちから疑問の声があがったことは記憶に新しい。 かつて国会で「日本の半導体崩壊の歴史」について講演した元半導体技術者の湯之上隆は、「誰がラピタスに半導体を生産委託するのか」「国産のファウンドリよりもインテルに来てもらう方が現実的だ」などと痛