【読書009】ウェルビーイング





近年関心を集めているウェルビーイングに関しての本。
弊社でも管理職の評価項目にウェルビーイングの項目を追加したので、改めてその概念を理解するために購入しました。

経済成長から心の成長へ
日本は過去に2回定常化の時代を迎えている。1回目は20万年前に人類が誕生して、狩猟採集で生活が始まり、食料に対して人口が増えすぎたときに人口増加が止まり定常化①。その後農耕が始まり再び人口増加するが、農耕にも限界がきて定常化②。次に産業革命を経て情報化、金融化へ続き再び人口増加するが、地球環境の限界が到来が現在。日本は既に人口減少に進み、定常化③へ向かっている。ただ定常化の時代は決して悪いことではなく、定常化①の5万年前に絵画やアートが発明されている。つまり、人口増加中は狩猟採集に忙しく経済成長重視であったが、成長が止まると心のゆとりができ、絵画や構造物に取り組むようになり、人類の文化が栄えた。現在三度目の定常化は、豊かな成熟期であると考えられる。

ギャラップによる分類
個人の意識調査による5つの分類
1.キャリアの健全性
自分でこのキャリアと仕事を選んでいるという自己選択と納得感があるか、2.関係性の質
家族、職場、友人など生活の中で他者との深い関わりがあるか
3.財務の管理
施術や収入を管理運用し経済的に満足できているか
4.心の健康
身体的、精神的に健康な状態にあるか
5.地域社会との繋がり
住んでいる地域に根ざしていると感じているか

四つの因子
1.自己実現と成長「やってみよう」
2.繋がりや感謝、利他性「ありがとう」
3.前向きかつ楽観的「なんとかなる」
4.独立性と自分らしさ「ありのまま」
ありのままはアメリカでは当たり前として考えられている。英語ではauthenticity、日本語は本来感と呼ばれる。アメリカは個人主義を基調として誰もがありのままの自分らしさを持ち、その上で多様性を認める日本は同調圧力が強く、出る杭は打たれる傾向にある。

幸せと健康・長寿
幸せな人は長生きする「Happy people live longer」記憶力の良い人より悪い人のほうが幸福度が高いという結果もあり、年を重ねると細かいことが気にならなくなる結果として幸福度上昇する。

4つの因子を高める方法
やってみよう「夢や目標を持つ」夢や目標を語るワークショップだけでも幸せに感じる。仕事の中でもワクワクしない、ときめかない仕事は幸福度に繋がりにくい。ドラッカーの「幸せな石切り職人不幸せな石切り職人」の話しでは、不幸せな石切り職人は、特に自分が欲している仕事ではないが手に職もないし他に能力もないから石を切るといった単純作業しかできないやりたくもないつまらないと思い、幸せな石切り職人は、「石を上手に切って並べて教会を建てる目標がある」同じ仕事も単純でつまらないと思うか、人々のためになる仕事だからやりがいを感じるか、これは視野の広さの問題。
ありがとうは「対話すること」近年は1on1 MTGが広まっている。傾聴して相手の話に耳を傾ける。
なんとかなるは、幸せであるように振る舞う。形から入るだけでも幸福度は高まる。言葉も「どうせ私なんか」「私にはできません」などネガティブな言葉より、ポジティブに。
ありのままには、独立性と自分らしさを保つこと。他社からどう見られているか気にしすぎない。他者と比較しない。自分軸を持つ。

最終的には自分は何で幸せを感じるかを知ると良い。
健康維持もジョギングか水泳か筋トレか選ぶように自分にあったやり方がある。

ポジティブ心理学の学者のウェルビーイングを高める8つの方法
1.親切な行動に取り組む
2.呼吸を整える
3.最後のひと月であるかのように過ごす
4.オープン外交的社交的に行動する
5.感謝の手紙を書く
6.可能で最高の未来を可視化する
7.最も大切な価値を確認したする(自分を支える軸、誠実、感謝、健康など)
8.過去の思い出(楽しかった日々を再現し、味わう)

経営とウェルビーイング
京セラ創業者 稲盛和夫 「従業員の物心両面の幸福」

伊那食品工業 かんてんぱぱ 「いい会社をつくる、利益上げることはそのための手段である」目先の効率は求めない、売上利益の目標は立てない、前年よりも成長だけは目指す。木は毎年太くなる。会社は陽気がよいからといっていきなり2倍になろうとはしない。それが自然の摂理。会社の経営も自然の摂理に合っているべき。つまり毎年少しずつだけ成長することを目指す経営に徹する。寒天ブームの際も増産せず(ブームが去ったときの過剰在庫がたたって倒産の恐れもあるので)目先の利益に囚われずに進めた。業績の評価はしない、会議には資料ない、報告もない。給料は60年間毎年全員上げる。表彰はしない。給料に差をつけない。朝は社員が自主的に東京ドーム2個分の敷地を掃除する。掃除は利他的な行為であるので、人をやさしくする力の育成につながる。また各自の俯瞰的な気づきの力も養う。誰がどこを掃除するか決まってはいない。その場でその日の作業を決めるといことが俯瞰的に気づき俯瞰的に考える力を育む。家族だったらどうするだろうかという視点で全て経営も考えている。

仕事も言われたままより、この仕事は社会の役に立ものだという大きな視点を持ち目的を理解して取り組むほうが幸福度がまさ高い幸せ、創造性、多様性は関連している。幸せな職場を作りたい場合は多様性にして、そうすれば創造力も高まる。

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