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息子と歩く櫻道🌸

息子はこの春、中学3年生になる。
いわゆる受験生なのだが、まだまだその自覚もなく、ずいぶんのんびりしている。

「桜が満開みたいだから、少し散歩に行こうかな」
という私に、
「いいね!じゃあ、久しぶりに水前寺公園か江津湖に行きたい」
と、息子お気に入りの場所を指定してくる。

車で少し行ったところに、その公園はある。

正式には「水前寺成趣園」というそこは、熊本は阿蘇の伏流水が湧き出る池を中心に、ゆるやかな起伏の築山、浮石などが配された桃山式の回遊庭園である。

寛永9年(1632年)、肥後細川初代藩主・細川忠利公が御茶屋を置いたのが始まりというが、息子が好きなのはその趣よりも、園に入ってすぐにある鯉の餌を買って、餌をまきつつ歩き、一周してきた時にある茶屋で、和菓子とお抹茶をいただくという、その一連の流れだ。

ただ、中学3年生にもなるからか、今回は餌を買いたいとは言わず、黙々と歩いていく。

園内にある出水神社でお詣りをして、少し行くと、桜が咲き誇る一画が現れる。

「久しぶりに桜の時季に来たね」
と満開の櫻道を歩きながら、息子が話しかけてきた。

「そうだね。2年ぶりかな?」
と返しながら、あと何年、息子と一緒にこうして歩いていくのだろうかと、ふと思った。

父親のいないこの子は、「僕が母さんを守るけん!」と歳のわりに、ドンと構えているような雰囲気を出している。
この歳の子ならば、母と並んで歩くのも、少し気恥ずかしいようなのだが、
「母さんが大切だけんが、気にして一緒におらんのはなんかなーって思うし。カッコつけて、家族の悪口ばかりいうやつは、なんか好かんと思うとよ」
と、ずいぶん達観したような口をきく。

嬉しい。素直にありがたい。

そうは言いつつ、照れくさそうに、少し前を歩く息子を見ながら、何気ないこの時間が、ずっとずっと続くといいと思った。





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