想像の余白があるほうが怖い

※注意※

ホラー作品についての話をするので「あの作品のこういう殺しのシーンが~」みたいな記述が出てきます。そういうのを文章で読むのも嫌だぞと言う方は気を付けてください。

■「ドキドキ文芸部!」のプレイ動画を見て、衝撃を受けたよ

昨日「Doki Doki Literature Club!(ドキドキ文芸部!)」というゲームのプレイ動画を一気見していました。

この動画のサムネに「精神的恐怖?」とあるとおり「とにかく怖いゲームだ」という評判をたくさん耳にしていたのでずっと気になっていたのです。

私はホラー作品(映画でも漫画でもなんでも)が好きなので、意気揚々とプレイ動画を見たのですが、まーーーーーー怖かった!予想をはるかに超えて怖かった。

■二次元のホラー描写のほうが、三次元より怖いかも

この「怖かった」という感想、もちろんこのゲーム自体の構成や展開が素晴らしいというのもあるんですが「こういう、二次元(アニメやゲーム、漫画など)での恐怖描写のほうが、三次元のそれよりも私は怖く感じるかも」というのを改めて思いました。

というのも(ネタバレになるかもなので作品名は伏せますが)以前、ドキドキ文芸部のようなギャルゲー×ホラーテイストの他作品が気になってプレイ動画を見たことがあって、それもかなりトラウマになったんです。

そのゲームの内容をざっくり書くと「主人公は、交通事故か何かで脳に障害を負ってしまっていて、なぜか世界のすべてが血や肉で構成されて見えるようになってしまった。しかしヒロインだけは美少女の姿で見える」というものだったんですね。

「なにそれすごい。怖そう。」と、ホラー好きの私はプレイ動画を見たのですが、血と肉で構成された世界(のイラスト)を見ているうちにめちゃくちゃ頭痛がしてきまして、気持ち悪くなっちゃって、途中で見るのをやめてしまいました…。

一方で、三次元のホラー描写・グロ描写はわりと平気です(ただし、いわゆる「トーチャーポルノ」と呼ばれるようなネチネチ拷問する類の作品とか、性的な暴行シーンがあるとか、子どもが酷い目に遭うとかそういうのはマジで精神的に負担がかかりまくりなので見ませんが)。

■「想像の余白」があると怖く感じる

この「二次元のホラー描写のほうが、なぜか三次元のものより怖く感じる」というのは「想像の余白」があるからなんじゃないかなと思ったんです。

どういうことかというと、あくまで個人的な捉え方ですが、三次元の作品で血や肉の描写を見ても、見せられたものがすべてというか、人によって見たものの解釈にそれほど差は出ないかなと思うんですね。

一方で、二次元で例えば先述の血と肉の世界が広がるようなゲームを見せられた場合、それが実際にはどんな質感を持っているのか、個々が想像できる「余白」が生じる。

そのゲームに音声がついていなくても、たとえば肉を触ったときのねっとりとした音を想像する人もいるかもしれない。血や肉のイラストを見て、それが実際のものだったらどんな質感・重さ・臭いがあるのか、想像する人もいるかもしれない。

たぶんそういった時、私は想像できる限りの最悪のことを考えてしまうから、よけいに怖く感じるのかなと思った次第です。

■余白が印象的だった衝撃の惨殺シーン

この「想像の余白」は二次元の作品だから生じるというわけでは無くて、三次元の作品(ホラー映画)でも感じたことがあります。

(これは終盤のシーンまでゴリゴリのネタバレになるのでまた作品名は伏せますが)とある海外のホラー映画を見たときに「まさにこれは余白があるから怖いのだ」というシーンがありました。

どういう映画だったかというと、その映画の主人公は小学校高学年くらいの男の子で、高校生くらいのお兄ちゃんがいるんですね(どちらもかなり美少年だった)。でも、どうやらそのお兄ちゃんがゴリゴリの殺人鬼なのかもしれない…ということを主人公の少年は察するわけです。「そんな…お兄ちゃんは殺人鬼なんか?ホンマか?」と考えながら過ごす少年なのですが、最終的にお兄ちゃんはマジの殺人鬼で、両親を惨殺してしまう…というような内容でした。

その、両親惨殺のシーンがまさに「余白」を感じるシーンでした。そのシーンでは、惨殺の様子は直接的に見せません。主人公の少年が部屋で座っている画が映り続け、隣室からお兄ちゃんの怒号と両親の阿鼻叫喚の声が延々と聞こえてくるんです。

これ、めちゃくちゃ怖かったんよ…。「低予算の映画だからこういう撮り方にしたんだろうな」とも思うのですが、そうだったとしてもこれはアイデアの勝利だと思いました。直接的に見せないのがこんなに怖いなんて。

音声だけしか聞こえないから「何が起こっているんだ。どんな殺され方をしているんだ」とついつい想像しちゃうんですよね…。3年くらい前に見た映画なんですけど、未だに覚えている名シーンです。

■霊のバックグラウンド説明は無いほうが好き

これまで猟奇的な描写についての話をしてきましたが、霊的な描写のホラー作品についても私は説明をしすぎない作品が好きです。

逆に、霊的現象についてのバックグラウンドが語られるタイプのもの(たとえば、この女の怨霊は生前親から虐待を受けていて、その後結婚するも夫からも暴力を受け…みたいな説明シーンがあるやつ)はあまり好かん。「霊、かわいそうやん。そりゃ恨むわ」と同情がわいてしまうから。

そうじゃなくて、霊にはもっと理不尽で意味不明な存在で居てほしい。

そういう意味で私の好みピッタリだったのが日本では2019年に公開された「コンジアム」という韓国産ホラー映画です。マジでこれは今まで見たホラー映画の中でもベスト級に大好き。

超ざっくり内容を説明すると「とにかくバズりたい動画配信グループのウェイウェイ若者たちが、有名な心霊スポットの廃病院に侵入して生配信したら酷いことがたくさん起こったでござる」みたいな感じです。

この映画の何が好きかって「こまけぇこたぁいいんだよ。怖い画をたくさんお届けすっぞ!」感がすごいことです。

・ウェイウェイ若者集団のキャラ説明は必要最低限。なんとなく「この女の子はおっとり系、この子はボーイッシュ、この子はセクシー担当ね」みたいな見分けがつけばいいっしょレベルの説明しかしない。

・割と早めに本題の廃病院へ入る

・廃病院について「なんか精神病院だったぽくて、酷い人体実験とかしてたっぽいよ」くらいのざっくりした説明はあるけど、細かいことはわからない

と、とにかく説明が少ないのです。その分、純粋にオバケびっくりに没入できる。お化け屋敷みたいな感覚になれる映画で非常に好きでした。

(ただレビューサイトを見ていると、逆にその説明不足感が不満だったという声もちらほらあったな。「廃病院についてもっと謎解きしてもらわないと意味不明」とか。どうすれば怖いと感じるか・満足するかのポイントって人それぞれで面白いね)

そう考えると、私が「不安の種」というホラー漫画をとても気に入っているのも、説明があまりないからかもしれない。

あと、今回話したい内容とは違ってしまうけど展開が早いのも好きだな。シャマラン監督の「スプリット」とか、本題の誘拐までたしか開始3分とかしかかからないのよね。「やべえやつに誘拐されるお話」を見に来て、さっさと誘拐してくれるのありがたいよね。素晴らしい。

■すごい長くなっちゃったね

オタク特有の、好きなものについて話すとめっちゃ長くなる現象になってしまった。すみません。どうまとめたらいいかわからないな…。

あ、そうだ!ここまで私の「ホラーの好み」について書いてきたので「そういうのが好きなんだったら、こういう作品もおすすめよ」とかあったら是非教えてくださいね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?