『キスひとつで終わる関係』

『キスひとつで終わる関係』

※attention
μ'sのにこまき話。



私はにこちゃんが好き

それはμ’sの皆がお互いを想い合うような優しいものではなくて
食虫植物のように狙った獲物は逃したくない、独占欲の塊のようなものだった
3年生だから、先輩だから、部長だから、そんな理由を並べて構ってくる彼女に私は何かを期待していたのだろうか

「冬が終わったら、卒業か」
音楽室のピアノの前にいつものように腰掛けては考え事
少し前からの私の日課となりつつある光景
ただ今日だけは特別ゲストが1人
「なーにしんみりしちゃってるのよ」
腰に手を当てて真姫の傍に立つのはにこだった
見慣れたピンクのカーディガンからは優しい香りがする
「だって、実際そうじゃない」
人差し指でドの音を鳴らしながら視線は俯いていく
「それは…そうだけど気にしてもしかたないじゃない」
そう言って真姫の顔を自分に向けさせて両手で挟んだ
「それよりも、今日は話があって呼んだんじゃないの?」
じっとにこが真姫の顔を見つめると「そうだった」なんて聞こえてくる

言ってしまったらどうなるのだろうか
笑って流すのか、それともぎこちなくなるのだろうか
にこちゃんのことだからきっと真剣に考えてくれる、そんな気がした

「私ね、にこちゃんのことが好き」
言い放ってから表情なんか見つめることが出来なくて目線だけ逸らす
直後に「奇遇ね、にこもそうよ」
なんて調子で返されるから、逸らしいた視線を戻しては挟まれた頬の事も忘れて目を見開いた
「えっ」
少し顔が赤いにこちゃんを見て、ああ、本当なのかなんて実感
キスの一つでもしようものなら私達の関係は終わって、始まるのかな




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