小さな子供

気がつくと私は何もない真っ白な空間に居た。
周りを見渡しても誰も居ない、ただただ奥行きを感じる白い空間が目にはいるだけ。
ぼんやりと思考を巡らせているとどこからか子供の泣く声が聞こえてきた。
声の主を探して進んでいるかすらもわからない道を歩く、
すると小さな女の子が溢れでる涙すら拭わないで棒立ちで大声で泣いていた

「どうしたの?」
少ししゃがんで目線を女の子に合わせて尋ねる。
すると女の子は目元を一度擦ってから悲しくて泣いていると答えた。
迷子でも、虐められたわけでもないらしく聞く答えに首を振るばかり。
聞いてるこちらも段々と悲しい気持ちになってくる、思い返せば嫌なことだらけにも関わらず泣き言言わずにせっせか働いていたんだっけ。
女の子を目の前にそんな事を考えていたら頬に何かが伝うのを感じた。

「お姉さん、どうして泣いているの…?」
先程まで大声で泣いていた女の子は心配そうにこちらを見つめてくる。
「泣いてなんか…え…?だって、わたし…」
気づくと涙が止まらなくなってくる、泣きたくなんか無いのに。
すると女の子がその小さい身体でぎゅっと私を抱き締めてこう言った。
「あのね、悲しいときは泣いていいんだよ。我慢しなくていいんだよって先生が言ってたの」

塞き止めていた何かが崩れて涙や感情が溢れる

わたしはずっとずっとつらくてかなしくてくるしくて。
泣き言いっても変わらないのはしっていたから、消化しきれないたくさんの物を飲み込んでばかりいたら吐き出せなくなっていた。

しばらく泣いたあとに顔をあげると女の子はハンカチを差し出して笑っていた 。

「お姉さんも頑張ってたんだね」

そこでぱちっと目が覚めた。
頬には涙が流れたあとがあった。
その後久々に家族写真に目を通すとそこには夢に出てきた女の子がいた。
当時の私自身だった。

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