「行政広報」と「自治体広報」と「地域広報」

「行政広報」と「自治体広報」と「地域広報」
いずれも、地域に関する広報・情報発信を指す言葉だ。

一般的にはその違いは明確になっておらず、
表現については相当な「揺れ」がある。
これは感覚的なものであるが、学術的な分野においては
「行政広報」>「自治体広報」>「地域広報」
という頻度であろう。

そもそも「行政広報」については古くは
1967年に井出嘉憲が「行政広報論」を、そして
1984年に三浦恵二が「現代行政広報研究序説」を著している。

また、2014年に関谷・薗部・北見・伊吹・川北が広報論の教科書とも言える
「広報・PR論 パブリックリ・レーションズの理論と実際」を著しているが、
その第15章には「行政広報」というパートが存在している。

博士論文に関しては2017年に野口将輝が「地方自治体の行政広報評価に関する研究 —自治体協働意識醸成の観点からの行政広報評価モデルの提起—」を著している

以上のように「行政広報」という表現については学術的な分野においては
一定の合意があると思われる。

一方で、「自治体広報」についても散見される。2023年の田邊直人による
「自治体広報が地域住民に定着するまでの伝播経路に関する研究」
他にも、2022年の佐藤達郎による「クリエイティブ・クラスの移住に関する探索的研究 : 自治体広報へのヒントを探る試み」も存在する。

また「地域広報」についても
2023年の河井孝仁「関係人口創出に係る地域広報の可能性」があるが、
これは一般的にシティプロモーションという表現で代替される傾向にある。

このような状況は、前述したような「表現の揺れ」なのか、
それとも異なる意味合いを持った概念なのかまでは十分に確認してない。

ただ、その頻度と研究の厚みから言えば、
「行政広報」>「自治体広報」>「地域広報」と言う状況なのは
おおよそ間違っていないように思える。

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