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中絶について

自分の身体のことに関して、誰もが自分自身で決められるように。

2020年7月21日に「緊急避妊薬を薬局で買えるように」と厚労省に要望書が提出されたというニュースがきっかけとなり、今日のタイムラインは予期せぬ妊娠と緊急避妊薬についての話題で持ちきりでした。
いまから一年前くらいに中絶がテーマの小説を読んで、そのときの自分なりに考えを整理した記録をここに投稿します。


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いま読んでるエリスンの短編集のなかの『ジェニーはおまえのものでもおれのものでもない』がとてもよくて。アメリカで中絶が禁止されていた頃に書かれた話で、"おれ"のルームメイトが望まない妊娠をしてメキシコまで堕胎のために旅に出るっていうストーリーです。中絶/暴力/セックス/死って感じのハードボイルド要素満載だけれど、物語を通して変化していく"おれ"の内面とか湿っぽさがあって、読んでいるこっちまで痛くなってくる。エリスンは人間らしさを描くのがものすごくうまいなあ…って思わされた作品だった。


中絶といえば、最近アメリカで特に南部の州で中絶禁止法が制定されてるって聞いたなあ…っていうことを思い出して、アメリカでなんでそういう動きが加速しているの?日本は?って思っていろいろ調べてみた。

まずアメリカ。トランプが大統領になってからというものの、主にキリスト教保守の福音派が多い南部の州中心に、中絶禁止法がどんどん制定されていってる。例えばアラバマ州でで制定された法律だと、女性がレイプされて妊娠したとして、性犯罪者よりも中絶手術を施した医師の方が罪が重くなる。去年はアメリカ全体で中絶率が過去最低だったらしいけど、表には出てこない中絶手術の実態があるんだと思う。Netflixが中絶禁止法が制定された州での撮影は行わないと宣言したり、今回の大統領選挙にも中絶ってポイントになっていたり。この辺の事情は結構面白いので、興味ある人はぜひ調べてみてほしいな。


一方で日本はというと、中絶について議論になることすらあまりないけど…。日本の周産期医療(簡単に言うと母子ともに無事に出産するための医療)は優れているけれど、中絶の手術や避妊とかの分野は世界に比べて遅れが深刻だって、多くの記事に書いてあった。

厚労省が出してる統計結果から計算してみたんだけど、平成29年の1年間で15歳~49歳の女性のうち、1000人に7人が人工妊娠中絶手術を受けてるっていう結果が出た。(同じ人が何回も受けてるかもしれないのは誤差の範囲で受け止めて)他の年まで計算していないので年ごとの増減が分からないけれど、1000人に7人って結構身近な問題だよなあ…って思った。

他の先進国は吸引法や服薬によって中絶するのに対して、日本はいまだに掻把法が主流みたいで、掻把法は危険性や技術的な遅れが指摘されている。(ちなみに薬は日本で認可されてない、WHOから日本の中絶手術はunsafeって言われちゃってる)じゃあ中絶手術しなくていいようにピルを手に入れやすくするとか避妊できる環境をつくっていこうよ!って思うんだけど、保険適用外の中絶手術の方が儲かるから医療サイドが渋るっていう側面もあるとか…。

ピルもらうには病院行かないといけないし値段高いしって感じで手に入れにくいから、日本はコンドームで避妊するのが主流。でもそうなると避妊は男性がしてくれるものでしかなくなってしまうんだよね。予想外に妊娠した時も産むか産まないかの選択すらも男性に委ねられているところが結構大きい。男女がいないと生殖って成立しないのに、性に関してのほとんどの事柄が男性主体のままだ。


命を粗末にするな、中絶は殺人だって考える人の気持ちもわかる。その一方で、望まない妊娠が原因で癒えない傷を抱えながら生きていくことになる人もいるかもしれない。というか実際にたくさんいるんだよね。

人によってどうしたいのか違うことは当たり前で、その選択を自由できる環境があることが必要だと思う。そのためには男性女性関係なく生殖器をもつ一人一人がちゃんと自分はどうしたいのか向き合わないといけない。今回いろいろ調べていて、私も自分の身体のこととか妊娠や出産に関すること全然知らないなあって思った。

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