潮井エムコ

エッセイを書いています。 初書籍【置かれた場所であばれたい】を 2024年1月19日に…

潮井エムコ

エッセイを書いています。 初書籍【置かれた場所であばれたい】を 2024年1月19日に朝日新聞出版より刊行📘

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■どんなメンバーシップか 気まぐれな潮井エムコの執筆活動の尻を叩いていただくメンバーシップです。 ■活動方針や頻度 エッセイ、連載、日記など、形にこだわらず自由にアウトプットをしていきます。過去に無料で公開しているエッセイよりもカジュアルに、すっぽんぽんな気持ちを綴る予定です。不定期更新ですが、月に2回は更新します。 ■どんな人に来て欲しいか 1人の人間の日々や思考をのぞいてみたい方、尻を叩いて(執筆活動を応援して)くださる方、一緒に楽しく尻を振ってくださる方にご参加いただけたら嬉しいです。

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記事一覧

生徒指導の先生

私の通っていた高校には、学校の象徴とも言える名物生徒指導教諭が居た。 まず出立ちそのものがとても教師には見えない。初めて彼の姿を目にした時は、 『親父が見て…

潮井エムコ
3週間前
24

生搾りオレンジジュースは自惚れの味

近所の商業施設の中に新しい自動販売機が設営されていた。 ただの自動販売機ではない。商品はオレンジジュース1点のみで、サイズさえ選べない。本来であれば見向きもされ…

潮井エムコ
3週間前
22

お白湯は身体にいいのよ

「お白湯飲んでますか?身体にいいですよ」 ガチガチに凝り固まった私の体を揉みほぐしながら、セラピストの女性が言った。 毎日10キロ近い子を抱きかかえ、私の布団に大…

潮井エムコ
1か月前
297

人は何故結婚するのか【創作大賞感想2024】

「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」 結婚の是非について議論が渦巻く現代に痛烈な印象を残した、ゼクシィの有名なコピーである。…

潮井エムコ
1か月前
135

幻のカレー味

少し遠いが行けなくもない場所で、作家さんやライターさん、クリエイター活動をしている方々の集まりがあると知り、勇気を出して申し込んだ。 潮井エムコとして初めまして…

潮井エムコ
2か月前
25

お便所陰陽師

妊娠中のことである。 いよいよ出産が間近に迫った12月末。妊娠も後期に突入し、赤ちゃんも私の体重も、成長のラストスパートだと言わんばかりにすくすく増加しているとこ…

潮井エムコ
2か月前
21

コメダで揉むな【中庭日誌】

読み応えのあるエッセイにできるような出来事がなかなか起きないので、小粒な話を2〜3本まとめて更新しようという試みをはじめました。このスタイルが合えば続けていこうと…

潮井エムコ
2か月前
28

今だけ、の正体

潮井エムコ
2か月前
26

ベビーカーを押して見る世界

潮井エムコ
3か月前
33

サーティワンを愛する者たち

最寄の商業施設の中で買い物を済ませ、出口を目指していた私の足は、華やかなポップで彩られた店先でピタリと止まった。 バスキンロビンスこと、サーティワンアイスクリー…

潮井エムコ
3か月前
32

出産レポート⑥〜この世の極楽と退院編〜

潮井エムコ
4か月前
32

出産レポート⑤〜もげないで、乳首編〜

ぷるん ぽよん たゆん おっぱいを連想させる擬音を列挙してみたが、今の私の胸はいずれにも当てはまらない。2日ぶりに見た私の胸は「尾田栄一郎が心を込めて描きました」…

潮井エムコ
4か月前
27

出産レポート④〜脅威の回復編〜

ぶよぶよに腫れた瞼の重みで目が塞がり、気絶するように眠りにつくも、尻の穴に違和感を覚えて目が覚める。尻の穴を内側からいたずらにくすぐるそれは、間違いなく屁の赤ち…

潮井エムコ
5か月前
35

出産レポート③〜悶絶の初(ファースト)お便所編〜

見慣れない天井が、満身創痍の私を見下ろしている。 浮腫んだ顔はバターを塗りたくったかのように皮脂でテカテカで、アンパンマンさながらのどでかいハイライトが、両頬と…

潮井エムコ
5か月前
28

出産レポート②〜地獄の麻酔切れ編〜

潮井エムコ
6か月前
31

出産レポート①〜予想外の帝王切開編〜

不謹慎と言われても仕方ないかもしれない。 腹と股の毛を剃られたり点滴に繋がれたりと、帝王切開での出産に向けて準備を進められる中、私は密かに興奮していた。 これが…

潮井エムコ
6か月前
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生徒指導の先生

生徒指導の先生

私の通っていた高校には、学校の象徴とも言える名物生徒指導教諭が居た。


まず出立ちそのものがとても教師には見えない。初めて彼の姿を目にした時は、

『親父が見ていたミナミの帝王の中にこんな人出てきてたなぁ』

と思ったものだ。スーツ姿というのがまたいけない。恰幅の良い体型に、内側に傾斜のかかったメガネ。そして手に持った竹刀が、任侠ドラマさながらの威圧感を倍増させている。
校門の前では、竹刀を

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生搾りオレンジジュースは自惚れの味

生搾りオレンジジュースは自惚れの味

近所の商業施設の中に新しい自動販売機が設営されていた。

ただの自動販売機ではない。商品はオレンジジュース1点のみで、サイズさえ選べない。本来であれば見向きもされないような強気な売り方だが、生のオレンジを丸ごと4個絞った果汁100%オレンジジュースが350円で買えるというのだから驚きだ。

お白湯は身体にいいのよ

お白湯は身体にいいのよ

「お白湯飲んでますか?身体にいいですよ」

ガチガチに凝り固まった私の体を揉みほぐしながら、セラピストの女性が言った。

毎日10キロ近い子を抱きかかえ、私の布団に大の字で寝る子を避けながら、テトリスのブロックのように身体を曲げて寝ている日々である。体は休まるどころか疲労を重ねていく一方で、ついに下を向けなくなるほど首肩が凝り固まってしまった。肩に乗った石が岩になってしまう前に、お小遣いを突っ込ん

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人は何故結婚するのか【創作大賞感想2024】

人は何故結婚するのか【創作大賞感想2024】

「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」

結婚の是非について議論が渦巻く現代に痛烈な印象を残した、ゼクシィの有名なコピーである。

このコピーに脳天をカチ割られたうちの1人が
、何を隠そうこの私である。自分がオットからプロポーズをしてもらった時も、このコピーが脳内によぎったくらいだ。
オットと過ごす毎日はきっと、自分が1人で過ごすそれよりも楽しい。私はそう思ったか

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幻のカレー味

幻のカレー味

少し遠いが行けなくもない場所で、作家さんやライターさん、クリエイター活動をしている方々の集まりがあると知り、勇気を出して申し込んだ。

潮井エムコとして初めましての人前に出るのは、取材や文章の仕事関係以外で初めてである。エッセイという名のプライベートのストリップ活動をしている身としては、著者である私自身の解像度が上がることへの抵抗がある。しかしそんなしょうもない自意識よりも、同じような活動をしてい

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お便所陰陽師

お便所陰陽師

妊娠中のことである。

いよいよ出産が間近に迫った12月末。妊娠も後期に突入し、赤ちゃんも私の体重も、成長のラストスパートだと言わんばかりにすくすく増加しているところだった。
1メートル近い腹囲と、妊娠前より14キロも増えた体重。ここまで急激な体の変化が起きると、今まで通りの生活とやらに支障が出るようになった。その最たるものがトイレである。

お腹の中のほとんどを赤ちゃんとそれに関わる臓器が占めて

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コメダで揉むな【中庭日誌】

コメダで揉むな【中庭日誌】

読み応えのあるエッセイにできるような出来事がなかなか起きないので、小粒な話を2〜3本まとめて更新しようという試みをはじめました。このスタイルが合えば続けていこうと思います。

サーティワンを愛する者たち

サーティワンを愛する者たち

最寄の商業施設の中で買い物を済ませ、出口を目指していた私の足は、華やかなポップで彩られた店先でピタリと止まった。

バスキンロビンスこと、サーティワンアイスクリームの店舗はいつ見ても賑やかだ。ガラスケースの中には色とりどりのアイスクリームが並び、レジ上の液晶画面にはキャンペーン商品やおすすめのフレーバーが次々に映し出されている。サーティワンは来るだけでワクワクする、そんなアイスクリームショップであ

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出産レポート⑤〜もげないで、乳首編〜

出産レポート⑤〜もげないで、乳首編〜

ぷるん
ぽよん
たゆん

おっぱいを連想させる擬音を列挙してみたが、今の私の胸はいずれにも当てはまらない。2日ぶりに見た私の胸は「尾田栄一郎が心を込めて描きました」と言わんばかりに膨れ、重力すらをも無視し、パンッパンに張っていた。恐る恐る手を伸ばすも、人の体の一部とは思えない強度に指先が弾き返される。自分の体なのに、その質感はまるでフィギュアやプラモデルのようだ。

出産レポート④〜脅威の回復編〜

出産レポート④〜脅威の回復編〜

ぶよぶよに腫れた瞼の重みで目が塞がり、気絶するように眠りにつくも、尻の穴に違和感を覚えて目が覚める。尻の穴を内側からいたずらにくすぐるそれは、間違いなく屁の赤ちゃんの胎動であった。
このチャンスを逃してなるものかと全神経を尻と腹部に集中させ、フーッと痛みを逃しながらいきむ。比ではないことは承知の上だが、『経膣分娩ってこんな感じなのかも』と思いながら何度目かいきんだ末に、赤ちゃんは「ピッ!」とかわい

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出産レポート③〜悶絶の初(ファースト)お便所編〜

出産レポート③〜悶絶の初(ファースト)お便所編〜

見慣れない天井が、満身創痍の私を見下ろしている。

浮腫んだ顔はバターを塗りたくったかのように皮脂でテカテカで、アンパンマンさながらのどでかいハイライトが、両頬と鼻の先で光っている。浮腫んでいるのに何故かげっそりとして見えるのは、目の下にこびりついたクマのせいだろうか。ちらりと目に入った鏡に映る自分の姿は想像以上にひどい有様で、ここが個室であることが私に残された僅かな女心を守ってくれている。

出産レポート①〜予想外の帝王切開編〜

出産レポート①〜予想外の帝王切開編〜

不謹慎と言われても仕方ないかもしれない。

腹と股の毛を剃られたり点滴に繋がれたりと、帝王切開での出産に向けて準備を進められる中、私は密かに興奮していた。

これが出産直前という境遇に迸ったアドレナリンの効果なのだろうか。もうすぐ待望の我が子に会える喜びと、意識があるまま体を切り開かれるとという未知の体験に対しての興味が、私の中の恐怖心を打ち負かしていた。30年に渡る人生のほとんどを、孫悟空顔負け

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