Last minute

ため息をつくことさえ恐れながら
僕の言葉が途切れても  君は何も言わない
長い沈黙を恐れるように
コップの氷がコトリと一言
君の代わりにつぶやく
たった今  落とした涙は 僕のため?
それとも君自身を癒すため?
心を見透かされたくなくて
君から背けた眼を
思わず時計に落としてしまった
慌てた手から滑り落ちたグラスは
僕にではなく  君にキズを残した
張り詰めた空気   失った君との平衡
もう君の側にはいられない

上から視線を感じながら
それでも  私は何も言わない
イノセントという名のナイフを振りかざす度                           その手で何人切りつけてきた?
罪を重ねる人ほど   自分は無実と主張する
墓石に花を手向けるように 最後に沈黙を手向けよう
高らかな笑いの代わりに 一粒の涙と沈黙を供えよう
あなたが気づくずっと前から                                           本当の私は  あなたの前にはいないから 

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