W Korea 2021.3.23

Hello goodbye IU

https://www.wkorea.com/?p=172907

IUはいつもIUだが
彼女はいろいろな面で堂々とする年齢を迎えるその日を待っている
過去の自分にクールに挨拶して、これから迎える新しい自分を喜んで抱きしめようとするIUの現在を見ていく。

こんにちは、イジドンさん(笑)
所属会社の新入社員にイジドンという“副キャラ”として臨むYouTubeコンテンツ、見たよ。飾りっ気のないスタッフ達と気が合うようだね。

私はよくコントを仕掛ける。
働いている人は長い付き合いなので、お互いをよく知っている。
私が急に寸劇を仕掛けても、いまやみんな間髪入れずに受け入れてくれる(笑)

“はちゃめちゃライブ”、“Stay home Signal”
そして他の歌手と曲を入れ替えて歌って、トークもする“ IUのパレット”まで、昨年からYouTube活動を活発にしていますが、本当にまめな方だよね。

仕事に関してはそうだと思う。それ以外では特にすることも無いから。私は休暇がむしろ疲れて、仕事をすると考えの整理もよくできる。新入社員イジドンのコンセプトはASMRコンテンツを撮る日の朝に、ASMRを変わった方法で出来ないかなと思っていたところ、ふと浮かんだアイディアだ。
“パレット”は、ジョクチェさんと“Stay home signal”を撮った時のお互いに即興で気楽に歌って、意見を言い合うライブな瞬間がとても楽しくて、拡げてみようと思ったのが始まりだ。音楽人だけで、お互いの歌を交換して歌う時の魅力とシナジーがあって楽しい。

3月25日、4年ぶりに正規アルバム5集〈lilac〉が発売される。ちょうど1年前にインタビューしたの覚えてる?その時、ビッグサイズ に関心があると言っていて、“幼い頃と違って広くて大きな話、大きな音楽を作ってみたい気持ちがある”と言っていたけど

その考えは今回のアルバムで積極的に反映した。メッセージの意味も、サウンドの幅も、色々と華やかで多彩だ。今回のアルバムでは、私は作曲をしていない。プロデューサーの観点でIUのアルバムとして見た時に、必ず自作曲が入っている必要はなかったのだ。私はこれまで主に個人的な話を込めた、淡々としたスタイルの音楽をしてきたけど、それが今回のトーンには合わないと判断して、果敢に外してみた。

おぉ、客観的に冷静なプロデューサーの視点でアルバムを編集したんだね。

人々が今回のアルバムを聴いた時に“IUがすごく明快なアルバムを出した!”と受け取ってもらいたい。耳が楽しくて、たくさんのお話が詰まったアルバム。最初から最後まで、すべて面白くて、我慢して聴く曲がないアルバム。
私もやっと“みんなこの曲は一度でハマるだろうな”とか“この曲は2、3回聴いたら情がわくだろうな”という判断ができる経歴になった。
そうして、それなりにわかってきて、“だけど、この曲はアルバムに収録しなきゃ”、“これは私のアイデンティティが出る自作曲だから入れなくちゃ”という考えでアルバムを作るようになった。今回はそうはしなかった。

例えるなら“lilac”は自主映画よりエンターテイメント要素が深いブラックバスターに近いのかな?

自主映画より商業映画には近いと思う。
ライブを準備する時、企画段階で“何よりもエンターテイメント的に完璧なライブ”を作りたい時がある。今回のアルバムはそんな観点で作った。

だけどアルバム名がなぜ“lilac”なの?どういう意味だろう?

このアルバムのテーマとトーンは、いつにも増して確実に決まっている。それは“挨拶”だ。私の20代に告げる挨拶、20代を見てくれた皆さんに感謝を込めた挨拶だ。ライラックの花言葉は“若い日々の思い出”らしい。“私はもう次に行きます”というメッセージを込めて挨拶をしつつ、同時に新しく迎える30代に向けて挨拶をしたかった。

“年齢シリーズ”を聴きながら、あなたを追いかけるのが好きだ。23歳の時はあっちに行ったりこっちに行ったりと自分がわからないと言うが、なかなか挑発的な事を言う“23歳”、25歳の時はやっと自分が少し分かったみたいと言う“パレット”を歌った。28歳だった昨年の“eight”では幸せか?と言う問いを投げかけていて。29歳の今はどうなんだろう?

正直に言えば“まだ20代終わってないの?あと1年もあるなんて!”という気分だ。
20代を反芻しながら20代の最後を悠々自適に過ごしたい気持ちもあるが、“いつにも増して激しく生きなきゃいけない”とも思う。

“まだ20代が終わってないなんて”というのは具体的にどんな気持ち?

私は16歳でデビューした。社会生活を早いうちに始めた人と話すと、似たような考えを持っているようだ。20代が長く感じるというか、若いうちにデビューしたとはいえ社会人だから、幼いままではいられないし、人より出発点を何年も早めて買ったようなものだ。経歴よりも若くみられる事も多いし。だから、一年一年過ごしながら“あらまぁ時間がもったいない”とは思わず“早く堂々とした年齢になりたい”と思うようになった。どこに行っても、経歴や実年齢を見ても立派な印象を受けれる年齢に。

振り返ってみればあなたの20代はどうだった?素晴らしかった?

本当に頑張って生きた。成績も良かった。頑張っても必ずしも結果が実らない事も経験したが、運が良かった。

IUの運が良くて今日のIUになったのかな?本当にそう思う?

こんなに頑張れること自体、持って生まれた性質だから。運として受け取った性質。整理するなら、運も良く、またやはり怠惰だったこともなかったと総評する(笑)

4年ぶりの正規アルバムだから、悩みも多かったと思う。何度も悩んだ部分はなかった?

23からプロデューシングをしていたので、どうしても“自分の色”があった。その慣れた色でアルバムを作るべきなのか、いっそ新しいサウンドと雰囲気で“終わりと始まり”を表すべきかとても悩んだ。だから時間もすごくかかったし、修正作業も多かった。ほとんどの作業は、いつものメンバーではなく、初めての方々と仕事した。やはり長かろうが短かろうがお互いに呼吸が合うまで時間が必要だった。

参加した作曲家にNaulがいたね。ドラマチックなところがあるNaulと淡白なIUが意外な出会いだと思ったけど、アルバムの性質を聴いてみたら理由が分かった気がする。

“初めて聴いた時に、視覚的な風景が連想される歌”をお願いした。香りのある感じを。Naul先輩の曲は修正作業なしに最初に決めたまま進んだ。

あなたの歌詞に“水気のある女”という小節があるよね。1年前のインタビューでは“IUを潤わせてくれる場所”に“たまに訪れる愛や野望”と挙げた。最近のIUに潜む野望の気運は感じた?

目標がよく出来る人間なので、叶えたいことがあるときに感じた。アルバムを出す時は必ず、満足するまでは絶対に出さない、という私だけの目標がある。いまの目標や野望を挙げるなら“私だけの満足じゃなくて、人々がやっぱり聴きたくなる歌じゃなきゃ!”だ。一言で言えば、大衆性を掴みたい。“IUの話だから聴いてみるか?”では無く“本当に良いから探して聴いてしまう”音楽ということだ。

ある人の歩みを見て“あの人は本当に野望があるな”と思うことはある?その人は今どんな風に見える?

ある。私の父(笑)。父はひとつ叶えたら終わりじゃなく、関心のある事と特技がどんどん増えて、とにかく欲しいものやしたい事がよく生まれている。

あら、可愛らしいと噂のIU父?(笑)

とても可愛らしい。私は父が本当に好きだ。“パパ、満足してみなよ”といじったりするけど、父がそういう人で嬉しいし、良かったと思う。

お父さんは欲が多いというよりもエナジーが多い人なんだね

その通りだ。私も父の血を分けたからか、終わりなく目標が生まれるが、私は父のようにどんなことでも楽しめない。私の父はいわば明るい勝負師だ。“私がお小遣いをたくさんあげるから、少しゆっくり過ごしても良いんじゃない?”というと“金の問題じゃない”と言う。何かをしたいという気持ちとお金は姿が違うらしい。僕が望むのは丸だけど、星の形を丸くしたからといって埋められるものではないと。

セミナーしても良さそうだね。〈星の王子さま〉に出てきそうな会話劇だ。お父さんの話で記憶に残ってるものは他にある?

父に、寝る前にどんな事を考えるのか訊いたことがある。私は寝る前にありとあらゆる雑念を考える。大体仕事か、小さな後悔や心配など。父はこんな事を考えるらしい“誰かに突然3つの願いを言えと迫られたらなんと答えよう?”なぜだか不意に答えなければならないような事があるかもしれないから事前に整理しておくのだと。

昨晩、ネットでこんな記事を見たの。“宝くじの一位が当たったらどう使おうか計画してみたけど、お金が足りません”私も気づいたらニヤリとしてしまっていた。

可愛い。そんな人こそ人生をきちんと使って生きている人ではないかと思う。

野望という言葉にお父さんと返ってくるとは思わなかった(笑)IUという人間を潤わせてくれる“愛”の前では与え方と受け取り方はどんな風に変わる?

2つとも状況がかなり違う。愛を受ける時は少し気恥ずかしくなる。ファンから暖かく迎えてもらうのが恥ずかしかった。だけど年齢を重ねて、少し変わった。今愛してると伝えなければいつ伝えられるか分からないから。私から先に始める愛のときは、後先考えずに注ぎ込むタイプだ。

愛を与える時には、もっと自然なイジウンらしい面が出るの?

心はもっと穏やかになる。与えるのは簡単なことだから。“受け取って、これが私の気持ちだよ”と渡せば良いから。愛を受ける時は、それをどのように返すべきか分からず、体がこじれるような気分になる時代があった。今は少し分かるようになった。誰かが愛してくれたときにそれをきちんと受け取るのが愛であると。

愛着を注ぐ対象や物はある?それも愛の行為だと思うけど。

私は物に対して愛着や欲求がない。だから欲しいものが多い父のような人を見ると羨ましくてかっこいいなと思う。欲しいものが多い人の血液はそれだけ早く回る気がする。物でも人でも私にはそんな愛着と呼べる対象が頻繁に出来るわけではないので、一度できたら、その分変わらずに長く続いていく。そんな対象が出来ればまず嬉しい。考える間もなく、私の体と考えが動き出すだろう。

もうすぐ世に出るあなたの大きなニュースは心アルバムだけど、実は話の種が多い。キムジョングァン監督の映画〈誰もいない場所〉が3月31日に公開して、昨年はパクソジュンとイビョンホン監督の映画を撮り始めた。それなのに是枝裕和監督の〈ブローカー〉も撮影に入ったそうで?

イビョンホン監督の映画はクランクインしたけど、まだ撮影分が残っている。〈ブローカー〉は監督とミーティングだけして、まだ台本読みも始めていない。ダブルユーが発売される頃に初めての台本読みだったかな?近いうちにソンガンホ、ペドゥナ、カンドンウォン先輩たちと挨拶する予定だ。楽しみだ。

ペドゥナに対するIUの気持ちは昨年のダブルユーインタビューで詳細に聞いたので今回は省略します(笑)監督とあなたがどんな会話をしたのか気になる。

ビデオ通話で一度、対面で一度お会いした。私が考える役柄と監督の考えがどのくらい合っているのか、台本に込められた要素はどんな意味なのか、質問が多い人間なので監督を煩わせたが、幸い楽しく受け止めてくれた。

どんな質問をしたの?

うーん。監督が最も長く考えていらっしゃった回答は、ある台詞に関するものだった。それは劇中の人物の言葉なのか、監督が人物の口を借りて言いたいことなのか気になった。その質問に興味を持たれたようで、今度会う時に答えるとおっしゃっていた。

どうして気になったの?

少し疑問が残る台詞だった。演じる身としては、それが人物にどのくらい根差した言葉なのか知りたかった。ただ過ぎ去るように言う言葉なのか、相手の目をしっかりと見つめながら言う言葉なのか判断しなくちゃいけないから。

あなたもアーティストだから分かることだね。クリエイターの全ての副産物にはその本人がある程度投影されてしまうことを。もちろんIUは自分の歌を歌う歌手だから遠回しにせず一人称で告白できる。例えばGDとフィーチャリングした“パレット”では少しダサいものが好き”と言ったりね。

多分“ダサい”と言う基準はどうしても他人の基準になる。私はよくこんな言葉を聞いてきた。 「それ本当にかわいいと思うの? それはダサい!」そんな視線に対して私は変わった人じゃないとか、それはダサくないと反発するよりも「うん、そうだね」とお話しした。「そうだね、私はちょっとダサいのが好きなの」と。
 「そうだね、私はちょっとダサいのが好き、濁ったのが好き、幼稚なのが好き、私の目にはそれが可愛いんだけど?」と。

今回のアルバムに対しては、他人の基準も満たしたい欲求がいつにも増して大きかったように思うが、ヒットした時と期待通りにいかなかった時の状況を想像したりもするの?

そういう想像はデビューしてからずっとしてきた(笑)だけど、私が望む通りにヒットした時の喜びは思ったよりも大きくない。良い瞬間が続いても、特に楽しい気持ちが大きくなることはなかった。結局はこんな風に整理した。「これはあなた1人で成し遂げた事じゃない。そんなに祝うまでもない」
私はアルバムを出すまで1人で過ごす方だ。最初の反応を見た後は携帯を見ないようにするのだ。曲を世に出した後は、また別の次へと進まなきゃと誓う練習をかなりしてきた。

受け取るのが苦手で、享受もできない面と通ずる症状みたいなもの?

そうだ。だから観点を変えてくれるのが、アルバムを作る過程で必ず楽しむことだと思っている。作った後の成果を見て楽しもうとするのは遅いし、作る過程での楽しさの全部を感じなければという強迫観念がある。だからこそなお、自分の意思通りに全ての仕事をやりきろうとするのだと思う。

結果が期待外れだった時にがっかりする自分をケアするために、自分なりの賢明なソリューションを見つけたの?

正直に言うと、私の予想から大きく外れた経験は多くない。 だから私が運がいい人だということだ。そうなった時の心の備えを常に心の中でしている。 恐怖が大きくなったりもするし。

今回も備えているだろうね。だから私は今、旗揚げを控えている一方で、心のケア中でもあるIUとお話しているんだね。

私は打率が良い時に調子に乗ったりしない。
打率が良くない時も「そうだね、そういうこともあるよ」と言える人であってこそ「辻褄が合う人」だと言い聞かせている。それでこそ公平じゃないか?嬉しい時に嬉しくて暴れるタイプでなければ、がっかりする時も打撃が大きくないと補償が成立しない。私がうまくいったのは私の能力のためだけでなく、運が大きかったと思えば、それほど悔しいこともない。 そして、たとえ良くないことが起きたからといって、そんなに苦しむタイプでもない。

では、いまのこの緊張する時間から、活動結果がある程度出た2021年年末にタイムリープをしてみよう。 30という立派な門出を控えた29の最後の瞬間にどんな状態であってほしいか。

幼い頃から「30」に対するロマンがあった。 20歳は近すぎて私がポケモン進化するように進化しているのではなく、30歳は少し遠いからこそ漠然と素敵だと思った。 「ウアアアア!」とできるように願っている(笑)。 「試験期間終了!」の時みたいに。 生まれてからそんな風に叫べるほど嬉しかったことは指で数えるくらい。3回かな?

国を取り戻した人のように解放感を感じ、何のためらいもないレベルの純度の高い喜びのことだね?その3回の記憶は何だった?

最初の経験は中学校の時に中間テストを終えた後。その時までは一生懸命勉強していたの。 試験が全部終わって、仮採点まで終えた後、家に向かう瞬間「うわぁ!もうロッテワールド行ける!」自由とはこういうものなんだ。狂って暴れる気分だったことを覚えている。
二つ目は、私のコンサートに GOD先輩たちがゲストとして立った時。 私の人生で初めて誰かの熱烈なファンになったのがGODだ。
そして最後の3番目が今回のアルバム歌詞作業を終えた時。スマホをソファーに投げながら叫んだ。 「やり終えた!」どんなにふわふわしたソファでもそこに携帯を投げるなんて、そんな過激な行動をしない私が(笑)。 20代を終える瞬間、そんな解放感を感じたい。

今回のアルバム収録曲であり、1月に先行公開されたシングル「Celebrity」で、あなたは変わった人扱いをされた親しい友人を思いながら歌詞を書いた。 あなたは変わった人じゃなくて、星のような人だって、美しくて素敵だって。 IUがIUに「君、ちょっとかっこいいな」と言えるようなことはないだろうか。

実は…今回のアルバムを準備しながら私ちょっと素敵だと思った。 あ、こんな話普段は自分の口ではあまりしない。 私の素敵さを感じることもあまりないし。 これが年を取って生じた変化なのかと思う。今回のアルバム制作の時、やり遂げなければならないことが多かった。 初めて作業する人たちと息を合わせるのもそうだし、すべてのトラックのジャンルが違う。 ジャンルがまちまちな中でも共通する時代的なサウンドというか、キーワードはあると思う。 それは私が説明するより聞いてくれる方々が感じるだろう。 大きなプロジェクトなのでちょっと手一杯だった。 やり遂げられないと思った。でも気に入ったものを結局完成させたということで、こんな感じだったよ。 「私、最高じゃん?」

終わり