【セ・リーグ首位打者争い】ラミレス・マジックが招いた?佐野恵太と梶谷隆幸、けんかをやめて

「けんかをやめて 二人をとめて 私のために争わないで もうこれ以上」

竹内まりやが、河合奈保子のために書いた名曲「けんかをやめて(1982年)」の歌いだしである。

ベイスターズファン、特に佐野恵太と梶谷隆幸のダブル推しのファンはいま、こんな心境ではないか。

違うタイプの人を好きになってしまう揺れる乙女心である。

2020年のNPBのレギュラーシーズンも、パ・リーグはすでに全日程終了、セ・リーグも今日14日のジャイアンツ対ベイスターズ(横浜スタジアム)のデイゲームで全日程終了となる。

すでに4位が確定しているベイスターズにとって、この試合はすでに退団を発表したアレックス・ラミレス監督が最後の指揮となるばかりでなく、佐野恵太と梶谷隆幸の首位打者争いが注目を集める。

①佐野恵太 402打数 132安打 打率.3284

②梶谷隆幸 431打数 140安打 打率.3248

同じチームの野手が首位打者を争うのはそうあることではない。

古くは、1956年に西鉄ライオンズのチームメート、中西太と豊田泰光が首位打者を争い、結局、豊田が首位打者を獲得している。

しかも、このシーズン、中西はホームラン王、打点王の二冠であり、打率わずか4毛差で戦後初の三冠王を逃している。

佐野は10月25日のカープ戦で左肩関節を脱臼、途中交代して以降、試合に出場していない。最終戦での出場は絶望とされている。

その間、梶谷は調子を上げ、10月28日のジャイアンツ戦で打率.329とし、佐野を一瞬、抜いたが、また打率を落としてしまい、さらにここ2試合は背中の張りで欠場したまま、シーズン最終戦を迎えることになった。

梶谷が佐野を上回るためには4打数3安打以上が必要となる。

①梶谷隆幸 435打数 143安打 打率.32874

②佐野恵太 402打数 132安打 打率.32836

実に3毛8糸差、かなり僅差となる。

もし、梶谷が逆転するなら、NPB史上6番目の僅差での首位打者となる。


ラミレス監督は、梶谷の出場の可能性について「トレーナーからOKが出れば出場させるつもり」と答えている。「同じチームで最後まで争うことは非常にエキサイティングだ」とも語った。

しかし、梶谷のライバルは佐野だけではない。最終戦のジャイアンツの先発は、菅野智之だ。

来季、ポスティング制度でのメジャー行きが濃厚となっている菅野にとっても、日本シリーズ初戦先発に向けた大事な一戦であるが、梶谷と菅野の今季の対戦成績は、8打数1安打、打率.125。梶谷はかなり分が悪い。

ベイスターズ首脳陣やファンからすれば、最多安打は梶谷、首位打者は佐野で分け合って欲しかっただろうが、最多安打はすでにドラゴンズの大島が146安打で、2年連続でタイトル獲得をほぼ決めている。
(ただし、もし梶谷が最終戦で6打数6安打なら、首位打者と最多安打の二冠となるが)

こんな事態を招いたのもドルチェ&ガッバーナの香水ではなく、ラミレス監督の采配=マジックのせいかもしれない。

ラミレス監督は、2016年シーズンからベイスターズ監督に就任以降、「データ8割・感性2割」と語る独特の采配で、相手チーム、ファンを幻惑してきた。

「マシンガン継投」で2017年の日本シリーズでホークスを苦しめ、日本一まであと2勝まで迫り、今シーズンは「キャプテン・4番」筒香の後継者に、まだ代打でしか実績のない佐野恵太を指名し、見事にその才能を開花させた。
そして、「8番・投手」「代打・ウィーランド」「先発・パットン」「投手に送りバントさせない」など、数々の奇策を繰り出してきた。


監督就任5年でAクラス3回、通算335勝337敗、勝率.499。

リーグ優勝、日本一、通算勝率5割には届かなかったが、指揮官としては及第点であろう。

ラミレス監督は最後にどんな采配、いやマジックを振うのだろうか?

そして、佐野恵太と梶谷隆幸。

指揮官は、佐野を「無欲の四番」と評し、梶谷を「日本一の一番打者」とほめた。
チームメート同士の仁義なきバットマンレース、勝利の女神はどちらに微笑むのだろうか?

でも、本当は、ラミレス監督の心境はこうかもしれない。

ごめんなさいね 私のせいよ
二人の心 もて遊んで
ちょっぴり楽しんでたの
思わせぶりな態度で

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