阪神・村上頌樹、WHIP戦後最高記録を64年ぶりに更新


村上頌樹、WHIP0.7413で戦後NPBのシーズン最高記録を更新



阪神タイガースの村上頌樹が戦後最高記録を更新した。

村上は9月25日、バンテリンドームで行われた対中日ドラゴンズ戦に先発登板すると、2回に1死二、三塁から8番・龍空にタイムリー安打を浴び、2点を失ったが、5回を投げ切り、被安打5、奪三振3、無四球、2失点(自責点2)で降板した。
チームはそのまま1-2で敗れたため、村上は6敗目(10勝)を喫した。

村上はこれで今季144回1/3を投げ、規定投球回数の143イニングに到達、防御率1.75となり、セ・リーグトップをキープしたことで、自身初の最優秀防御率のタイトルをほぼ手中にした。

さらに村上は、今季の被安打は92、与四球15であったため、1イニング当りで出した安打と四球の走者である"WHIP"は0.741と驚異的な数字を記録した。
大卒プロ入り2年目の投手としては異次元の数字である。

投手の指標"WHIP"とは

"WHIP"とは、"Walks plus Hits per Innings Pitched"の略で、被安打と与四球をイニング数で割ったものである。
なお、死球や失策などは含まない。
"WHIP"はMLBではすでに公式記録として扱われているものである。

投手の成績や指標でもっともメジャーなものは言わずとしれた防御率である。”防御率”が投手がいかに少ない自責点で抑えたかを示す指標なら、”WHIP”はさらに、投手がいかに少ない走者を出して抑えたかと示す指標である。
投手が許した出塁が少なければ、それだけ失点のリスクも下がるということである。

NPBのシーズン最高WHIPは戦前は景浦将、戦後は村山実

村上頌樹が記録したWHIP0.74という数字がどれくらいすごいかというと、これまでのNPB記録は、1936年秋シーズンに大阪タイガースの景浦将が記録した0.7193である。
ただし、このシーズンは31試合しかなく、景浦将は57イニングで記録したもので、村上の半分以下の投球回数で達成したものである。

NPBにおけるWHIP歴代2位は、同じく阪神タイガースの先輩である村山実(大阪タイガース)がルーキーイヤーの1959年に295回1/3を投げて、防御率1.19、WHIP0.7483を記録しており、今回、村上は64年ぶりに村山実の記録をわずかに上回った。

NPBの2000年以降のシーズン最高WHIPはダルビッシュ有

景浦将や村山実が現役の時代と現代では、環境があまりに異なるため、21世紀以降で比較すると、NPBで2000年以降にWHIP0.8を下回った投手はおらず、最高は2011年のダルビッシュ有(日本ハム)の0.8276である。


山本由伸は今季、自身3度目の"WHIP0.9以下"を目指す

オリックス・バファローズの山本由伸の自己最高のWHIPは2021年に記録した0.8468で、今季はここまでWHIPはリーグトップの0.89(157イニング、被安打114、四球26)を記録しており、残り試合の登板によってはキャリアハイを更新する可能性も残されている。

山本由伸は今季も「投手4冠(防御率、勝利数、奪三振数、勝率)」をほぼ確定している。

打者のOPSに次いで、投手のWHIPもメジャーになる日が来るか

日本のプロ野球ファンには、WHIPという指標はまだ馴染みがないが、打者のOPSも徐々に浸透していったように、投手のWHIPもメジャーになるかもしれない。

ただし、野球において選手をデータで分析・評価する「セイバーメトリクス」では、WHIPは必ずしも投手の「優秀さ」を表す指標として用いられているわけではないことに留意しておく必要がある。




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