3兆円市場になるとは....

インターネット広告がついに3兆円の見込みとのこと。メディア&広告の最前線からは10年以上も離れてるけど3兆円は驚いた。


自分も昔、この業界で仕事してたんだけどいつからこんなに巨大化したんだろうと思って市場推移を調べてみたら

1996年 16億円
1997年 60億円
2003年 1,000億円
2009年 新聞を上回る
2014年 1兆円突破
2019年 テレビを上回る
2024年 3兆円超予測

良質なコンテンツは大事だけどそれ支えるのはアドテク。コンテンツが花だとするとアドテクは地下茎。両方ケアしないとね。地下茎が弱ると花は咲かない。
そして大事なアドテクノロジーを内製化できてるか?他社依存しちゃってるかはメディアの将来にとってとても大きいと思う。最近だと課金型メディアも増えてきたので地下茎に課金決済システムも入るのかな。地下茎が外部か?自分のものか?

これは自分の印象なんだけど、メディア業界の人はコンテンツの話をするのはとても好きだ。視聴率や部数、配信数が伸びた!という話題はよく出るし盛り上がる。しかしアドテクの領域の話はあまりしないというか、CPCが伸びた!!とか熱烈に語るメディア業界の人ってあんまりみたことない笑 だからかどうかわからないけど、メディア関連の書籍は多いけど、ネット広告の歴史の書籍は見かけない気がする。良書あったら読んでみたい。

1996年は今でいう予約型かつディスプレイだった。そこから地下茎の爆発的進化が起きていく。成果報酬型(アフィリエイト)や検索連動広告、運用型広告の誕生へ、バナー型からテキスト型からそしてビデオへ、ダイヤルアップからブロードバンドや高速モバイルへ、PCからスマホ、ブラウザからアプリ、クッキーからID、自社面掲載から他社面掲載へ、アドポジションへの掲載からタイムラインへの掲載へ、枠への掲載からデータドリブンで人への配信へ、テキストコンテンツからビデオコンテンツへの配信、インストリームからアウトストリームへ、さらにはソーシャルメディアへの配信へ、など毎年のように大きな変遷や転換点があった。なお自分はもうこの世界から離れて相当にたっちゃってるので間違ったり最近の動きは漏れてるのはご容赦を。

なぜアドテク業界にこれだけ大きなイノベーションが起き続けてるのか?を考えるときに、一つ思い浮かぶのがインターネットの普及以前からパソコンの世界は個人が好き勝手なことをやりたい放題やってきた文化もあるんじゃないかな、とか折に触れて思い出す好きな本がこちら。


この間の歴史の最大の転換点は何か?と言われるとOverture(前身Goto.com)と思う。「誰もが広告を入札方式で買って掲載して広告効果を数値で見れる」というイノベーションというよりさらに巨大なパラダイムシフトだったとおもう。よくこんな新概念を思いついて実現したよなとリスペクト。このコンセプトは現在に至っても世界中のメディアを覆っていると思う。

詐欺広告だったりプライバシーの問題とか広告をめぐる逆風もなかなかなものだけど、それらを新しいイノベーションで解決して、そしてそのイノベーションがまた新しい頭痛のタネを生み出していく。次の巨大なパラダイムシフトはなんだろうか?生成AIあたりから来るのかな?とかとかニヤニヤしながら今後を楽しみに見守っていきたい。

さらに今の仕事に引き寄せて考えると、3兆円市場もたった16億円から始まった。デジタル行政への道のりも遠くに見える山頂が遠いし険しいなとへこたれそうになっても、歩き続けたらきっとそこに行けるなと思うのでした。そしてその間に、アドテクの世界で起きたようなイノベーションを何度も楽しみつつ。


おまけ1

「日本の広告費」の歴史から読み解く、時代の変化(電通)
「日本の広告費」の歴史から読み解く、時代の変化(電通)


おまけ2
97年にこの世界に転職したときの広告市場は60億円。100万円の広告でも巨大に見えて仕事してた。思い出深いのは某テキーラの会社の予算規模100万円くらいのキャンペーン。費用の一部はテキーラの箱でのバーター。また毎週金曜日に社員みんなでピザ食べる習慣があったけどピザ代は広告枠で払ったり牧歌的だった。今だと不適切になるのかな。

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