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港区で働いてたCxOが西新宿にやってきて満5年

今日で都庁に来て満5年経過。

執務室にはWi-Fiもなく専門人材も予算も組織もないところからの出発。そこから行政とデジタル化を取り巻く環境は大きく良いほうに変わってきたなと思う。国でもデジタル庁もできるなんて夢みたい変化だ。

行政デジタル化の機運の高まりとともに、民間から行政へ転職する人も、国、地方、都を問わずに増えてきた。

一方で、CxOクラスの人、経営経験のある人で行政の世界に来た人はまだほとんどいない。わたしはCxOのネクストキャリアに行政はいいのではと経験者の一人として心の底から思っている。

行政は組織で仕事をするから民間の組織マネジメント経験は120%いきる。DXとは組織変革そのものだから、なんらかの組織変革経験も絶対に生きると思うね。行政のデジタル化は新規事業というより新規産業創造なので新規事業の立ち上げ経験もいきる。官民連携やデジタルチームと既存事業のすり合わせは苦労もあるけどPMIの経験もいきてくる。

実務面でも、巨大なレガシーなシステムを新しいシステムに刷新する仕事は挑戦的で面白いし、行政の開発にオープンソースを取り入れることや、デジタル技術を使って民主主義をよりよくしていくことなんか可能性にあふれてる。スタートアップはゼロイチでいろいろなことを経験できるけど、行政デジタル化は0-1というより0-100の垂直立ち上げ。カオス感じもすごいけど、こんなときこそハードシングスを潜り抜けたCxO経験者はいきるはずだ。

だからもっと専門的な技術者だけでなくマネジメントやリーダーシップにたけたCxOな人がこっちに来てほしい。そのファーストペンギンの一人(一羽?)としてCxOが行政にきたらどういうことがおきるのか?について書いてみた。ネクストキャリアに迷えるCxOの参考にしてもらいたい。

あらゆる選択は何かを喪失することの裏返しだ。民間のCxOクラス、経営層から公務員に転職すると、得ることもあるが失うこともある。

失うことの代表格はヒトモノカネだ。自分も減るだろと覚悟してた。答え合わせすると、給料1/X、部下数1/XX、使える予算1/XXな感じで減った。定性的にも伏魔殿で大変だぞーと脅されたんだけど、これまでにご指摘頂かなかったようなタイプのご指摘、例えば利権目当てに転職したとかあいつとグルだぞとか天下り狙ってるみたいなタイプの評価も不徳の致すところでいただくようにもなった。

要するにCxOな人が行政の世界にやってくると、失うもの多くして褒められること少なしな仕事になる。キャリアアップというよりもキャリアダウン、転職というより罰ゲームにしかみえないだろう。

でも、そんな中でも今の仕事を楽しんでやっている自信はあるし、だからこそCxOクラスの人にもどんどんこっちの世界に、仮に都庁でなくてもいいからきてほしいと思ってる。
なぜか?同郷の巨人の詩を借りると

「かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂」

留魂録

な矜持なんだとおもう。

きれいごとで並べたてると、銭金の損得ではなくキャリア上昇でもなく、誰かがいま必ずやらないといけない仕事がこの世に存在してるのを知り(自分の場合は行政デジタル化)、自分が貢献できる何かがあるらしい。平たい言葉で言えば巨大なやりがいの塊がここにはあるけど、それに出会ってしまった。

「やりがい」というと「やりがい搾取」の悪印象もあるけど、行政デジタル化にはヒトモノカネはないけどやりがいは無尽蔵にある。経営者時代の知人から「それってやりがい搾取されてない?」といわれることもあったけど、自分の場合は好き好んでむしろ俺からもっと搾取してほしいので気にはならない。

かつて日本海軍の提督が

苦しいこともあるだろう。
言いたいこともあるだろう。
不満なこともあるだろう。
腹の立つこともあるだろう。
泣きたいこともあるだろう。
これらをじっとこらえてゆくのが男の修行である

山本五十六

と語った。

この詩を読んだ提督も、当時の巨大組織を大艦巨砲主義から航空機中心主義に変革してる際に吐露したのかもしれない。行政の中でいまデジタル化をやるときには、この詩のような状況に置かれることは頻繁にある。罰ゲームととらえるか、修行の場としてとらえるか?価値判断がわかれるところだが、修行の場を求め人ているCxOにはぜひこの世界も選択の一つにいれてほしい。

CxO経験のある人にもぜひセカンドキャリアの選択肢に入れてほしい。行政のデジタル化や医療交通教育防災育児などの公共分野のデジタル化よりも巨大で難しい挑戦、すなわち成長の機会があるのだろうか?(追記)
ともに悩みともに修行してともに成し遂げよう!

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