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令和の新入社員になりました

今日から4月1日。
多くの新社会人が誕生したと思いますが、自分自身も令和という時代の新入社員です。新卒学生さんと横一線ですね。そこで新時代の新入社員の自分自身のために、かつて新卒入社の入社式で話していた原稿を引っ張り出してみました。人生100年時代。自分は新入社員をもう一度やっても、今までと同じくらいの時間があります。これから先、新しいことに出会ったり成長したりする時間がたくさんある。そんな新入社員の時代と同じ気持ちで令和を楽しんで生きます。

(2012年くらいに新卒社員向けに使っていた挨拶原稿)

人には人生でおおきなタイミングがいくつかあります。
生まれた日、死ぬ日はすべての人に共通な重要な一日でしょう。

そして「就職する日」もおおきな特別な日のひとつです。
  
わたしにも新卒社員になった日がありました。だから、もし現在の自分が当時の自分に何か手紙を書いて届けることができるとしたらどんなことをかくだろうか?と考えた手紙を書いてみました。
7項目あります。それを新入社員の皆さんに送りたいとおもいます。

1つ目: 良い習慣を増やし、悪い習慣を減らす
 
今朝、歯磨きしましたよね?いちいち意思決定して意志の力で歯磨きしましたか? してないですよね? 人の行動の80%は、意志ではなく習慣でおこなわれています。
 正しい習慣を身につけることが重要です。正しい習慣は正しい行動をうみ、正しい行動はよい結果をうみ、良い結果の積み重ねが良い人生をうみます。
意志の力が弱いから何かができない、というふうに自分を責めるのではなく、習慣の力が弱いから結果が悪くなると考えよう。
もし幸福な社会人生活を送りたければ、正しい習慣を増やし悪い習慣を減らすことが重要です。年に一個づつでいいから良い習慣を増やし、年に一つづつ悪い習慣を減らす。これだけで30年するとよい習慣が30個増え悪い習慣が30個減ります。
 
 
2つ目: 永遠に学び続ける習慣をもつ
 
ヤフーの就職人気は高くなってきており入社倍率も高くなっています。みなさんは、それを突破した、とてもデキル頭脳をもっているといえます。なぜ難しい入社試験を突破する頭脳を持てたのか?それは、学び続ける習慣をもっていたからです。
しかしながら、就職した後にせっかくの学び続ける習慣を放棄するとあっという間にみなさんの持つ知識は陳腐化します。
わたしが就職したのは1990年代前半。コンピュータでデザインする人はほとんどいませんでした。しかし今では違います。コンピュータを使わずにデザインをする人の仕事は大幅に減りました。このように技術の変化は失業のリスクを産みます。
 
でも、学ぶ習慣があれば、変化はリスクよりチャンスを生みます。たとえば毎週本を1冊読むと年間で52冊、20年で1,000冊超になります。本を1,000冊読む習慣をもっている人と、そうじゃない人とでは、アウトプットに決定的に差がでますよね?

何でもいいです。一生涯にわたって学ぶ習慣を身につけよう。学ぶ習慣を身につけ、技術の変化をリスクではなくチャンスと捉えられるような人になりましょう。
 

3つ目: 良い仕事は良い休みがつくる
 
われわれの仕事は頭脳労働ともいわれます。しかし、頭脳は身体と心あっての頭脳です。頭脳だけで仕事はできない。身体と心の重要性を軽視しないこと。頭脳は身体と心のグッドコンディションの上に成立します。だから身体と心に良い習慣を身につけましょう。

人間はビジネスマンである以前に生命です。身体に良いものをたべる、てきどに身体を動かす、ちゃんと寝る。これはどんな生命にも大切です。

二日酔いになるほど痛飲。仕事も徹夜の連続でハードワーク。残業二百時間が当たり前。私もそんなことをやったけど、それは「昭和世代の武勇伝」であり、真似してはいけない。こういうのは長期戦でみると長続きしないやりかたです。仕事は何十年もする長期戦です。生命として正しい習慣を増やしていきましょう。
 

4つ目: スキルと人格の両方を磨く
 
「スキルを磨くこと」と「人格を磨くこと」は、両輪として育てていってください。「仕事ができる人」と「良い人」の両方になってほしいと思います。
 「良い人」というと疑問に思うかもしれません。会社は「仕事ができる人」を求めています。いわゆる有能な人とか市場価値の高い人とかいう人です。それは間違いありません。

一方で、「良い人」も求めています。ここでいう「良い人」とは、人間としてすばらしい信頼できる人という意味です。
たとえば、正直、親切、自分は後で友達は先、恩は返す、怒りの感情に言動が支配されない、感謝の意を表す、ハラスメントのように少数者をいじめる卑劣なことをしない。
 
こういうことって当たり前のことですが、この当たり前の事がスキルと同じくらい仕事をする上でとても大切です。

なぜなら仕事はすべてチームプレイでするからです。会社は仕事するとこだからいい人だけどスキルがない人はとても困ります。一方で、スキルは「できる人」だけど人間性が「嫌な人」だと、これもチームで仕事ができないからとても困ります。
 
自分の人格や性格でいやな点って3つくらいすぐにあがりますよね?人は可能性を秘めている一方で、人格的には欠点だらけです。わたしも欠点の塊みたいな人間です。今でも事業における失敗はたくさんありますし、プライベートや人間関係で後悔するような失敗、人としての未熟さゆえの失敗が山ほどあります。
それでもちょっとずつ改善し、去年より少しは「嫌な人」度は減らしていけてる気はします。
 
なぜか?それは一生懸命に仕事をしているからです。仕事は大変なこともありますし、うんざりするようなつかれることもいっぱいあります。しかし、「艱難辛苦 汝を玉にする」という言葉がありますが、大変な経験があるからこそ、それはあなたの人間性を磨いてくれます。

仕事を真剣にやると、スキルだけでなく自分の人間的欠点を矯正してくれます。結果的に、出世や金銭的な御利益だけでなく、人間的にも成長できるという価値あるボーナスが得られます。

5つ目: 「花を咲かせる」と決意する
 
社会人期間の総時間は、約30万時間。そのうち仕事には約11万時間、つまり人生の約3割を費やします。その膨大な比率をしめる時間が退屈でいいわけがありません。なかには「退屈でいいよ、俺はほかにやりたいことあるし、、、」って人もいるかもしれません。それは間違った考え方です。
みなさんには会社や選ぶ権利があるし、就職をする権利もあるし、それを行使してどこかの会社にはいります。しかしながらこのような「選択の権利」はたった数十年前まではそれはありませんでした。
 
大正生まれの日本人男性の7人に1人は戦争で死にました。選ぶ前に死がありました。現在の日本でも貧困のために学びたいけどできない子供がたくさんいるし、世界をみれば、紛争や飢えによって、働くこと以前に生きるという選択肢すら狭い人が、何億人もいるでしょう。
 
みなさんは、幸いにしていろいろなこと「選ぶ権利」をもっている人たちです。「選ぶ権利」のある人は、不幸にして選べなかったそんな人のためにも、「選ぶ権利」をちゃんと行使する義務があります。この権利であり義務を行使し、自分のやりたいこと、没頭できること、好きで好きで仕方ないことをぜひ見つけてほしい。
 
どうしても選びたいことがいま見つからない人は?
 
あきらめないでください。今あたえられた仕事を一生懸命にやってみましょう。「置かれた場所で咲きなさい」という言葉があります。咲いていれば必ずほかの人があなたをみつけてくれます。自分がどこで咲きたいのか?わからないならば、まずは今いる場所で、とことん花を咲かせましょう。


6つ目: 「株式会社自分」を経営する
 
わたしは社長として会社を経営していますが、みなさんも経営者であり社長です。みなさんは自分の人生を経営する立場だからです。「株式会社俺」の社長です。会社の社長はいつの日か交代しますが、「株式会社俺」の社長は、誰も交代してあげることができないし、辞任できない役割です。
 
会社には目的、ミッションがあるけど、「株式会社俺」にもそれがあります。それは、幸せになることです。そして、会社にはたくさんの部門があるけど、「株式会社俺」も、仕事、家族、趣味、副業、勉強など、多くの部門でできています。限りある時間の中で、今、何を大切にすべきか?を考えどうすると自分の幸福度が総合的にみて最大になるか?を、自分で選択し経営しましょう。
 
この中には、金銭的に成功する人もいるだろうし、失敗する人もでてくると思う。社長になる人もいれば、一生、平社員で終わる人もでてきます。望むビジネス上のキャリアをもてる人も、残念ながらそうじゃない人もでるでしょう。しかし、「株式会社俺」の目的は、ビジネスキャリアで大成功することではなく、自分の人生で幸福になることです。

そしてビジネスキャリアの成功に関係なく、だれもが等しく、いつの日か必ず人生最後の日を迎えます。冒頭で、「生まれた日・死ぬ日」は特別な日と話したけど、その「死ぬ日」です。必ずやってくるその日に、「株式会社自分」の幸福の時価総額が最大になるように経営していこう。人生最後の日に、「自分の幸福の時価総額はいまこの瞬間が俺史上最高である」と笑っていれるように自分自身を経営していこう。

あなたの「人生の幸福の時価総額」を最大にする責任は、親も上司も仲間も誰も取れません。あなたが経営するしかありません。まわりに流されずに、自分で選択をし経営をしていってほしいと思います。


 7つ目。「来たときよりも美しく」です。
 
みなさんはいつかこの会社を辞めます。いつの日か最後の日がきます。転職かもしれないし停年かもしれないしリストラかもしれない。家庭の事情でのやむを得ない退職かもしれない。ひょっとして不幸にして病気や、場合によっては死かもしれない。
 
理由は問わず、必ず組織から去る日がきます。また死によってこの社会から去る日が必ずきます。
そのときに、
「自分が入った今日よりも、去る日の方がスキルが高くなった」といえるようになっていてほしい。
「自分が入った今日よりも、去る日の方が人間性が高まった」といえるようになっていてほしい。
「自分が配属された部門は、そこから去る日の方がよりよくなってる」といえるようになっていてほしい。
「自分の貢献によって入った日よりも、去る日の方が会社より良くなった」といえるようになっていてほしい。

来たときよりも美しく。

みんながそれを1ミリでもよいからそこに来た日より去る日を美しくしたら会社も、社会も、街も、地球もどんどん美しくなります。

今日から一緒に、会社も、自分自身もぴかぴかに経営していきましょう。

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