メルカリ退職にあたり

2022年9月30日をもってメルカリを退職しました。
4年と1ヶ月に渡り働かせていただいて、非常に楽しく、やりがいのある体験ができました。

メルカリでやれたこと
- Agile文化の醸成と導入
- 組織の安定化とAnnual Planの導入
- Ticket, Specの英語化、標準化
- Program Management, PM excellenceの提案と導入
- Technical Product Managerの導入と組織作り
-メルカリにおけるQAのあり方の変革とQAチームの拡大
- メルカリWeb版の刷新プロジェクト
- メルカリMobile Appの刷新プロジェクト
- CodecovのincidentにおけるProject管理への対応
- TnSでの不正への対応の推進, CS Tools改善の推進

上記のように結構幅広に仕事をさせていただきました。当然さまざまな人のサポートがあって上記のようなことを実現してきたので、一緒に上記を実現できた方々には感謝です。

そもそもメルカリに入ったときに、最初に言われたのは、「PMなんとかして」という一言でした。そこでまずは最初に1ヶ月観察をさせていただき、出てきた課題が、PMだけではなくて、プロダクト開発組織の運用、プロセスに課題があることがわかりました。私がメルカリに参画した2018年当時は四半期毎にチームを変え、その中でWater fallでFeatureを作り上げていました。さらにチーム毎にやり方がバラバラでチームを移るとやり方が違いすぎてオンボーディングに時間がかかるというのが課題になっていました。そこで、今からやるならということでAgileを開発の標準としてみるという提案をして、実行をしました。特に当初はAgileへの風当たりは強く、All HandsでQ&Aが止まらなかったり、1on1で懸念がシェアされるなど色々ありました。ただ、逆にAgileをやりたかったという声もあって強力にサポートしてくれる方々もおり、Agileとりあえずやってみようという雰囲気が醸成されていったのはメルカリらしいところじゃなかったかと思います。

さらに、Agileベースの開発を推進できるために、組織安定化(組織変更Operationの変更)、Annual Planなどを徐々に導入してきました。ちょっと小さめの変更だけど、将来にわたって大きな変更だったのは、PMの書くSpec, Ticketの英語化です。その当時エンジニアリングサイドではEnglish Speakerが増えていていて、彼らが日本語で色々なところに書かれた要件やSpecを探したり理解したりするのに苦労をしていました。今(2022年現在)ではProduct Engineeringの大半が英語を中心に行われています。

次におそらく中長期的な影響を与えたのは、Technical Product Manager(TPM)の提案を実現だと思われる。メルカリは今後Tech Companyになっていくという中において、Product Managerのあり方が課題になりそうだという感じて新しくTPMを提案した。ちなみに私の入社当時ではお客さまFacingなUXの部分やビジネス企画にはPMが配置されていたが、バックエンド系には誰も配置されていなかった記憶があります。
とはいえ、メルカリが大きくなったり、Merpayなどの別のビジネスが出てくる中、それまでのPMとは違うProduct Managerを採用しないと将来につながっていかないということで、TPMの採用を開始して、チームをつくってきました。今ではTPMがメルカリのスタンダードになりつつあります。ここら辺は及川さんとの対談で少し話をさせていただいています。

またさらなる組織面でのチャレンジとしては、QAチームを2年半ほどリードしていました。メルカリではもともと多くの部分をマニュアルでテストをしていたのですが、WFからAgileへの切り替えや、エンジニアとQAチームの人数の比率からかなり疲弊をしていました。さらにAgileの開発スタイルのなかでは、後でまとめてテストというのはもうワークしません。そこで、エンジニアがテスト(コードでテスト、要するにAutomation Test)を作って、常にFeatureのテストに実行できるようにしていくことを推進してきました。じゃぁQAチームは何をするのかというと、プロダクト全体のQAだったり、テストを実行するための足回りだったりといったことにフォーカスしてきました。さらに採用でもAutomation Testを中心にしました。結果としてチームサイズは倍になり、さらにEnglish Speaker比率が半分を超えるまでになりました。

プロダクト面では、GroundUP Web, GroundUP AppというプログラムでWeb, Mobile Appをスクラッチから作り直して、最終的にリリースできました。Webは2021/10, Mobile Appは2022/9に完全に切り替えが終わっています。これにより、開発スピードの改善、仕様の明確化などを実現しています。ある程度以上の歴史があるプロダクトは、常に技術的負債をどのようにマネージしていくのかというのが課題になりますし、どうやって新しい技術への置き換えをやっていくのかというのが課題になります。ちょっと急進的なアプローチではありましたが、最終的にリプレースができたのは、メルカリのGo Boldだったり、All for OneなValueが発揮されたからだと思います。
技術的にも最新のフレームワークを使い、エンジニアにとってもチャレンジできるプロダクトになりました。メルカリの規模で、Swift UI(iOS)だったり、Jetpack Compose(Android)だけで構築されているいうのはまだまだ少ないのではないかと思います。WebもReact + Gatsbyとかなので、モダンにできているのではないかと思っています。さらに、i18nだったり、Accessibilityも結構ケアしながらつくってきているの、今後の発展に期待です。
ここらへんはCTO kwakasaさんとの対談あたりで触れています。

最後は、Codecovやいくつかの不正への対応です。事業や開発ではいいこともあれば、タフなこともあります。このタフなところに対して如何に早く対応をするのかというのが大事になります。ここで、貢献できたのは、Program Managementチーム(PM Office)です。会社全体に渡るタスクなどをフレームワークを切って、実行やその進捗を追っていくというのは、緊急時であればあるほどなかなか大変ものです。この中で、Program Managementチームは貢献ができたのではないかと思っています。

この4年で、上記以外にももっと色々なことを実行・実現できているのですが、全て1人でというわけではなくて、チームメンバーや賛同してくれた人たちがサポートしてくれたので実現できたと思っています。本当にメルカリというか会社や環境、そしてメルカリのメンバーには感謝です。


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