ざっくり理解する解剖生理①:心臓を大まかに知ろう
今回は循環器の解剖とその働きについて2つの記事に渡り解説していきます。 循環器は意外とシンプルな考え方で理解できます。
4つのステップで理解する
以下の4ステップでざっくりと説明できます。
①心臓は4つの部屋に分けられる
②左の部屋2つと右の部屋2つを分ける壁がある
③部屋と部屋を繋げる弁というものがある。
④体へのルートと肺へのルートの2種類がある。
①心臓は4つの部屋に分けられる
心臓は4つの部屋からなり、それぞれ右心房、右心室、左心房、左心室という名前があります。 右心房、左心房は戻ってくる血液が入るところです。 簡単に言うと受ける部屋です。 右心室、左心室は血液を放出する所です。 簡単に言うと送りだす部屋です。 右心室は肺に、左心室は全身に送りだす部屋になります。
図にするとざっくりこんな感じです(下図)
②左の部屋2つと右の部屋2つを分ける壁がある
上記の図の通り、心臓は左右の部屋を隔てる壁があります。 それぞれ名前があり、 右心房と左心房の間には心房中隔 右心室と左心室の間には心室中隔 といいます。
なぜ壁があるんだ?
そう思う人もいると思います。
ざっくりと理由を説明しますと、右の部屋には全身から戻ってくる酸素が少ない血液、左の部屋にはこれから全身へ向かう酸素を多く含んだ血液が流れています。
ですから左右の血液は絶対に混ぜたくないんです、だって酸素が少なくなってしまいますから。
③部屋と部屋を繋げる弁というものがある。
心臓の血流は必ず一定の方向に流れる必要があります。
そうでないと細胞に酸素や栄養を送り届けられないからです。そのため、右心房と右心室、左心房と左心室の間には逆流を防止する弁があります。
イメージは部屋と部屋を繋ぐドアです そのため、心臓には4つの弁があるということをになります。
右心室は肺へ、左心室は全身へ送りだす弁が2つ。
右心房と右心室、左心房と左心室の間の弁が2つ。
簡単に言うと上下の部屋を繋ぐ弁です 。
④全身へのルートと肺へのルートの2種類がある。
心臓のルートには 全身へ向かって戻ってくるルートと肺に向かって戻ってくるルートがあり、 全身へのルートは体循環、肺へのルートは肺循環といい、それぞれ目的が違います。
体循環は酸素を届けるため、肺循環は酸素を補充するためです。
肺で取り込まれた酸素はヘモグロビンを結合し、循環します。
理解するのに重要なイメージは宅急便です。
宅急便は全国に荷物を届けるのが役目ですね。
その荷物が人体で言いますと酸素になります。
宅急便は倉庫に行って荷物を補充し、そのあとで全国に荷物を届けていますね。
人間も肺に行って酸素を補充し、全身へ酸素を届けています。
注意!! 動脈血と静脈血を正しく理解しよう
ここで覚えるときの大きな注意点があります。
それは、動脈血と静脈血、動脈と静脈についてです。
動脈血とは酸素を多く含んだ血液のことであり、
静脈血は酸素が少ない血液のことです。
混同しないためのポイント
肺動脈:右心室から出て肺に向かうので「動脈」ですが、運んでいるのは二酸化炭素が多い静脈血です。
肺静脈:肺から出て左心房に向かうので「静脈」ですが、運んでいるのは酸素が多い動脈血です。
すなわち、心臓から出るのが動脈で、心臓に戻るのが静脈です。
そう、ただの血管の名前なんです。
なぜ逆になるのか?
「動脈=酸素が多い」「静脈=二酸化炭素が多い」というイメージが強いですが、肺循環ではこのイメージが逆転します。これは、肺でガス交換が行われるためです。
肺で何が起こるか: 肺では、二酸化炭素を多く含んだ静脈血が酸素と二酸化炭素を交換し、酸素を多く含んだ動脈血に変わります。
なぜ逆になるのか:肺動脈は、心臓から肺へと二酸化炭素を運ぶため、静脈血が流れます。逆に、肺静脈は、肺から心臓へと酸素を運ぶため、動脈血が流れます。
結論
動脈血と静脈血、動脈と静脈、この違いは、酸素が多いか少ないかどうかで動脈血と静脈血が分かる。また、心臓から出るのが動脈で、心臓に戻るのが静脈ということであり、ただの血管の名前であるということです。
以上、「ざっくり理解する解剖生理①:心臓を大まかに知ろう」でした。
ではまた!!
参考文献
Gerard J. Tortora., Bryan Derrickson. (2007) Introduction to the Human Body the essential of anatomy and physiology 7th Edition. (Saeki Yuka., Mieko Kurosawa., Yasuhiko Hosoya., Kenichi Takahashi Trans.) Japan Tokyo: Maruzen Co.