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思いっきり逆回転しはじめた気がする


資本主義の誕生は、工場設備の誕生ともいえる。
大きな資金を投入して、生産設備を入手し、
それを稼働させるための労働力として
従業員を雇い、組織化し、必要に応じて教育する。
産業が高度化しても、この構図はずっと変わらずにきた。

だから、経営者の思考は常に、
会社の持っている生産設備やリソースを、
従業員をつかっていかに活用し、
成果物(商品であれサービスであれ)の量や質を改善するか、
ということに向けられていたと思う。

しかし、コロナ危機で、
そうした最適化が裏目に出て、
労働のルールも、設備も、全てが機能不全に陥った。

企業経営の構成要素が
ヒト・モノ・カネ・情報であるならば、
ほかの3つを活用するために、
ヒトを雇っていたわけですが、
実は他の三つは、コロナ危機下では何も役立たない。

今までは他の要素に隷属していたヒトが、
実は最後の砦というか、
有事にはヒトしか頼れないと分かった。

だから、「資本主義は逆回転し始めた」といえる。

逆回転とは、企業活動を「ヒト」を起点に
考えるようになることを指す。

今いる社員の中から、本当に残すべき人間のみを残し、
そうでない人間は一旦労働市場に返却する。
(そうでないと、社会全体が最適化できないので。)

その上で、自社に残した人間が
「より良い社会のために何を生み出すべきか」を考え、
実践していくことが、今後の企業には求められると思う。
既存の事業の中でも、コア人材との相性が悪いものは
売却されるのではないかと考えている。

またESG経営などは、流行ではなく、
「企業」「ビジネス」というものが社会から求められることが
大きく変わったのだと、私は理解している。

そういった世界観において、「労務」のあり方を再定義するならば、
今後もっとも必要な「社員の力をフル活用する」ための戦略こそが
労務だと考える。
もっと言えば、企業の本質は「抱える人材をどう活かすか」となるので、
労務戦略がその会社の基本戦略になるともいえる。

今まで「財務戦略」「マーケティング 戦略」「採用戦略」が
経営戦略の骨子であったかと思うが、
それらは労務戦略なしに機能しなくなる可能性すらあるのではないかと思う。

付け加えるなら、「どんな人材を残すか」こそが
人事戦略の本質になると思うので、
誰を残し(人事)、どう活かすか(労務)が、
企業戦略の根本になるかなと考えている。


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