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クールなジャパン

Facebookってもうほとんど見ないのだけど、かつてFacebook栄光時代に連絡先を交換した海外在住時の知人はMessengerしか私の連絡先を知らない人が多くて(当時の携帯を解約してしまったのもあり)Messenger経由でたまーに連絡が来ることがある。先日ドバイに住んでいる元ママ友から連絡があった。
「日本に行きたいと思っているんだけど、いつ頃がいいと思う?おすすめの場所やアクティビティーがあったら教えて!」
というメッセージ。
彼女、かつては日本なんて全く興味なくて、中国と勘違いしていると思われし発言が多かったので私はその度に訂正していたくらいなんだけど(一度、中国も日本も同じようなものでしょって言われてムキ!となったりもした)、その彼女から日本を訪れたいと思っているなんてメッセージが来たのだから、もう完全に日本が「流行ってる」んだなと実感した。
円高で物価が魅力的なのはもちろんあるだろうと思う。一昔前なら「日本、行ってみたいけど、なんでも高いでしょう?」なんて言われるのが常だったけれど。

かつて、いや今もやっているのかな、「クールジャパン戦略」
経済産業省にクールジャパン室が設置されたのが2010年だそうで、当時は「え、自らクールっていっちゃうの?」と恥ずかしかったし、クールジャパン室の皆さんが考えるクールなジャパンとやらが私にとってはどうにもクールに思えなかった。アニメにゲームに日本食…、それをクールと呼ぶのかぁとモヤモヤした。当時住んでいた某国にあった「日本の雑貨を扱うお店」にある品揃えが、京都の寂れた土産物屋にあるそれそのままで、うーんなんかもっと他にあるだろう…っていうモヤモヤ、と同じ類のものだ。

しかし今、あの時ジャパンがクールと信じたアニメにゲームに日本食は確かに大人気。
特にアニメへの風向きは完全に変わった。私くらいの年代だとどうしてもアニメ=オタクと思いがちだが、これがもう完全に変わった。
ジャスティン・ビーバーがアニメTシャツを着ているのを見た時に思い知ったよね、今の若い世代にはアニメはもうクールなんだと。
Messengerに連絡をくれたママ友もそうだけど、他にも「息子がアニメが好きでいつか日本に行きたいと言っている」とか子供が日本に行きたがっているという話はこれまでもよく聞いた。今の若い世代にとってはアニメがクールで、面白いアニメがこれでもかと出てきてそれに付随するカルチャーがある日本はやはり魅力的なんだろう。
この若い世代が持つ日本に対するイメージが、私の世代の外国人が持つイメージ(良くも悪くも日本は特殊で変な国と思われていそう)と違うというのは、若い世代が社会を動かす年齢になった時にどう作用するのか…私としてはポジティブな要素じゃないかなと思っている。

日本が自ら、これクールでしょ?って言ってきた甲斐もあるのだろうけど、インターネットによって爆発的に増えた情報の中から外国人が目をつけた「クールジャパン」も大変興味深い。
竹内まりやのプラスティックラブのレコードがめちゃめちゃ高い値段で売られてるらしいっていう話を聞いたのはもうだいぶ前だったけど、シティーポップの流行は最高だと思う。海外の音楽好きから始まったであろうシティーポップはTikTokなんかで音源が使われるまでになり様々な国の、かなり若い世代にまでも知れ渡っている。ある日小6の我が子が鼻歌で「真夜中のドア」を歌っていたので驚いて「なぜその歌を知ってるの?!」と聞いたら、「いろんなところで流れてるから覚えちゃった(いろんなところ=YouTubeやTikTok)」とのことだった。デジタルネイティブの子供達にとってはなんてことはないのだろうけど、時代と国と世代がごちゃ混ぜで同じものを共有している!これぞワールドワイドウェブ!なんて私は少し感動してしまった。

あれこれクールを取り繕うより、きちんと作り上げられてきたものありのままを見せれば、それを気に入ってくれる人々が現れて、さらに自分たちでも気づかない良いところを発見してくれるのかもしれない。
クールジャパンを代表するアニメ・ゲーム・日本食、「そんなもんでいいんですか?」と思った私に「そういうのでいいんだよ」と言わんばかりに今日も日本は観光客で溢れている。


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