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Q&A『ライティングについて』

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ライティングは奥が深いですよね。

みなさんそれぞれがやり方があり、また作品の状況によって対応方法も様々かと思ういます。一概に「絶対これが唯一!」というものでもないので、あくまで私の一個人の見解なんですが、スポットライトやポイントライトなどの追加光源をメイン照明とするのは、調整が難しいんではないかなと思います。

白飛びをするというのは、光量過多ということですが、スポットライトやポイントライトは名前の通り局所的な点光源になるため、光が強すぎる傾向にあります。
逆に光を抑えようとすると、照射範囲が狭すぎるので光量が不足します。

ので、私はMMD標準ライトをキーライト、追加光源はフィルライトやバックライトとして利用します。
ベースとなるライティングは標準ライトで行い、ここの影濃いなとか、ここにこの色のポイントライトがほしいな、のように追加光源は補助的な扱いですね。
なので、追加光源を複数使っていたとしても、必ずしもそれらが全てモデルのための照明とは限らないのではないかと思います。

とはいえ、ライブ演出とかだと周りが暗いのでまた話が違ったりもするんですが、まぁ、それも私はMMD標準ライトが一番調整しやすいので、やっぱりキーライトには標準ライトを使用して、追加光源は補助、ですかね。

いくつか、具体例を出してみたいと思います。
使用するのは基本的にはポイントライトですが、スポットライトでも考え方は同じです。



夕暮れ演出と照明

こちらの静画ですが、「昼間から知識欲爆発して読書に勤しんだら、集中しすぎて夕暮れ時で暗くなってるのに、気づきもしないで明かりもつけないなか、本の虫になってるレオナさん」というテーマで作ったものです。

ライティングの指標として、以下の点を念頭にいれていました。
 1) 夜(青)に近づきつつある、薄暗い室内
 2) 沈みかけの夕日(オレンジ)に照らされて、まだ明るい屋外
 3) 室内(青)に差し込む残照(オレンジ)

キーライトの決定
私は順番としてエフェクトより先にキーライトにする標準ライトとセルフシャドウを設定します。
今回でいえば、夕暮れ時なので弱いオレンジ、モデルのほぼ真横に位置するような高さにです。

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シェーディングの決定
キーライトが決まったら、シェーディングを決めます。
使用したのは、PowerShaderです。PowerShaderの好きなポイントは影色の調整ができるんですよね。
今回照明はオレンジ、そして暗部は夜をイメージした青の予定なので、影にも青みを持たせます。

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ついでにPowerShaderで併用するLuminousとDiffusionも入れておきます。私は付属のLuminousの代わりに、AutoLuminousを使用しています。どうせ目とか発光させるので、Luminous一個でいいかなって...

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この時、ちょっとまだ夕暮れとしての暗さが足りなかったので、AutoLuminosでY値にマイナスを入れて、わざと暗くしています。が、Diffusionと相まって、暗くなりすぎています。
ここらへんを追加光源で救出していきます。

追加光源1:室内に差し込む夕日の照明
ライティング指標3の外から差し込むオレンジの光を追加しました。使用したのはtn_PostPointLightです。tn_PostPointLightはかなり細かくライトの設定ができるので、とても重宝しています。ライト色以外は、表示されている数値が全ての設定値になります。
本やモデルにリムライトの用にオレンジの光が追加されたのがお判りでしょうか?

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実はよく見ると、部屋の外からではなく画面右下、室内に照明設置してるんですが、実際に窓の外に照明を設置するとリムライトにはなるんですが、室内の床などは遮蔽物が多すぎて照らせなかったので、ぱっと見の印象で、「外からオレンジの光が入ってきてる!」という画を優先しました。
なので、本当は外から光が入っているなら、室内の床に落ちるべき本の影が落ちてないんですが、私は、リアルより「こう見せたい」ファンタジーを優先することが多いです。

追加光源2:影に沈んだモデルの救出
キーライトがほぼ逆光なので、室内全体が暗くなるのは良いんですが、さすがに人物も同じ照明で暗く沈んでしまってはもったいないので、モデルにだけポイントライトを当てて、影に沈みすぎたキャラクターを救出します。

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使用したのはHgPointLightで、位置はちょうどモデルの懐ですね。
数値はご覧の通りですが、光量と照射距離を見てもらうとわかりますが、局所的に極僅かな照明を当てています。

実際に作品として上げるときには、DOFなど他のエフェクトを追加したり、レタッチなどもいれていますが、ライティングとしては以上です。



ライブ照明

ライブ演出など、現実では黒い中でたくさんのスポットライト照明を当てている場合がありますが、これもMMDでは個人的に調整が難しいので、スポットライトをキーライトにはすることはあまりありません。

手持ちの作品でライブ演出はしたことなかったんですが、似たようなところで屋内スポーツの大会照明をイメージしたこちらで解説したいと思います。

ライティングの指標としては
 1) 試合コートはかなり明るい
 2) 観客席は暗く沈んでいる
 3) 照明は天井位置からまっすぐコートにだけふりそそぐ
 4 ) かなり強度な逆光

余談ですが、私は大きい箱だと日本武道館で試合をした経験があるんですが、実際にフロアはかなり明るいんですが、2階観客席などは薄暗いんですよね。
ステージ照明も浴びる側の経験がありますが、照明はまっすぐステージに降りてくるので、観客席はかなり暗いです。 

キーライトの決定
大会照明やステージ照明の場合でも、私はキーライトには標準ライトを推します。調整のし易さ万歳。
先に言及した通り、ステージ・コート内は標準的な白い光のかなり強い照明です。が、今回の静画は角度的に天井からの照明に対し逆光なので、少し光量は落とし気味にしています。

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シェーディングの決定
今回の場合は、逆光・強い白い光なので、影色は特に弄らず濃度だけ濃く出るようにしています。例にもれずPowerShaderです。

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お供のAutoLuminousとDiffusionも入れておきます。

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暗闇の生成
さて、モデルのライティングに関しては強い光の逆光としてベースはできているんですが、やはりライブや試合会場としては、ステージ・コート外の暗さが足りません。
ので、ここではキーライトの明るさ(現在の照明設定)は変えずに、周りだけを暗くします。

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というわけで、遠方を暗くするエフェクトwdarkをどーん。
wdarkは自体も調節がそこそこ複雑なエフェクトですが、光源いっぱい盛りすぎて白飛びさせるよりは、標準ライトの明るさそのままに、周囲だけを暗くできる(かつ、設定次第でその範囲を柔軟に変えられる)ので、個人的にはおススメのエフェクトです。

今回はモデルと天井付近に明るさが残るようにしました。
若干、思い描いている大会照明には行き届いていないんですが、単純に私の力不足なのでそこは精進します。

追加光源1:天井の明るさ救出
私の力不足のせいで、天井は完全にキーライトの明るさを残せなかったので、ポイントライトで天井の明るさを救出します。
こちらはtn_PostPointLightです。

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追加光源2:天井の照度生成
ライティングはかなり強い白い光の逆光なので、視聴者目線では天井付近に光源があり、それが白くまばゆく、あるいは眩しいくらいに見えているはずなので、そこら辺に光を足していきます。

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HgPointLightを盛ることで5つ。
正直もうちょっと広範囲に天井だけ白とびさせたかったんですが、そうするとモデルにまで影響が出始めちゃうので、ここらで手打ちにします。

まぁ、でも白い強い光は置けたので、とりあえず良し。

追加光源3:リムライトの設定
繰り返しになりますが、今回は逆光を意識しているのでリムライトを当てます。
これで、リムライトを当てることでモデルの奥に光源があることを強調します。

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こちらも同じく、作品として上げる際には他のエフェクトやレタッチもしていますが、ライティングとしてはこれで全てです。



ライティングについて

とまぁ、ここまでご覧いただいたわけですが、ライティングに関してはスポットライトやポイントライトは追加光源なので、それをメイン照明としてモデルに宛てようとすると、光量を確保しようとするうえで、白飛びしやすくなります。

逆に、メイン照明を標準ライトでとったうえで、足りない部分やもう少し光を盛りたい部分、局所的な使用にすることで調整がしやすくなります。

またメイン照明(キーライト)の明るさを1とすると、リムライトやフィルライトなどの追加光源は半分程度などで抑えられるので白飛びも制御しやすくなるかと思います。(リムライトの場合は、あえてキーライト以上にすることも可能です)

それでもどうしても複数の追加光源を当てる必要がある場合、光量を落としたり照射範囲を制限したり、あるいはステージにはライトを3つ当てるけど、モデルにはそのうち1つしか当てないなどの、調整が必要になるかと思います。


追記
ご紹介しようとして、書いてるうちに忘れてしまったんですが、ライティングに関しては、あんずさん(@Anz_miko)がいつもとても丁寧でわかりやすいメイキングを載せてくださっていて、とても参考になります!


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