暴落の神?
世の中には有名な億トレーダーが数多く存在している。
代表的な名前を挙げると、B.N.F氏、cis氏だ。
彼らは10年以上の投機(トレード)を積み重ねて、自身の資産を100億以上も築いた伝説的な日本人トレーダーといえる。
しかし、今回はあえて正体不明のトレーダーに焦点を当ててみる。
彼?(彼女?)が動く時には、ブルームバーグの記事に乗る事があるので、もしかすると詳しい方は知っているかもしれない。
その人のニックネームは50セントという。
50セント氏はVIX(恐怖指数)のコールオプションをムチャクチャ大量買いする逆張りトレーダーである。
簡単に説明すると、VIX指数が●月までに●●ポイントまで騰がる事に賭ける投資家だ。やってる事は投資というよりもギャンブルに近い。
特徴としては、株式市場が堅調で、逆にVIX指数が軟調ないしはレンジの下限を這っている局面で、VIXのコールオプションが50セントの水準に位置する時を狙って大量に買い集め、相場全体が暴落する方に賭けるスタイルだ。
つまり、VIXのオプション価格が1枚●ドルとかではなく、1枚50セントというクズみたいな価値で売られている時に50セント氏は動く。彼のニックネームはその特徴的な行動から来ていると言われている。
驚くべき事は50セント氏は大体暴落を当てている事だ。
まず、VIX指数のチャートを振り返ってみる。
基本的にVIX(恐怖指数)は米国株価指数S&P500に逆相関し、普段は10~25の水準に位置している事が多い。
逆に言えば、10~25を這っている時は、株式市場ではショック安が起こっていない。
当然だ。S&P500は最高値更新し続けている。逆相関するVIX指数が長期的に右肩上がりになることは有り得ない。そもそもこのVIX指数はそういう風にデザインされていない。
上の画像でいうところの、最初のVIX指数が大暴騰したタイミングは、2008年9月に起こったリーマン・ショックだ。
100年に1度の大暴落と呼ばれ、当時のVIX指数は90を超えた。
まだ、この頃に50セント氏が活躍したという話は無い。
画像の右側に移って、2020年3月にはVIX指数が85を超えるコロナ・ショックが起こった。
当時、全世界の経済が止まるだろうと市場関係者に予想され、感染者ないしは死亡者数がどこまで増えるのか全く予想がつかなかった為、株式市場は不透明な未来に嫌気を差し、全ての悪材料を織り込んで大暴落した。その結果、VIX指数は85に達した。
つまり、大暴落が起こる時、VIX(恐怖指数)は大暴騰する。
50セント氏は株式市場の大暴落とVIX指数の大暴騰をピタリと当て、コロナ・ショックで爆益を実現した。
2019年12月18日時点(暴落の約3ヵ月前)で「50セントが動いた」とブルームバーグの記事に掲載されていた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-12-18/Q2OQRHDWX2PY01(参考記事)
記事の内容をまとめると、1枚50セントのVIXコールオプションを1人で約13万枚も大量購入している、と書いてある。
50セントはVIX指数が60ポイントを超える方に賭けており、それをピタリと当て(大体の計算になるが)一撃で約170億円も儲けたと思われる。
まるでコロナによるパンデミックが事前に来る事を知っていたかのような、見事な勝ちっぷりだ。
次は2018年12月に起こったクリスマス・ショックに遡る。
この時も2018年9月14日のブルームバーグの記事(暴落の約3ヵ月前)に、誰かがVIX指数の急騰に賭けたと掲載されていた(※この時は50セントと名指しは無かった)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-13/PF0N0J6KLVR801(参考記事)
下の画像は当時のNYダウとS&P500の下落だ。
最高値から数えると、両方とも20%前後の暴落を食らっている。リーマン・ショックやコロナ・ショックほどの大規模な暴落ではなかったが、景気後退の入り口に相応しい大暴落だったといえる。ここでも50セント氏は約17億円を儲けたと噂されている。
もう一つ逸話がある。
さらに遡り、2018年1月末のVIXショックでも、彼は爆益を得たとされる。
残念ながら2017年の記事に50セント関連の記事が見つからなかったが、暴落直後の2018年2月13日に50セントが資産2億ドル(約217億円)を稼いだという記事がブルームバーグに掲載された。
記事によると、50セント氏は2018年以内に暴落が来ることに賭けて、VIX指数が12~13の水準の時に約1年間かけてVIXコールオプションを大量に仕込んでいたそうだ。
※印をつけているところは、50セントがVIXコールオプションを買い集めていたと思われる局面
そしてこちらはVIXショック当時のNYダウとS&P500の急落チャートだ。
最後に
まとめると、50セント氏は直近3度の暴落を全て利益に変えたトレーダーだ。
個人的な見解だが、50セント氏は景気サイクルでいう景気成熟期から景気後退期に転換した後に起こる暴落を狙っていると予想している。
今は景気回復期に入っている局面なので、恐らくは50セント氏は動かないのではないかと考えている。
これから調整局面がやってきたとしても、クリスマスショックやVIXショック以内の下落の範囲で済むだろうと思う(正直どうなるか分からないが)
しかし、2021年4月上旬に、不吉な記事がブルームバーグに掲載されていたのでとりあえず紹介したい。
記事の内容をまとめると、VIXコールオプション(VIXが暴騰する権利)を約20万枚の購入している何者かが出現した、というものだ。
ブルームバーグは名指しこそしていないが、もしこれが50セント氏ならば(掲載日4月9日から)約3ヵ月に暴落が起こるかもしれない。
あるいは、50セント氏を模倣しただけのフェイクかもしれないが……。
ともかく、今年の6月と7月に暴落(調整)が起きるのか?起きないのか?に注目する価値はあると思う。
まだ慣れていない部分もありますが、サクッと読める記事を目指します。