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日記:竹林一・京大院客員教授 に感激

今日は、オンラインで見て知った、ある方の話に感激したので、ご紹介。

「イノベーションを起こせ!」と、色々なところでイノベーション志向のミートアップなどが行われていて、私自身もいくつか参加したことがあるのだが、どうも違うなぁという違和感を抱いていた。その理由が、その方のお話を聞いてクリアになった感覚だ。

※感激したのは、logmiの以下の一連の投稿を読んで。

竹林一さんについて調べてみた。

私が感動した話をされたのは、竹林一さんという方である。面識はもちろん無いが、冒頭のlogmiを読んで、一発で心奪われた。

話に感激したら、私はその人を、私の心の「ウォッチリスト」に入れて、言動を注目することにしている。竹林さんも当然、私のウォッチリストに追加となったわけだが、どんな方かを少し齧っておくとウォッチに身が入るので調べてみた。

「ホンモノの人」というのは得てして、一つの肩書でその方を表現するのに抵抗感を抱くものだ。というのも、ご本人のモチベーションが赴くところにご自身から絡んだり立ち上げたり行動されるし、ご本人の高い能力を見込んで多くの組織・人が巻き込むから。竹林さんも、そんなおひとりだ。

一つ目の顔は、オムロン株式会社インキュベーションセンター長だ。
もともと竹林さんのキャリアは、オムロン(旧・立石電機)で積まれておられる。今でも、オムロンでインキュベーションセンターを率いておられる訳だ。彼のお考え・理論は、オムロンでの実践を通じて醸成されたものだと考えて良いかと思う。

ちなみに、その文脈の中で、カード決済システムの立ち上げから「ドコモ・ヘルスケア―」(NTTドコモ・オムロンのジョイントベンチャー)のCEOもご経験されている。その後、IoTの新規事業創発をミッションとされた(ている?)ようだ。

二つ目の顔は、京都大学・経営管理大学院の客員教授だ。
オムロンで醸成された経験・知見が、言語化され理論化されていく過程では、アカデミックな関心・行動・研鑽のご経験が触媒になっているんだろうと想像する。

ちなみに、滋賀県の自宅に戻るのに、飲んでて新幹線に乗り遅れたから?と、東京の恵比寿から15泊16日で徒歩で帰宅したという変人だ。もっとも、実は前々からそうしたかったのを、その時に機会として捉えただけかもしれない。道中、自分は何のために働いているのか、なぜオムロンで働くのかを思索されたそうだから。

声を聴いてみる

いい時代になったものだ。優れた人というのは、それをアップしたのが本人か他人か別として、大抵がパフォーマンスされている姿がYouTubeに上がっているものだ。

竹林一さんのも探してみたところ、その声のハリや、少し京都弁?の入った軽妙なトーク、語りに込められた想いを感じてさらに虜になった。

■ご自身のYouTubeチャンネル「し〜ちゃんねる」

ご自身が講演などすると、「たけばやし~」→「し~」だけ人の記憶に残るとお気づきになって、「し~さん」になったそうだw

■ご自身以外が公開されたもの

Globis知見録 2018/2/27公開

→これは「経営とは」とか竹林さんご自身の仕事のモチベーションとか、まとまって聞けて、人となりが知れる。

ビジネスの「儲け」を空気を吸うことに喩えているのが面白い。空気を吸えないとサステイナビリティが無い(死ぬ)。しかし、空気を吸うこと自体は人生の目的ではない、と。儲けが自己目的化してしまうのは、空気を吸うために生きているようなものだ、という喩えは分かりやすく目から鱗だった。

CS(顧客満足度、Customer Sutisfaction)は Cost(安さ)とService(サービス・便益)で構成されている、というくだりは笑えた。落語家のような語りだ。

殻破り道場 2019/7/1公開

→これはダイジェストで話の内容はあんまり分からんけれど、キャラが分かる。

「目的にするとイノベーションできない」と「イノベーションをデザインする」は矛盾しない!?

竹林さんは、「イノベーションを目的にして何か始めると、イノベーションが起きない」というようなことを仰っている。一方で、「イノベーションをデザインする」とも仰っている。この2つ、矛盾しないのだろうか?ととっさに感じた。

しかし、徐々に、矛盾しない気がしてきた。彼の今のオムロンでの肩書にヒントがあった。「インキュベーション」=孵化である。

つまり、ニワトリの雛を手に入れるのに、「ニワトリ、卵産め!卵よ、孵れ!」と命じてもダメだ。ニワトリの交配と孵卵のことをよく知って、それが起こる素地・環境を用意して待つのがインキュベーションだ。イノベーションもそれと同じだと言う訳だろう。

お話が面白すぎて、永遠に動画再生してしまうのだが、「オープン・イノベーション」は「クローズドな秘密結社」から生まれるという論は目から鱗だった。そして秘密結社は、ロジックの共有ではなく、Will(夢)が共有されて相互のモチベーションを高め合うことが大切だと仰っていた。

この部分は、今まで断片的に言語化したり、言語化しきれずモヤモヤしていたものを、パッと霧晴らしていただいたような感激だった。サイモン・シネックの「ゴールデンサークル」で言うところの「Why」と同じかもしれないが、内発する夢・理想・世界像が核で、それを共有して動けるのがオープンイノベーション結社なんだ、と感じた。

「エフェクチュエーション」-OODAループ にも注目

そして、竹林さんの話に出てくる、サラス・サラスバシー『エフェクチュエーション』を読むことにした。サラスバシー女史はインド人で、ノーベル賞受賞者ハーバート・サイモンの晩年の弟子だそうだ。

コーゼーション(目的志向)/エフェクチュエーション(手段志向) という2つの思考パターンがあると整理されていて、立命館大学准教授・吉田満梨さんのが分かりやすい。

ここからは、私の解釈。

コーゼーションは、未来予想志向でありPDCAサイクルアプローチだ。とにかく、今手に入るファクトとロジックの粋を集めまくり、未来を正確に予想して計画建てようと頑張る。しかし得てして、計画に従って活動開始すると、すぐに予想から現実が乖離し始める(それくらい世の中は複雑怪奇だ)。だから、このアプローチでイノベーティブな活動に取り組もうとすると、早々に「予想/現実乖離→予想と計画の修正」のラットレースに追い込まれ、疲弊だけして頓挫することが多いのだろう。

一方のエフェクチュエーションは、未来予想が無理だと諦念して放棄し、今できること(能力)を集めて斬新なパッチワークキルトを作るようなものだろう。つまり、活動当初に明確な目的・ゴールは設定されていない。「なんかおもろくて新しいもの作りてぇな」くらいなものだろう。そして、自分の能力だけでなく親和性高い異質な能力が組み合わさると、予想外で斬新なものが生まれるはずや、と悪巧み的に秘密結社でワイワイガヤガヤやっていく。結果、自分たちも当初考えて無かった「パッチワークキルト」ができるのだろう。OODAループアプローチだとも言えるような気がする。

実は私は、OODAループについて勉強中だったので、OODAループとエフェクチュエーションとの間に、「未来の正確な予想と計画なんか、人間には無理だ」という諦観の共通性を感じて、ビビッと心が動いたのだった。

今後も、竹林さんとともに、エフェクチュエーション・OODAループに着目していきたい。

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執筆後にエフェクチュエーションについて書かれてる既存の投稿を見てたら、これを見つけた。
僭越ながら深く共感しつつ、分かりやすくまとめておられるなぁと感銘。

https://note.com/marisakura/n/n128e3c167a38

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