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ライター必携「レファ本」30選

ライターの書棚に何より必要なのは、さまざまなレファレンス(参考)用書籍である。
「調べものならネットで検索すればいい」と思う向きもあろうが、ネット上の情報は玉石混交で、おいそれと鵜呑みにできないこわさがある。
また、「事典のたぐいは総じて高いから、買うのはもったいない。レファレンス書籍には図書館であたればいい」と思う向きもあろうが、ライターたるもの、最低限のレファレンス資料は自分で所有すべきである。「図書館に行く時間すら惜しい」という状況にしばしば出くわすのがライターだし、図書館が開いていない時間帯だって長いのだから……。
ここでは、私が愛用するレファ本を30点選んでみよう。
ここに挙げたような一般的レファ本を揃えたうえで、自分の得意分野のレファ本を上乗せで集めていくとよい。

『角川類語新辞典』(角川書店)
類語辞典/シソーラスのたぐいは何種類か持っておきたい。文章が同じような表現のくり返しになるのを避けることができるし、類語辞典を引くことを習慣化すれば、語彙が豊富になっていく。
私のイチオシは、この『角川類語新辞典』。引きやすくて読みやすい。 
なお、ここにはいちいち挙げないが、『広辞苑』『大辞林』などの国語辞典はライターなら持っていて当然。

『世界人物逸話大事典』(角川書店)
日本人によく知られた人物1883人を見出しに掲げ、574人が検索可能の、1178ページに及ぶエピソード事典。
従来の事典には登場しない、その人の生き生きとした人間像を伝えるエピソードが多数紹介されている。

『最新世界史図説 タぺストリー』(帝国書院)
オールカラー、図版・年表等満載で、ものすごい情報量が詰め込まれた一冊。手元にある最新版(十六訂版)でも870円(税抜)という驚きの安さであり、持っておいて損なし。時々パラパラめくって見るとよい。

『現代風俗史年表』(河出書房新社)
この手の年表は何種類か揃えておきたい。とくにこれはオススメ。読み物としても面白く、すこぶる役に立つ。扱っているのが1945年から97年までなので、増補改訂版を出してほしい。 

『TVのそばに一冊 ワールド・アトラス』(帝国書院)
地図帳も一冊は絶対に必要だ。これは値段も安く、手頃。

『ジャパン・クロニック 日本全史』(講談社)
『クロニック 世界全史』(講談社)
ずしりと重い、一巻もののヴィジュアル歴史事典。ライターの仕事には、深い知識より浅く広い知識が要求される。歴史に関してはこのへんが手頃。

『もう一度読む山川日本史』(山川出版社)
『もう一度読む山川世界史』(山川出版社)
いずれも、高校用教科書をベースに、「大人の学び直し」向けに改訂したもの。ライターの仕事にもたいへん役に立つ。

『日本大歳時記』(講談社)
歳時記といえば、「俳句や短歌をたしなむ人が使うもの」というイメージがある。しかし、カラー写真満載のこの『大歳時記』は、じつはライターの仕事にたいへん役立つ。古くからの行事・慣習や動植物についてなど、四季折々の日本の風物に関する知識が網羅されているからだ。確認用に使えるのみならず、原稿の中に季節感を出したいときに重宝する。

『世界の古典名著』(自由国民社)
『日本の古典名著』(自由国民社)
『中国の古典名著』(自由国民社)
『世界の戦争・革命・反乱』(自由国民社)
『世界の宗教と経典』(自由国民社)
『世界の神話伝説』(自由国民社)
『世界文学の名作と主人公』(自由国民社)
『伝記・自叙伝の名著』(自由国民社)
自由国民社のユニークな分野別事典「総解説」シリーズから、私が愛用する8点を選んでみた。いずれも、三段組の小さな活字で情報がギッシリとつまっており、お買い得。

『宗教世界地図』(石川純一著・新潮文庫)
『民族世界地図』(浅井信雄著・新潮文庫)
『世界紛争地図』(松井茂著・新潮文庫)
いずれも、タイトルどおり地図を駆使して、現代国際政治の宗教問題・民族問題・紛争をわかりやすく解説した好著。

『読書大全――世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学』(堀内勉著・日経BP)
数ある名著紹介本の中で、最近の私にとっていちばん役に立っている本はこれかもしれない。古典的名著にまじって、『FACTFULNESS』や『サピエンス全史』のような近年のベストセラーも等価に扱っている点が特徴。簡にして要を得た手際よい解説が素晴らしい。

『定義集』(筑摩書房)
「ちくま哲学の森」シリーズの別巻として出版されたもの。あらゆる事柄に関する、古今の識者による「定義」が網羅されたユニークなアンソロジー。原稿にちょっと気の利いた箴言・警句を引用したいときに便利。

『記者ハンドブック――新聞用字用語集』(共同通信社)
記事などを書くときの標準的な表記ルールを確認するために必携。現在出ているのは2022年刊の第14版。

『データ読本 戦後50年 1945~1994』(朝日新聞社)
戦後50年を記念して出版されたムック。「裁判年表」「事件年表」などの年表、さまざまな国民的データの変遷など、じつに多角的に「戦後の50年とはどのような時代であったか?」を浮き彫りにした労作。戦後70年を過ぎたので、増補改訂版を出してほしい。

『戦後キネマ旬報ベストテン全史 1946-2002』
その年にどんな映画が高く評価されたかは、映画史の枠を超えて、その時代を示す貴重なデータである。

『1960年大百科』(宝島社)
『1970年大百科』(宝島社)
『1980年大百科』(宝島社)
『1990年大百科』(宝島社)
タイトルに難あり。いずれも、「1960年」などの特定の1年についての「百科」ではなく、その前後10年間のさまざまな流行を網羅したものである。たとえば『1980年大百科』は、1975~1984年までを扱っている。なぜこんな区切り方とタイトルにしたのか、理解に苦しむ。『1980年代大百科』というふうに区切ればよかったのに……。
しかし、内容は秀逸。ふつうの年表や年鑑からは抜け落ちてしまう雑多な流行を、むしろ積極的に集めている。たとえば「オールナイトニッポンDJ年表」「ヒーローロボット&メカ生産リスト」など……。こういうジャンクな情報こそ、年月が経つほど集めにくくなる。ゆえに貴重なのである。




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