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追悼・上田知華さん

シンガー・ソングライターの上田知華さんが、昨年(2021年)9月に膵臓がんで亡くなられていたことが、今日初めて報じられた。まだ64歳という若さであった。

追悼記事ではミリオンヒットとなった今井美樹「PIECE OF MY WISH」の作者であることが強調されていたが、私にとっては何といっても「上田知華+KARYOBIN」の印象が強い。

「上田知華+KARYOBIN」は、1970年代末から80年代初頭にかけて活躍した、クラシックをベースにしたJ-POP(なんて言葉は当時なかったけれど)グループ。弦楽四重奏をバックにピアノ弾き語りをするという、他に類を見ないユニークなスタイルが特徴であった。

その弦楽四重奏団の名が「KARYOBIN」(=かりょうびん。雅楽の演目「迦陵頻」や、その元となった仏教説話に登場する美声の鳥「迦陵頻伽」に由来する)で、メンバーの中にはいまをときめく金子飛鳥(ヴァイオリン)や溝口肇(チェロ)もいた。

上田知華さんはKARYOBIN解散後もしばらくはソロでアルバムを発表していたが、その後は他のアーティストへの楽曲提供に専念したようだ。

おもに女性アーティストや女性アイドルを中心に彼女が提供した曲は、350曲を超えるという。今後はそれらの曲によって語り継がれていくのかもしれないが、私としては上田知華+KARYOBINが聴き継がれていってほしい。

弦楽四重奏+ピアノ弾き語りという普遍的スタイルだから、40年を経たいま聴いても少しも古びていない。その後のJ-POPの歴史の中で、同じスタイルをとるフォロワーが現れなかったのが不思議なくらいだ。
それに、「秋色化粧」と「さよならレイニー・ステーション」など、名曲も数多い。

上田知華+KARYOBINのアルバムは中古で高値を呼んでいた時期もあるが、いまではサブスクで全アルバムが聴ける。

また、CDではベストアルバムも何種類か出ているが、私のオススメはこれだ。

この『ゴールデン☆BEST』は、まさに決定版というべき素晴らしい内容だ。

 ・上田知華+KARYOBINが残した6枚のアルバムから、まんべんなく選曲されている。 
 ・未発表ライヴ音源が、ボーナス・トラックとして2曲収録されている。
 ・オリジナルアルバム未収録のシングル曲(「シーユーアゲイン・初恋」)も収録している。
 ・上田知華さんのソロワークが混入しておらず、あくまで「上田知華+KARYOBINのベスト」になっている……といった美点を持っている。

上田知華さんの作る曲の素晴らしさもさることながら、私は彼女のヴォーカルも好きだった。少し鼻にかかった甘い声で、それでいて上品で、じつに魅力的だと思う。

彼女の遺した名曲群が長く聴き継がれていくことを祈りつつ、改めてご冥福をお祈りいたします。

上は私が「上田知華+KARYOBIN」のお気に入り曲を集めたプレイリスト。ご参考まで。







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